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「自分らしく生きる」の落とし穴

令和になって?というか平成の終わり頃から価値観が多様化し、インターネットが日常化することで
組織やチームよりも個人にスポットライトがより当たりやすく「自分らしく」だとか「自己肯定感」といったワードが流行りました。

子どもの教育に事業として携わっていたり、大人でもキャリアの相談にのったり、コーチングを仕事としてやっていることから個人的に上記のワードについて考える機会が多かったのですが、流行れば流行るほどある種の危険さも感じていました。

自分らしくとは?や自己肯定感とは?という話はネットや本によって定義が微妙に違うのですが、大まかにいうと以下のような意味合いで語られていることが多いです。

「自分らしく生きる」
人の価値観に振り回されずに、自分の軸をもって生きよう。人からの評価に一喜一憂するのではなく、自分がどうすれば満たされるのか?何が自分の人生を幸せにするのか?を見つけて、自分なりに生きていこう

「自己肯定感」
結果が出なくてもいい、人に勝たなくてもいい。自分は自分として存在しているだけでいい。ありのままの自分を受け入れてくれる人が周りにいる。

で、確かに大事なことなんですが、「自分らしく」や「自己肯定感」というワードが先走っていて、落とし穴があることはあまり語られていないので今回は個人的に思う落とし穴について書いてみます。

「自分らしく生きる」「自己肯定してありのままの自分を受け入れる」ということの弊害はチャレンジしなくなることです。

チャレンジには「悔しい」「ムカつく」「不安でたまらない」といった負の感情がエネルギーになることもありますし、今が最高!という状態よりも今が不満でたまらないという状態の方が馬力が出ます。幸福度がどちらが高いのか?という点は別の話になりますが、何かの領域で結果を出すときに「自分らしく」や「ありのままの自分」というものは邪魔になります。

思うに、人が成果を出すためのステップというものがある気がします。

ステップ①どんな成果を出すのか?を決める
ステップ②成果を出せる自分をイメージし、今の自分が不満でたまらなくなる
ステップ③成果出ている人と出ていない自分との差をひたすら埋める
ステップ④自分の武器を使ってより成果出るようにする

ステップ①どんな成果を出すのか?を決める
スープストックの遠山さんの本に「成功することを決めた」というものがあります。まさにこの題名に詰まっている気がしているのですが、「できたらいいな」くらいのものではなく、「自分こ当然こうなるんだ」とワンピースのルフィが言う「俺は海賊王になる男だ」のような状態を作ることです。

ステップ②成果を出せる自分をイメージし、今の自分が不満でたまらなくなる
ステップ①で自分は当然成果を出す人間だと決めた瞬間に、今のだらしない、成果を出していない、スキルが十分でない自分が気持ち悪く、許せないくらいになります。「なんで成功するはずの自分が、こんなところでくすぶってんねん!」と自分に腹立ったりします。
こうなると、成果を出すための行動が「努力」とか「頑張る」と言う表現ではなく、当たり前にすることなのでストレスなく行動を起こし続けられます。
頑張りは無理しているので自分をすり減らすし、長く続きません。この状態の時、まさに自分らしくとか自己肯定とかはなく、あるのは自己否定だったりします。

ステップ③成果出ている人と出ていない自分との差をひたすら埋める
ここは一般的な問題解決というか、スキルやノウハウの話で、成果を出すために何が必要で、どうすればいいのか?をひたすら特定して改善し続けるみたいな話です。問題解決の話は書くことがありすぎるのでここでは省略します。

ステップ④自分の武器を使ってより成果出るようにする
ステップ③を通じてある程度の成果を出せたら(その領域で一人前と呼ばれるくらい)そこで初めて、自分の得意や自分のキャラを使ってどうやったらもっと成果を出せるか?を考え始める段階です。ステップ④でようやく「自分らしく」が登場します。
ステップ③の段階で自分らしくとか言っているとすると、それは成果の出ない変なこだわりや1円にもならないプライドでしかなく、成長を阻害します。

結局全ての要素にはメリットデメリットがあるというか、何かを選択することは何かを捨てることと同義なので

時と場合に応じるというか、自分が今何を求めているか?を自覚した上で、コンセプトだったり、信じるものを選択して突き進むのがいいんだろうなと思います。

就活生と話す機会があったのですが、「自分らしく」というワードを聞いていた時に抱いたモヤモヤはこういうことでした。

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