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小学校時代の恩師の記憶 叱られた思い出

以前、小学校の頃の
友達の話を書いたことがありました。

アタル、ヒロキの
二人です。
(ともに仮名)

私たち3人が同じクラスだったのは、
小学校1~2年生、
5~6年生の時でした。

つまり、小学校の最初の2年間、
最後の2年間が
同じクラスだったんですよね。

最初の2年間、担任だった先生も
いい先生で、忘れられませんが、

それに負けないくらい
最後の2年間、
担任だった先生も忘れられません。

今思うと、
あの先生は素晴らしい人だったのだなぁ
と感心してしまうエピソードなんですが、

男性の教師で、
歳は今の自分よりも少し若いくらいの人でした。

基本的には笑っている印象が強く、
優しい先生でしたが、
時には厳しく私たちのことを
指導してくれました。

私たちのいいところをよく見つけて、
褒めてくれることも多かったと思うのですが、
私には叱られた日の記憶が
もっとも強く残っています。


私たちが6年生の時に、
わが校にサッカークラブが
発足しました。

アタルがヒロキと私に
「クラブに入って、
 一緒にサッカーをやらないか」
と誘ってくれたのです。

スポーツといえば、
アタルとヒロキは野球の話ばかりしていたので、
アタルがサッカーに
興味を持っていたのは意外でした。

当時は、J リーグが発足して、
そんなに年数が経っていない頃で、

ゴールデンタイムでも
サッカーが放送されていた時代ですから、
アタルが興味を持つのも
不思議な話でもありません。

あの頃の三人は
なんでも一緒にやっていたので、

自然とアタルの勧めどおりに、
私とヒロキもクラブに入会しました。

ところが、私たち三人は
根っからのスポーツマンでもなかったので、
もちろん簡単には上達しません。

下級生の中には
もともとサッカーをやっていて、
ものすごく上手い子たちも多く、

6年生は私たち三人だけだったのですが、
下級生にもバカにされるほどでした。

私とヒロキは
もともとサッカーが好きでもなく、

アタルに誘われたのが
きっかけで、はじめたのもあって、
すぐに練習中もふざけるようになりました。

その内、私とヒロキは
練習もサボるようになっていきます。

ある時、学校の授業で、
確か、家庭科の課題で
裁縫をする宿題だったのですが、

落ちこぼれだった私とヒロキは、
これをやっておらず、
放課後に先生に呼び出され、

居残って課題を完成させるように
言われたんですよね。

私たちは口を揃えて言いました。

「今日はサッカークラブがある日なので、
 帰らせてください」

その時、先生が激怒したのです。

「お前ら嘘をつくなよ!
 先生、知ってるんだからな。
 この前、練習を見に行ったら、
 アタルしかいなかったぞ」

先生が普段話している時に
サッカークラブのことに
触れることはほとんどなかったので、

私とヒロキがサボっているのを
知っているとは、
まったく考えもしませんでした。

私とヒロキは気まずい空気に包まれ、
身が縮む思いでした。

「こういう時だけ、サッカーを持ち出すのか」

私たちがその後、
先生に素直に謝ったのか、

何も言わずに黙々と
課題を終わらせたのか、

今となっては記憶がおぼろげですが、
後から、ヒロキとこのことについて
話した記憶もありません。

でも、このように言われた時に、
それまでの他の先生とは
違う感じがしました。

なんだか、親に怒られた時と
同じ感じがしたのです。

大人はなんでも知っている、

そんな感じがすごくあったのです。

ましてや、誰も注目していなかった、
発足間もないサッカークラブの練習を
私たちが参加しているのを知って、
先生は見ていたのです。

そのことを普段は何も言わなかったのに、
影から見守っていてくれたのですね。

本来であれば、三人いるはずが、アタルしか
練習に参加していなかったのを見た時、
先生はどう思ったのでしょうか。

そんなことにも思いを巡らせました。

こんなことを知ったからと言って、
私もヒロキもサッカークラブに対する
思いはそれほど変わりませんでした。

相変わらず真剣に
やっていなかったかもしれません。

でも、先生に叱られたあの日から、
一つだけ変わったことがありました。

私もヒロキも
練習をサボらなくなったのです。

どこかで先生が見ているかもしれないからです。

単純に「怒られたくないから」
というのもあったかもしれませんが、

あの日、先生に
「こういう時だけ、サッカーを持ち出すのか」
と言われたのが、
恥ずかしくてたまらなかったのです。

その後、三人はサッカーにのめり込み、
数年後、全国大会に出場、
十年後、プロサッカークラブに……

とかいうのは、
ドラマや映画の中だけでの話です(^^;

私たち、三人がサッカーをやったのは、
あの1年間だけで、

中学ではそれぞれ違う部活に入り、
友情関係もなくしてしまいました。

でも、あの1年間、
いやいやながらもやってみた、

サッカークラブでの活動には
意味があったと思うし、
先生に叱られた時の言葉も忘れられません。

先生が本気で私たちのことを思って、
言ってくれたからこそ、
心に響いたのです。

今、あんな先生がいるのかな、

いたとしても、煙たがれるでしょうか。

私の人格を形成するうえで、
子ども時代に怒られて良かった
と思うエピソードの一つですね。

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