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「自由と自我について文章を書いてくれ」と言われて困った話

じぶんで言うのもなんだけど、
ボクは、根が真面目な人間だと思う。


どれくらい真面目かと言うと、
「あのお店、今度行ってみたいね。」
「いいね、いこういこう」
そんなはずみで友だちとした小さな約束を
たとえ時間が過ぎて、
相手が忘れてしまっていたとしても
「あのお店はアイツと行くから別の店にしなきゃな」
とかなんとか心で唱えて、
別の候補を探して別のお店に向かう。
そんな、来ることのないその日を
そっと待っちゃうくらいには、
真面目な人間だ。

この際だ、他にも思いつく例をあげてみる。

実家に帰ったときは、
毎朝お仏壇に手を合わせてから外出する。

ポイ捨てをしないどころか、
拾って代わりに捨てることもある。

後輩のパワポ資料には、
気になった全スライドにコメントを添えて返す。

おいおい、ド真面目じゃねえか。
書いてて自分にツッコミを入れたくなるレベルである。

かくゆうこの文章も、
友だちのさくらさんが気まぐれに言ってきた
「自由と自我についての文章を書いて欲しい」という、
なんでそのお題思いついたんって感じな
難易度高め過ぎるリクエストを鵜呑みにして、
(ええ…自我ってなんだっけ…)とか思いながらも
律儀に書き出してみている現状である。

ひとまずボクは、
自我の意味を調べてみることにした。
すると以下の結果が出てきた。

—————————
じ‐が【自我】
1 自分。自己。
2 哲学で、知覚・思考・意志・行為などの自己同一的な主体として、
 他者や外界から区別して意識される自分。⇔非我。
3 ㋐心理学で、行動や意識の主体。自我意識。
 ㋑精神分析で、イド・超自我を統制して現実への適応を行わせる精神の一側面。エゴ。
—————————

ああ、無茶だな。
このどえらい深めな言葉に
「自由」を掛け合わせて、
期待に応える文章にするというのは
なかなかに無茶ってもんだ。

意味として羅列されたこれらのワードを
もう一回ぜんぶ検索し直しても、
胸を張って説明する自信が
微塵も湧いてこないと逆に胸が張れそうだ。

そんなこんなで無理しようにも
どうしようもないので、
なんかもう開き直って
ボクが日々思うことを書こうと思う。

全力でなんとなくの、だれよりも無責任に、
最終的には「知らんけど」で片付ける勢いだ、
覚悟してほしい。
偶然これに目を留めて
ここまで読んでくれている
物好きなアナタだけに宛てた文章としよう。

ーーー

まずボクが思うのは、これまで書いてきた
自分の「真面目さ」ってのは、
「自我」ってものと関係している
…ような気がするということ。

前述のボクの真面目エピソードについて、
驚く人もいると思う。

ただ正直、ああした真面目を執行することは
ボクにとってそれほど
苦痛を伴うものではなかったりするのだ。

もっと言うと、
そんなときボクの心はこう言ってたりしてる。

「なんとなく決めたからやってるだけだよ。」
「むしろ、やらないとなんとなく気持ち悪いんだよね。」

誰とするでもない、
自分の中で交わした小さな約束が、
心に残って、習慣になって、
為人になっている、といった感覚である。

気づけば、そうした約束を守らないことが、
なんとなく自分で許せなくなってたりもしてて。

「自分のことを嫌いになりたくないから(好きでありたいから)」

そんな理由と判断基準で、
真面目をヤッてるのが実情だ。

なので、在りたい自分が真面目なだけあって、
もしかすると本来のボクは
真面目じゃないのかもしれなかったり…

って書いてたら、
いよいよ自分でも頭がこんがらがってきた。

もっかい話を本筋に戻すと、
そんな真面目も自分のひとつで、
どれも自分なんだろうなって話で。

たとえば、
今こうして文章を書いているこの瞬間に、

突拍子も無いおふざけ話に
変えることもできれば、

程の良いお利口さんな話に
もっていくこともできるし、

モウ、ワッカンナイヨ!
ヤメターーーー!と発狂して、
PCを閉じることだってできる。

でもしかし、どうやら今ここにいるボクは、
自分なりに真面目に、
書き連ねることを選びたいようで。

その真面目にもたぶん、
いろんな種類があって、

難しい辞書を引き続けて
答えを出す真面目があったり、

心の思うことをそのまま文字に、
形にする真面目があったり、

誰かの考えやどこかの常識をもとに
つくられる真面目もあれば、

こう在りたいっていう自分の心と
向き合い続ける真面目もある。

人が生きる上で、
目の前に並べられる選択肢ってのはきっと、
横並びだけじゃなくて、たぶん縦にも並んでて
斜めにも、なんなら裏っ側にも隠れて、
ズラリと敷き詰められてたりしてて。

「そのどれを選んでも良くて、
そのどれを選んだとしても自分。」

これってすっごい自由な状態だなって思う。

なんだろう、
いろんな道が枝分かれして見えるけど、
そのどれを選んで進んでも、自分って書かれた
ゴールテープ持った係の人が待ってる感。

たとえ何をしたとしても
ボクであれるって気づいたら、
不思議とホッとする感覚になれたりして。

どんなに信じられないような失敗をしても、
どんなに柄じゃ無い恥ずかしいことをしても、
どんなに批判されるような悪いことをしても、

次の日の朝、
起きて布団をどかして思うわけですよ
「あ、今日も自分じゃん」って。

自分であることは変わらないし、
違う誰かになれることは、ない。

だから、誰かになりたいと思う必要もない。

自分であることから
逃げることはできないけど、
逆に、自分であることからも
逃げなくて良いんだよって。
いつか死ぬまで、
どんなことがあっても、ずっと自分。

人生、良いこともあれば悪いこともある。
人間、良い面もあれば悪い面もある。

全部ひっくるめて今の自分があるし、
全部ひっくるめて自分の人生になる。

「何選んでもいいんだよ、
何選んでもキミなんだから」

そう言われてると思ったら幾分か、
今の時代って生きやすくなるなあと思う。

それが「自由と自我」かなあと。

———

ここからは余談なんだけど、
近頃、周囲の話を聞いたり
相談に乗ることがちょいちょいある。
そこでまた、ちょいちょい耳にするのが、
物事や一日や人生を、断片的に切り取って
「最悪だ・最低だ」という声。

だけど本当は、
その切り取られた外っ側にはちゃんと
「最高や幸せ」があったりする。

すーぱーツライ状況のはわかるけど、
なんとなくその視点なのか視野なのかを、
広く捉えてみることも大事にしてみたいよな、
とか言いたくなったりする。

でも当人が一番大変で、
あっぷあっぷしてる状態なもんだから、
真っ只中にそんなこと言われても
「でも…」って言いたくなるのもわかるので
「ああ、伝えたいな」と思った時だけ、
タイミングを見て声に出すようにしている。

幸い、ボクにも今はこうして
冷静に考える余裕があるので
ここにちゃんと書いておくことにする。

「物事を捉える視点すらも、
ボクらは自由であることを忘れないでいよう」

どんな自分を選んでも良い、
そんな自由な選択肢が
今、目の前にあるんだから
少なくとも、不本意な選択は
したくないものだ。

つまらないしがらみも、
必要のない社交辞令も、
誰のためかわからないような
無駄な気遣いも要らない。
じぶんが一時的に傷つかないための
見栄とかも、全然要らない。

極論、人に迷惑さえかけなきゃ、
何してもいいんじゃないかなあと。

ちょっとご時世的にアレだけど、
あえて言うと、
「コロナがあけたら〇〇しようね」
って言葉がキライだ。

どうにもならない状況も、
世の中的な目も、わかる。わかるけど、
どこか既に諦めてて、
何か都合の良い言い訳にしてる気がして、
残念がる表情を顔にひっつけた
コミュニケーションが、どうもしんどい。

だからなるべく、
自分の口からは言わないようにしている。

むしろ最近のボクの楽しみは、
「じゃあ、いつ会う?」
「え、いつやろっか!」
そんな、できるだけ具体的な約束を
とりあえず結んじゃうことだ。

会いたい人や仲良くなりたい人と。
そして、自分自身と。

無駄に真面目な自分の性質をうまく使って、
心を揺さぶる瞬間とそのキッカケを、
できるだけ増やしてる。

おかげさまでか、
近頃は回数こそ限定されるものの、
誰かと笑い合う記憶は
色濃く残っている実感がある。

現代人は、当事者は嫌だけど、
主人公でありたい人は多い気がする。
でも当事者になる覚悟がなければ
結局、何も残らなかったりする。
自粛するのも自分で、
行動するのも自分だから、
結局は、好きにするしかない。

振り返った時に
好きな自分でいることだけ大事にして、
なんかいい感じに生きていこうと思ってるよ、
ボクは。

ーーー

と、まあ珍しくも
カレーでもないことをつらつらと
非常に久方ぶりに文章を書き連ねた、
あとがきに。

最近、何年振りかに
バガボンドを読み返す機会があって
主人公の武蔵が農作業をしながら、
生きる上での自由に気づくシーンがあった。

ちょうど上で書いたようなことを
悶々と思ってた時期に出会うもんだから、
フィクションとか現実とか
昔とか現在とかさておいて、
めっちゃわかるわあああああああ…
って鳥肌立つような共感した。

そうだ、これを誰かに喋りたくて、
さくらさんに話したのがキッカケだった。

ちょうど今それを思い出して、
「なんでそのお題思いついたん」
とか文章の冒頭で言ってる
記憶力のヤバい自分に気づいた。笑えた。


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