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音楽レビュー『Sensuous』Cornelius(2006)「生命」の循環を感じさせる


いざ、コーネリアスの音世界へ

『Sensuous(センシュアス)』は、
コーネリアスの5作目のアルバムです。

ウィンドチャイムの音と
アコースティックギターで
はじまる静かな1曲目から、


ウィンドチャイム(Wikipedia より引用)

2曲目以降は、
さまざまな音が飛び出し、
聴く者を不思議な世界へと
いざないます。

音は少なくとも密度は濃い

私は音楽のレビューを書く時に、
アルバムを聴き直して、
1曲ごとに気付いたことを
メモに書き起こすのですが、

コーネリアスの
アルバムを聴くと、
メモがびっしり
埋まってしまいます。

こう書くと、
意外に思われるかもしれません。

というのも、この時代の
コーネリアスの音楽というのは、
音の数がかなり
絞られているんですよね。

音に無駄がないんです。

しかし、その一つひとつの
音の作り込み、組み合わせ方には、
相当な技巧が
凝らされている気がします。

そんなわけで、1曲ずつに
書くことも多く出てくるのです。

語るべきことは多くありますが、
私のレビューも本盤を見習って、
簡潔さを重視させてもらいます。

「生命」の循環を感じさせる

「無駄がない」といえば、
このアルバムに収録された
歌がある楽曲にも
そういう傾向があります。

「歌」として「言葉」は
あるのですが、
その使われ方は本来の
「音楽」に根差した使い方で、

「言葉」にも「無駄」が
ありません。

「言葉」が「音楽」のように、
鳴っているのです。

電子音にしろ、生音にしろ、
一つひとつの音の作り込みが
すさまじく、

また、それらの合わせ方、
ずらし方が絶妙です。

最後の曲のラストで、
再びウィンドチャイムの音で、
1曲目に繋がる構成もいいですね。

「生命」の循環を感じさせます。

こんなにエキサイティングで、
穏やかなアルバムは
他にないです。


【作品情報】
リリース:2006年
アーティスト:Cornelius
レーベル:ワーナー

【アーティストについて】
’89年、フリッパーズ・ギターの
メンバーとしてデビュー。
’91年、解散。
’93年からソロユニット、
Corneliusとして活動を開始。

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