お給料を上げる3つの方法~でも大切なのはその中の1つだと思うよ、というお話
お給料、増やしたいですよね。
一般的に、サラリーマンの生涯賃金は3億円、と言われますが、これは平均値で、スゲー高い人も一緒に割られちゃっているので正確ではありません。
ちゃんと中央値で見ると、大卒平均で2億4,000万円、高卒平均で1億9,000万円、非正規雇用者だと約1億円になるようです(※これは男性の値で、女性はこの金額よりも低い。60歳定年なのか65歳定年なのかによっても変わるので参考値としてみてください)
意外と低いな…と思いましたか?
さて、そんな折、今週、ベイジの枌谷(そぎたに)さんが、こんな素敵な資料をアップしてくれていました。
目を皿にして見ておきましょう。
給与は、精神論としての「ガンバル!」だけで上げることはできません。きっちりと、給与が決まる構成要素を理解しておく必要があります。
上記noteで、USJの経営をV字回復させた立役者・森岡さんによる著書が紹介されています。書籍の中で、年収の上げ方についてこんな記載が。
お給料を上げる方法、これが答えなんです。
それぞれ、ちょっと噛み砕いて解説します。
1. 職能の価値:スキルの需要と供給状況
この世のほとんどのものの価値(≒価格)は、需要と供給のバランスで決まります。僕はサバの塩焼きが大好きで、よくランチに食べるんですけど、近くの定食屋で800円で食べることができます。あんなにうまいのに。
サバが安いのは、需要も多いけど、供給も多いからです。アワビが高級食材なのは、うまいことだけが理由ではなく、希少だからです。もしアワビがサザエと同じくらいの供給量なら、価格は圧倒的に安くなるはずです。
外部労働市場も同じです。
あなたのスキルが、いまの時代に、猛烈に必要とされており、でもそのスキルを持った人材が労働市場に少ない場合、需要過多となり、あなたのスキルは高値となります(逆の場合は、供給過多となり、安値で取引されます)
現在、そしてこれから数年は需要過多が続くと予想される代表的な職能は、IT/Webエンジニアです。エンジニアの給与が高い理由は、専門性や特殊スキルもありますが、圧倒的な需要過多だから、です。
2. 業界の構造:業界特有な構造的な年収の限界
たとえば漁師。
同じ漁師という仕事でも、何を獲るかによって、年収は大きく異なります。養殖か、天然か、近海か、遠洋か、によって変わるようですが、こんな感じみたいです。
ホタテ < イカ < カツオ < マグロ < カニ
やっぱり、市場価値が高い魚種をとっている人は、年収も高くなる傾向があるようです。漁業でも、カニ業界の方が、イカ業界よりも儲かる。
会社も同じです。
外資系コンサルティングファームや、投資銀行の年収が高いのは、優秀な人材が働いているからという理由もありますが、そもそも会社の利益率が高いからです。つまり、もうかる商売ということです。
ボストン・コンサルティング・グループやマッキンゼーなどの大手外資系コンサルティングファームは、平均営業利益率が20%と言われています。一般的なコンサル業でも、10%はあるでしょう。
一方、流通大手のイオンの営業利益率は2.5%です。就職・転職先として流通業を選択した時点で、一定の給与までしか上がらない(とても上がりづらい選択をした)という自覚が必要です。
所属している会社が属する業界が儲かる業界なのかどうか。給与は会社が儲けることができる利益とのバランスで決められるため、そこで働く人の年収も、ある程度業界特性で決まってしまうということです。
3. 成功度合いによる違い:代替(だいたい)不可能な能力を有しているかどうか
ここ大事ですよ。
いままでの職能の価値(需給バランス)と、業界構造は、自分で努力しても変えることはできません(変えることができるのは、それを選ぶか、選ばないか、だけ)
でも、この成功度合いによる違い(代替不可能性)は、自分の努力で高めることができます。
これは何かというと、同じ業界・同じ職能(スキル)でも、代替可能な人と、代替不能な人がいて、代替不能な人は価値があるから給料が上がるという話です。
たとえば、青果卸売業の人事・総務部に勤める35歳の女性がいたとします。
東京都中央卸売市場で営業する青果卸10社の2017年度の営業利益率は0.4%なので、業界の構造としてはかなり厳しいと言えます。青果卸の業界を選んだ時点で、高い年収は期待できない。
そんな青果卸の人事総務に勤める山田花子さんは、大卒新卒入社の13年目。そろそろベテランです。総務は、書類管理、法務や契約周り、情シス、広報、Webサイトの更新、安全衛生、社内イベント管理などなど、細かい仕事たくさんあります。
花子さんは、あらゆる総務業務を経験し、早く、丁寧にこなすことができます。もう立派な総務のエキスパートです。
さて、ここまでだと、職能の価値としての「総務業務のエキスパート」で終わりです。でも花子さんは、ここからが違います。
花子さんは、約600人いる社員全員の名前と顔、家族構成、趣味などを記憶していて、会社や物流センターですれ違う人すべてと楽しそうに会話をしています。「今度、東京マラソン出るんだって!?今度こそダブフォー頑張ってね!応援してる!」「子ども生まれたんだよね、おめでとう!太郎くんはお兄ちゃんになるんだね!」
人事総務という仕事は、その会社で働く社員をサポートするバックオフィス的役割を担うため、社内での顔の広さや、日々のコミュニケーションによる相互理解・相互信頼が相談のしやすさによる相手の満足度、自分の仕事のやりやすさにダイレクトに効いてきます。そのため、花子さんのデスクには、いつも誰かが相談にやってきます。
そんな花子さんが、ふとしたきっかけで人材エージェントに申し込み、キャリアアドバイザー(CA)と面談をしたとします。CAは「この人すげえ!」と感じ、様々な求職起業に打診したところ、すべての企業が面接を希望し、5社から内定が出ました。
花子さんの現年収は360万円。オファー平均は450万円。
迷った花子さんは、部長に相談をします。部長は、「花子さんに辞められちゃウチがやばいよ!」と、必死に引き止め交渉をします。年収に90万円の幅があり、さすがに全額は埋められないけど、中間の400万円で話が落ち着きました。
花子さんも、いま勤めている会社が大好きなので、とても満足しています。
さて、ここまでの話で、どこがポイントだったかわかりますね? 業界の構造は業界内の全員が同じ条件、職能スキルも、幅はあれど、劇的な差は付きづらいかもしれない。
でも、花子さんは、「代替不可能性(代替困難性)」が圧倒的に高かった。代替不可能性とは、花子さんの代わりを外部労働市場で探してくることが極めて難しいということです。だから、「花子さんじゃなきゃ駄目なんだ!」となるんです。そうなれば、厳しい業界構造、天下一品の職能スキルがなくたって、給料は上がるんです。
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ということで、お給料は、職能の価値(需給バランス)、業界の構造、代替不可能性の3つによって決まります。
だから、給与を上げることだけを考えるのなら、需要過多・供給過小な職能を身につけ、儲かっている業界の企業に就職・転職し、そこで職能だけでない代替不可能性を高める。これが最強の3重奏です。
でもですね。
高いお給料をもらっていたって、仕事を通して、幸せを感じていなかったら、なんにもなりません。現に、高い年収をもらっているのに、幸せそうじゃない人はたくさんいるし、給与を下げてまで転職をする人もいる。
僕は、「むきむきみっちゃん」が大好きです。知ってます? カニの殻むき名人、むきむきみっちゃん。
みっちゃんは幸せそうです。
職能の需給なんて気にしません。カニの殻むき職人の世界に、需給バランスがあるかどうかはわかりません。業界の構造も、観光業界なのか、旅館業界なのか、カニの殻むき業界なのかもわかりません。
でも、みっちゃんは、代替不可能性の塊です。
みっちゃんをめがけて、福井の旅館に、県外からたくさんのお客さんが押し寄せます。
※ちなみに、みっちゃんは女将で、雇われの身ではありません
人によるでしょうが、多くの人にとっての人生のゴールは、幸せになることです。幸せになること。これがゴール(KGI:Key Goal Indicator)。
お金(お給料)は、人生の幸福というKGIを達成するための手段(KPI:Key Performance Indicator)にすぎません。だから、お給料が高ければ、幸せになれるかどうかは、わからない。お給料は、幸福な人生のひとつの構成要素に過ぎないからです。
僕は、代替不可能性と人生幸福度って高い相関がある気がしています。
だから、自分の人生で成し遂げたいミッションの中で、代替不可能な人間になり、結果としてお給料が増える。
それが一番「幸せになるお給料の増やし方」だと思うのです。
今日は平成最後の営業日。来週水曜日からは令和元年。そんなメモリアルなGWに、「自分にとっての幸福な人生」「成し遂げたいミッション」「キャリア」「お給料」について、ゆっくり考えてみてはいかがでしょうか。
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