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買うか?やめるか!?築50年を超えるボロボロの家が、とてつもなく魅力的に見えたあの日
わたしたちが出会った、古い二階建ての家。一階の一部は元歯医者さんで、あとは5D Kの居住空間でした。
大きな家を探していたわけでもなかったのに、「管理物件」と書かれた看板を見つけたわたしたちはその場で不動産屋に電話して、翌日に内見をしたのでした。
その時の様子は <#1 小さな田舎町に、2軒もシェアハウスをつくるつもりなんてなかった>で書いてみました。
それはのちに、私たちのシェアハウスとなる物件なのですが…。<OPENした様子はこちら>
今日は、その空間がどんなものだったのか、紹介しようと思います。この紹介を見て、この文を読んでくださっているあなたが、もしこの町で、この物件に出会ったとしたら、買っていたか、やめていたか、聞けたらおもしろいな〜、と思います。
『暮らす実験室 SIKA はじまりの物語』
私たちは、大分県竹田市という小さな都市の城下町で2つのシェアハウスを運営しています。<暮らし方の実験を>をテーマにしていて、その名も「暮らす実験室」。これは2022年11月にオープンしたばかりの2つ目のシェアハウス「暮らす実験室 SIKA」が、1年半のセルフリノベーションを経てできるまでのあれこれを物語として綴ったものです。<毎週金曜日更新>
場所は大分県竹田市、小さな城下町
場所は、大分県竹田市の城下町にあります。わたしたちは2016年に、東京からここ竹田市に移住してきました。竹田は人口2万人弱、高齢化率48.2%※、過疎高齢化が進んでいますが、美しい山と川、湧水と多様な泉質の温泉がある、自然のめぐみが暮らしを当たり前のように豊かにしてくれる心地いい町です。
※令和2年度国勢調査より
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そんな竹田の中でも、わたしたちが見つけた物件は城下町にあります。滝廉太郎の荒城の月の舞台になったとも言われる岡城跡のふもとに広がる古い歴史の面影を残した街並みの外れに位置しています。
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歴史の面影を残した…と言っても、京都や奈良、松本、倉敷、同じ大分県でいうなら、臼杵、日田の豆田などの有名どころの残しっぷりに比べるとささいなものです。江戸時代に建てられた物件でも、昭和に表部分だけ改修するのが流行ったらしく(看板建築というらしい)、パッと見そう古く見えないことが多いのです。江戸時代からタイムスリップしたというような情緒はほとんど残っていません。武家屋敷通りが一部残っていますが、そのエリアは小さく、メンテナンス度合いはお世辞にも高いと言えない。竹田の城下町の観光的価値を言い表すならば「城下町の趣を感じるためだけにきたならば、残念感は否めない」と言うのが正直なところ。
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でも、わたしはこの城下町、好きなんですよね。江戸から明治、大正、昭和へ変化した、人々の生活の様子が年輪のように見られて。城下町を売りにし観光で維持してきた町ではなく、商いの町、生活の舞台として機能してきた感じに、なんとも趣を感じます。<ちょうどいいレトロ感のある生活の舞台>を、暮らすように味わえる場所。これがわたしなりの竹田城下町の紹介かもしれません(毎回変わるけど)。
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はい。長くなりましたが、そんな田舎の城下町の外れにあるのが、今回紹介する物件であります。
もと歯医者さんと5DKの物件
不動産屋のおじいちゃんに、道路に面したガラスの扉にある鍵を開けてもらいました。扉には「診療時間」の文字。「歯科医院」という文字も、うっすらと残っていました。
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入ると、すぐ受付。
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ふつうに歯医者の受付です。
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だるまが受付してくれてる感。
奥にはトイレと洗面台があります。患者さんが使ってたんでしょう。きれい。
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進むと診察室が広がっています。
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受付の裏側が見える。おー。文房具やファイルが残っております。
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診察台はなくなっているけれど、診察台の痕跡が地面に残っています。コードがなんとなく不気味に感じます。歯医者さんにありそうな飾りが赤茶けて、壁に飾られていました。
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さらに奥に進むと、詰め物とか作ってそうな水場と、歯科技工士さんが使ってそうなコンクリート造りの小部屋と倉庫を抜け、居住スペースにうつります。
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大きな居住スペースへ
左手には、居住スペース用の玄関があります。
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そしてトイレ。
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洋式で、広いしそのまま使える感じ!
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ひとつ目の部屋|天井が独特
ここは看護師さんたちが使ってたんだと思われます。
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ロッカーに、ローテーブル。
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独特な△の形状の天井。
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小さく感じるけれど、押し入れスペースが大きいので、床面積と収納合わせたら8畳分くらいありそうです。
異素材ミックスのお風呂
その隣にはお風呂がありました。
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廊下から入ると洗面所と脱衣所、そして壁を挟まずそのままお風呂スペース。
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脱衣所とお風呂場の高さの差がほとんどなく、床材のデザインだけで区切りが示されています。
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(もうちょい段差があった方が脱衣所がびしょびしょにならなくていいんじゃないか?)
それにしてもデザインが独特です。壁は煉瓦風のタイル、脱衣所床は幾何学模様、お風呂スペース床は石風タイル、湯船は大理石風プラスチックでございます。
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お風呂場に窓とドアの両方があるもの独特。早くシャワーを浴びたい時は、このお風呂の扉から帰宅して、さっぱりきれいになってから家でくつろぐなんて流れを想定していたんでしょうか。
おもしろさはあるけれど、熱伝導率が高い素材だらけなので、冬は寒そうです。
家の大きさの割に小さいダイニングキッチン
さらに奥にすすむとダイニングキッチンがあります。
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手前の床は畳敷き、奥はフロアシートが敷いてあり、そこがキッチンエリアとなっています。
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レトロなモスグリーンのキッチン。
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天井部分にもボックスタイプの収納が同色で配置。
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なんと壁のタイルも同色、冷蔵庫もほぼ同色というモスグリーンだらけのスペースになっています。この色、今はなかなかインテリアに使われていないカラーですが、昔ありましたよね。個人的には結構好きでした。
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8畳ほどの部屋なのに、5つも窓があります。(出窓部分の状態の悪さにこのあと泣かされることになるのですが、この時点でどれほどそれ気づいていたのか…今となっては覚えてもいない!)
二階への階段
さて、いったん玄関の方に戻ると二階へ続く階段があります。
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階段はカバーが劣化して結構なボロボロ具合です。でも天井が高く、木製の窓が大きく取られていて光がさして、映画に出てきそうな雰囲気があります。だって、いま、こんな階段なかなかないから。空間を贅沢に使った大きな階段です。
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2階に4部屋。明るい廊下
2階には4つも部屋がありました(4つもあるなら、キッチンのある部屋をもっと大きく取ればいいのにと思った)。一昔前までキッチンは奥まった場所で、かつ面積も小さくしか取られていなかったという定説が具現化した感じ。家事・炊事の置かれていたポジションの低さを感じます。
そうそう。階段を登ったところにあるこの廊下が良いのです。明るく広々。階段へ抜ける感じの開放感が魅力的です(ここの魅力にやられたわたし)。
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広々した和室
2階ひとつめの部屋は大きな和室。広く、二面に取られた窓があります。
床だけで8畳。押し入れを入れると、10畳はありそうです。
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障子ボロボロで廃墟感がすごいけれど。
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押し入れも大きいし、その他細々した収納があります。
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このザ和というしつらえをどうするかというのは検討の余地ありそう。でも、使いやすそうな部屋です。
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ナイスな洋室
和室の隣にはナイスな洋室がありました。
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ここは一番「すぐ使えそう」という印象を与える状態です。
窓は2面に大きくとられています。
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布地素材のしゃれおつなでかい絵が壁にぺったりと貼り付けてあります。
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そしてその絵の下。ここには暖炉があったんだそう。暖炉風の暖房器具だったそうですが、そういうの昔流行ったらしいですね。でも、重たいとのことで、なにかのきっかけで取り外したんだそう。
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収納はゼロのこの部屋ですが、とにかく広い。10畳はあるでしょう。そして明るい。窓からは、付近の瓦屋根と山々が見えていい感じです。
小さな和室。元こども部屋?
廊下を挟んで反対側に、あと2部屋あります。
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すぐ左手に小さめの和室があります。
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部屋に対して窓が小さめですね。カーテンが抜群にかわいい。サイズあってないのはなぜ?
大きさと雰囲気からして、子ども部屋用だったのかしら。でも、砂壁。不思議な雰囲気。
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小さな勉強机を置いて、この押し入れに服や子どものあれこれを入れて…と想像すると、うん、昭和の映画にでてきそうです。育ちの良さそうなお嬢ちゃんが目に浮かびますね。
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広い畳敷きの…洋室?
そしてその奥。これが最後の部屋です。
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ここは応接間だったんでしょうか。高級そうなソファが並んでいます。
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壁紙は洋風なのに、床は畳というおもしろい組み合わせです。
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日当たりがよくて、曇り空だったこの日でも明るさを感じました。
もしこの家で、自分の部屋を選ぶなら、ここがいいな〜と感じる空間でした。
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洗濯物干しに最高!ベランダ
あれ。この扉はなんだろう、と開けてみると、そこにはベランダがありました。
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サビサビ、サビサビの、サビカラーですが。
なんて洗濯物が干しやすそうなんだ!!!!
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物干し竿を4本くらいぶら下げて、干しまくれそうです。天井もないし、3面から風がはいり、日当たりも抜群。え〜こんな洗濯物干し場欲しい!!
わたし的に、スーパー興奮ポイントでした。
2階のトイレ
懐かしい感じのたっしょん便所と、和式便所がございました。
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でもこのトイレは、あるときに使わないということになって、もう浄水も下水も取り外す工事をしたんだそう。
(なぜ?と思ったけど大したことだと思わなかった。でも、2階には1つも水場たないってことなので、水を1階から引いて来なきゃいけないってことでした)
見る人が見ると廃墟?わたしの目には「城」だった!
家をひととおり見て、わたしはかなりテンションが上がっていました。
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不動産屋さんは「まあ古い物件だよ」と言っていたけれど、え〜めっちゃいい感じじゃないか〜。これまで見てきた古民家に比べて、お金をかけてちゃんと作られているように感じたし、診療所をのぞいて目に見える床の穴もない、2階は日当たり抜群。
この物件に出会う前に、1つのシェアハウスをセルフリノベーションしており、昭和な空気漂う建物を自分たち好みに変えた経験があった私たちは、この空間を自分好みに変身させたら…という想像がもくもくとふくらんでおりました。
<1つ目のシェアハウス の変身後はこんな感じ>
まあちょっとした経験もあるし、このくらいの状態ならば、また自分たちでいい感じにできるだろう、と。
魅力と同時に、欠点を感じとることが古民家内見で大事だったのである
でも。その時私たちは、まだ、大事なことを知りませんでした。
家のリノベーションで大変なのは、床を張り替えたり壁を変えたりするという見た目を変える部分ではなく、床下や壁の中や天井など基礎に近い部分をいじることなのだということ。
そして、リノベーションが、床下や壁の中、天井上まで必要かどうかは、家の表面をざっと見ただけじゃなく、慎重に確かめる必要があるということ。
例えば、床が傾いている場合。軋み音がある場合。ただそういうつくりだった、地震の影響、という場合もあれば、シロアリ被害からの影響の可能性もある。
壁にへこみや、ブヨつきがある場合。雨漏りや湿気による木の腐れ、シロアリ被害がある可能性がある。
天井にシミがある場合。動物が入り込んでおしっこをしたケースもあれば、雨漏りの可能性もある。屋根をいじる改装は結構お金がかさむということ。
そんなことたちを、私たちはどこかで聞いたことがありました。でも、そのことがリノベーションの工程に対してどれほど大きな変化をもたらすかはまったく分かっておらず、要に「まあなんとかなるか」と思っていたのです。
この家に関して言えば、一階の廊下には、少し軋み音があって、斜めになっているなぁ。と感じました。どの時点でそれに気づいたかは覚えてもないけど!
さて、この家はいくらか!?
不動産屋さんの話では300万円とのことでした。多分、250万円までなら、下げれると思うとのこと。
どうでしょう?
私たちはそんなにお金があるわけじゃないけれど、ここまで大きな物件で、250万円ならば、え?ありでしょう!?と感じたのでございます。
「キッチンは、2階の明るい部屋に移動させて…。なん部屋取れるかな?」
「どのくらいでリノベできるだろう?半年くらい?」
なんて言っておりました。
(でも私たちは知らなかったのである!シロアリに喰われ、基礎からのリノベーションを必要としている大きな家にどれほどの時間とお金がかかるのか、ということを。でも、それはまた先の話…)
さて、この物件に出会ったら、みなさんはどうするでしょう〜!?
買う!?買わない??コメントもらえたらおもしろいな〜なんて!
▼
次回は「城」を手に入れたその後の話をお届けします。
<毎週金曜日に更新予定>
「暮らす実験室 SIKA はじまりの物語」を更新していきます。
何も考えず壁も屋根もぶっ壊してあたふたしたり。
シロアリ被害に泣いたり。
進まなすぎて行き詰まり?私がまさしをボコボコに殴ったり!
ほんとうにたくさんの人が助けに来てくれたり。
いろんな出来事を、書き残して行こうと思います。
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