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映画レビュー『ミニオンズ フィーバー』(2022)’70年代カルチャーへのオマージュが満載

12歳のグルーが夢見る
天下の大悪党

『ミニオンズ』(’15)は
『怪盗グルー』シリーズの
スピンオフ作品で、
本作はその続編にあたります。

続編とは言っても、
物語の時間軸上は遡った形で、
グルーとミニオン達が
出会った頃の話です。

12歳のグルーの夢は、
「大悪党」になることでした。

大悪党になることを
夢見る彼のもとに
舞い込んだニュースが、

有名な極悪組織、
ヴィシャス・シックスの
メンバー募集の告知です。

ヴィシャス・シックスは
伝説の悪党、ワイルド・ナックルズが
結成した悪党集団でしたが、

リーダーであったナックルズが
追放されてしまいました。

その欠員を補うために、
メンバーを募集していたのです。

グルーは、憧れの悪党集団に
入るべく、その面接に赴きます。

出会ったばかりの頃の
グルーとミニオン

ここまでが本作の物語の冒頭です。

しかし、前作の
『ミニオンズ』もそうですが、
『怪盗グルー』シリーズに比べると、

ストーリー的な濃さは、
ほどほどに抑えた印象ですね。

むしろ『ミニオンズ』シリーズは、
ミニオンのドタバタ劇を
楽しむのが一番のメインです。

グルーと出会ったばかりの頃で、
主要なミニオンの数が
それほど多くないので、

キャラクター単体の魅力が
よく感じられる気がします。

ミニオンがどのようにして、
グルーと出会ったのかも
描かれていますが、

その辺のくだりも
割とあっさりとしていて、
むしろ、おもしろおかしく
描いているのが印象的でした。

ミニオン達が目を潤ませて、
グルーにお願いする姿が、
この上ないほど愛嬌たっぷりで、
笑ってしまいます。

’70年代カルチャーへの
オマージュが満載

『怪盗グルー』シリーズは、
劇中の年代によって、
その時代のカルチャーを
濃厚に描くところが魅力的です。

本作の舞台は’70年代の設定で、
その辺のオマージュも多く散見されます。

冒頭は、ヴィシャス・シックスの
大悪党ぶりが発揮されるシーンが
描かれていますが、

そこに流れているのは、
アース・ウィンド&ファイアーの
楽曲でした。

ノリのいいファンクと
小気味いい映像が絶妙な
バランスで絡み合い、
抜群の臨場感が楽しめます。

その後のオープニングでは、
これまた’70年代らしい
サイケデリックなイラストで
描かれたアニメーションが流れます。

こちらは『007』のパロディーです。

カラフルな色合いが
オシャレなんですよね。

そして、なんといっても、
本作のメインは、
カンフースーツに身を包んだ
ミニオンの姿からもわかるように、

ミニオン達のアクションシーンです。

こちらは言うまでもなく、
ブルース・リーへのオマージュですね。

この他にもマニアックなところを
挙げればキリがないほど、
’70年代ネタが満載の
作品になっていました。

大人はそういった部分を
密かに楽しみつつ、

その時代を知らないお子様にも
なんとなくその時代のかっこよさ、
おもしろさが伝わる作品に
なっていると思います。

とにかく『ミニオンズ』は、
頭をからっぽにして、
身を委ねることができる
理屈抜きのおもしろさがたまりません。


【作品情報】
2022年7月15日公開
監督:カイル・バルダ
脚本:ブライアン・リンチ
   マシュー・フォーゲル
声の出演:笑福亭鶴瓶
     ピエール・コフィン
     尾野真千子
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ
   東宝東和
上映時間:88分

【シリーズ作品】

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