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残酷な働き方改革の時代を勝ち抜くための武器 『自分を育てる「働き方」ノート』 を出版します(→前書きと後書きを全文公開)

このたび自己啓発本を出版することになりました。マーケティング本は何冊か書いてきましたが、自己啓発本は僕史上初です。

テーマは「仕事観と働き方」、タイトルは『自分を育てる「働き方」ノート』です。タイトルの通り、読みながらワークを進めていくと頭の中が整理されてやることが明確になるよ! というもの。

この本を書こうと思った背景

僕は、いまでこそたくさんの大手企業と仕事をさせていただくマーケティング会社の経営者をやっていますが、(いまから30年ほど前に)キャリアが始まったときは道端に生える雑草レベルからのスタートでした。

自分のスタートラインがだいぶ下の方であることを認識したのは社会人2年目のこと。中小企業診断士の資格をとるために通い始めた学校のクラスメイト(平均年齢40代)がみんな一流大学、一流企業で働く人たちで、「おや? もしかして俺って…」と、ようやくそこで気づいたのです。我ながら遅すぎる気づきでした(笑)

クラスメイト(≒ビジネス社会で活躍する人たち)と並び、追い越すためには、人が仕事をしているときに倍速で仕事して、人が遊んでいるときも仕事と勉強をし、人が寝ているときも仕事と勉強をしなきゃ絶対無理だ。普通の人(以下の自分)が(自分より優秀な)人と同じ努力を同じ量やってたって追いつけるわけがない。やってやるぞ!

こう気づかせてくれたのは、そしてそのエネルギーを持続させてくれたのは、20代から30代前半にかけて読んだ大量の自己啓発本のおかげでした。当時、八重洲ブックセンターの「自己啓発棚」に並んでいる本はほとんど読んだと思います。

当時、自己啓発本こそが僕にとっての「心の拠り所」であり、「教科書」であり、「地図」であり、「羅針盤」であり、「望遠鏡」であり、「顕微鏡」であり、「ガソリン」でした。

僕はまだ発展途上で道半ばの人間です。人に偉そうなことを言える立場ではありません。それでも「道端の雑草だって、心持ちと努力次第でこのくらいまでにはなれるよ!」ということを伝え、数百冊の自己啓発本とその著者からいただいた恩を次の世代に送りたいと思いました。

人生観、幸福観、仕事観は人それぞれです。正解なんてありません。「みんな違って、みんな良い」です。だから「こうすれば良い(俺はこうした)。さすればすべての人は幸せになれるだろう」なんてことを言うつもりはありません。

なにより、僕が自己啓発に勤しんでいた時代とは人の価値観も働く環境もぜんぜん違います。現在は、誰もが「上」を目指し、「前」に進むことが美徳とされる時代ではありません。

しかし、そんな時代においても「いまいる会社はホワイト過ぎる」「快適だけれど、このままでいいのか」「ノー残業、叱ってくれない上司、ぬるい職場。自分はもっと頑張りたい、もっと成長したい。じゃないと将来取り返しがつかない状態になってしまいそうで怖い」「どうしたらいいんだ」と悩み、焦る人たちに、「その心の声を大切にしなよ!」と伝えたい。

僕の周りの「すごい人」と言われている人は ”優秀な人” が ”常人離れした努力” をし続けたことによってたどり着いた結果であり、それは「ありのままのあなたでいいんだよ」「あなたは、あなたのままですでに地球でオンリーワンの価値がある」という世にあふれる甘言ではたどり着けない境地だとも思っています。

「一流の職業人を目指せ」「近道など無い」「圧倒的な努力をせよ」という昭和感全開の主張は、時代錯誤で、古びた戯言に聞こえるかもしれません。それでもなお、僕は「いまの時代だからこそ、モヤモヤしている若い人たち」に伝えたかった。

幸せになりたいのなら、そして素晴らしい仕事がしたいのなら、【常軌を逸した努力】をしてください。そしてその努力が報われるかどうかは、【自分が】どれだけ努力したか【ではなく】、【人より】どれだけ努力したかという【相対的】なものであると。

それが本書を書いた背景です。

前置きが長くなりましたが、そんな想いを本書の「はじめに」と「おわりに」でも書きました。全文公開しますので、よろしければ読んでください!

『自分を育てる「働き方」ノート』 ▶ はじめに

「年収を上げたい」
「仕事ができる人になりたい」
「一流の職業人になりたい」
「社内だけじゃなく業界で一目置かれる人間になりたい」

こんな「強い成長志向」や「成り上がり意欲」は持っているものの、「どうやったら〝その領域〟にたどり着けるのかわからない」「何からはじめたら良いのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。

そんな方たちに、明日からすぐに行動に移せる自己成長するための仕事への向き合い方、具体的な仕事への取り組み方、自己投資(自分の磨き方)などについてお伝えし、「これを実践すれば多くの人が高い確率で〝一流の職業人〟になれ、自己実現を果たすことができる実践術」をまとめたのが本書です。

「一流の職業人」への道のりは、決してラクな道程ではありません。そこに至るためには、人並みを外れた努力や経験を積む必要があります。その過程を経ない限り、「仕事ができる人」や「一目置かれる人」 にはなれません。成長するためには主体的な努力、それも他者をはるかに凌駕する圧倒的な努力をするしかないのです。

令和の時代に、そんな「努力論」「根性論」を語ると、若い人たちから「時代遅れの昭和のオッサン全開だな」と言われそうです。しかし、果たして「泥臭く努力をすること」は本当に時代遅れなのでしょうか。どんな時代であれ、「優秀な人」とは「人ができないことができる人」だったり、同じことなら「人よりも早くできる人」を指します。つまり、「優秀さ」 とは「相対的」なものなのです。

あなたは、「世の中の大勢の人たち」が志向および実践する「努力の仕方」 や「働き方」で、「相対的優位」に立つことができると考えているのでしょうか。「同じような努力」と「同じような努力量」で、「人よりも優位に立つ」ことは実現可能なのでしょうか。

ビジネス社会は、あらゆる世代の職業人がしのぎを削る「階級のない格闘技」のようなものです。そこには、昭和も平成も、団塊ジュニアもZ世代も関係ありません。優秀な人間が、優秀なのです。「努力をすることの価値」は、いつの時代も不変なのだと思います。

昔は、会社に入れば手厚い研修制度があり、時間とお金をかけて丁寧に育ててもらえました。会社から提供される学びの場だけでは足りず、もっと早く、もっと貪欲に成長をしたい人は、割り当てられた仕事だけでなく、 難易度の高いプロジェクトに自ら志願し、残業や休日出勤を含め、存分に努力することが許容される時代でもありました。

しかし、今は国をあげての「働き方改革」の真っ只中。ワークライフバランスの普及やブラック企業の問題で、労働時間や休日をきちんと守らなければいけない時代です。成長意欲の高い人が「もっと努力をする機会が欲しい」「もっと短期間で圧倒的な経験を積みたい」と願っても、 会社はそれを許容してあげられない「逆ブラック」な状態と言えるかもしれません。

その状況に、新型コロナウイルスの蔓延によるリモートワークの普及がさらに拍車をかけました。仕事のプロセスが見えづらいリモートワーク下では、がんばったかどうかよりも成果が問われます。そしてその成果は、自身の努力と創意工夫によって導出しなければならなくなりました。もはや、会社、上司、先輩、社会は、「まだ半人前の若者」を「一人前」に育ててはくれないのです。

だったら、自分で自分を育てるしかありません。もはや、誰もあなたのことを育ててはくれません。もう、自分で育つしかないのです。

しかし、圧倒的な成長を志向するあなたが、もし強く望んだとしても、 もう残業時間を気にせず無尽蔵に働くことはできなくなってしまいました。現代は、新人、ベテラン問わず、所定内労働時間の中で最大パフォーマンスを出すことが求められます。

一方で、多くの人たちが「賢く働けば、量をすっ飛ばして質を高めることができる」と考えていることに強い危機感を感じます。なぜなら、「効率は量からしか生まれない」からです(この世に「絶対」はありませんが、 これだけは「絶対」です!)。効率とは「やったほうが良いこと」と「やらなくて良いこと」を判別することができて初めて向上させることができます。

経験が少ない中で「やったほうが良いこと」と「やらなくて良いこと」を判別できる人はほとんどいないでしょう。だから、「初心者の仕事」は効率が悪いのです。質は量からしか上げられません。圧倒的な量をこなす中で、ムダなことがわかってくる。だから効率を上げることができるのです。

では、残業が抑制される環境下において仕事の「量」を増やすにはどうしたら良いのでしょう? 残念ながら、働き方改革関連法が公布・施行された現代では「仕事の量」を「労働時間」として増やすことはできません。

仕事は時間内に超効率的に行ない、期待もしくは期待を超える成果を出すアウトプットに集中する。そして「仕事の効率」を上げるための「思考量」と「学習量」の累積投下時間(=量)は、仕事の業務時間外の自己啓発で補うしかないのです(時間外にサビ残をやれと言っているわけではありません)。「仕事は超効率的に成果を出すアウトプット時間」「自己啓発は仕事で最大成果を出すための戦闘力を上げる時間」と位置づけてください。

「うげー...、大変だな......」「もっとラクな道はないのだろうか...」と 感じるでしょうか。

世の中には無数の「誰でも簡単に」「努力せず」「すぐに」「確実に」成果が出る「インスタントな方法論」があふれています。しかし、実際にはそんな方法などこの世に存在しません。「まだ見つけられていない」のではありません。世界中のどこを探しても、存在しないのです。

100万歩譲って、仮に「そんな魔法の杖」が存在していたとしても、 なぜその方法を「あなただけ」が知っていて、恩恵にあずかれるのでしょうか。誰でも簡単に、努力せず、すぐに、確実に成果が出るのなら、あなた以外の大勢も注目するはずです。また、その「誰にでもできるその方法」は、「あなたでなくても」実践できてしまいます。社会における価値とは需要と供給のバランスで決まるため、「できる人」が増えれば供給過剰となり価値は激減してしまいます。つまり、「簡単な方法」はあなただけでなく「誰にとっても簡単な方法」のため、価値はないのです。

もう一度言います。「一流の職業人」への道のりは、決してラクな道程ではありません。さらに厳しいことを言えば、ほとんどの人は途中で挫折したり、あきらめてしまい、ゴールにたどり着くことはできないでしょう。だからこそ、希少価値があるのです。

ここで、僕の自己紹介をしておきます。

僕の専門領域はマーケティングです。過去20年以上、大企業の広告宣伝、PR、マーケティング業務の支援に携わってきました。ソーシャルメディアの黎明期だった2007年(当時34歳)のときに株式会社トライバ ルメディアハウスを創業し、以降16年にわたって300社を超える大手企業のデジタルマーケティングやソーシャルメディアマーケティングの支援を行なってきました。従業員も100人以上にまで成長し、増収を続けています。その間に出版した本は単著・共著を含めて10冊以上、年間の講演回数は50回以上で、今までのべ3万人を超えるマーケターの育成にもかかわってきました。

そんな僕の今のポジションは、若い頃、特に20代での膨大な自己投資の結果、獲得したものです。本書は僕の経験をベースにしていますが、 僕の周りで活躍している「一流の職業人たち」が若い頃に実行していた思考様式や行動原理も多く取り入れています。そんな「一流の職業人たち」は、眉間にシワを寄せて、ガマンにガマンを重ねて努力をしたのでしょうか。 中にはそういう人もいるかもしれませんが、多くは「なにくそ!」「いつか見てろよ!」と反骨精神を燃やしながら、心のどこかでは自らの成長を楽しみながら努力を重ねてきたように思います。

あなたは、「サザエさん症候群」という有名な病(?)をご存じでしょうか。 多くの人は、金曜日の夕方が一番元気で、土曜日は楽しくすごす。でも日曜日の昼くらいから雲行きが怪しくなり、「サザエさん」が終わる時間になると「明日から仕事だー!」と憂鬱になる。それがサザエさん症候群です。

1年間は52週間。金曜日の夕方は52回やって来ます。しかし同時に、 日曜日の夕方(または月曜日の朝)も同じく52回やって来る。50年働くなら約2600回もの憂鬱がやって来るのです。そしてそれが月・火・水と 続く。そんな人生が楽しいはずがありません。

結局、人間は「仕事の充実」と「人生の充実」を切り離して考えることはできないのです。

ワークライフバランスという言葉の普及・浸透にともない、仕事とプライベートのバランスを重視する働き方を志向する人が増えたように思います。そのこと自体に何の異論もありません。でも僕は、多くの人が持つワークライフバランスという言葉が持つ「意味合いの解釈」に強い違和感を感じます。

「ワーク」は辛い、苦痛、苦行。やりすぎると心も体も壊してしまう。 だからやりすぎは良くない。楽しい「ライフ」とバランスを保って健康な生活を送ろうね、という解釈をしている人がとても多いように感じるのです。

仕事観も人生観も幸福観も人それぞれです。だから一概には言えませんし、極論「みんな好きに生きればいい」となるのですが、それでも僕は、ワークがつまらなかったら、どんなにライフが楽しかったとしても「人生トータルでの幸福感」は得られないと思っています。

また、ワークライフバランスという概念を、これから伸び盛りの若者から、アガリの見えた中高年まで同じように適用しようとするのが間違いだとも思います。そもそも本書を手に取ったあなたも、「こうした風潮はまやかしで、このままでは将来マズイのでは?」という思いがあるのではないでしょうか。

「一人前になった40代」や「一流の職業人」になった人にとっての「バランス」と、「これから一人前になることを目指す成長途上の若者」にとっての「バランス」が同じで良いとは思いません。「まだ半人前の状態」や「一流の職業人を目指す過程にいる人」は、バランスなど度外視し、もっと言えば大いに仕事や自己啓発に偏った「バランスが取れていない状態」を作らなければ、「人生トータルで考えた真のワークライフバランス」なんて実現できないと思っています。

僕は、コピーライターである梅田悟司さんが制作した日本コカ・コーラの缶コーヒー「ジョージア」の「世界は誰かの仕事でできている。」 というコピーが大好きです。この短いコピーに、仕事の本質が凝縮されていると感じるからです。

仕事の本質は、誰かの役に立つことです。人の役に立ち、「ありがとう」と感謝される。人から直接感謝されなくても、社会をより良くすることに寄与する。人類や地球に小さな貢献の足跡を残す。これこそが仕事の本質であり、目的であるはずです。

「仕事=自己実現」「仕事=自らの成長」「好きを仕事に」という最近の風潮は、大部分、僕も賛成です。しかし一方で、仕事の本質は「自分のため」ではなく「人のため」であるはずです。 本書では、僕の考える「自分を育てる働き方」の具体的方法について解説していきますが、自分を育てる働き方のゴールはあくまで「人の役に立つこと」であり、自分自身が満足したり転職に有利なスキルを習得することではありません。その点だけ注意してください。

本書で解説する「仕事論」は、「僕」という「サンプル数1」が学び、経験したことがベースに書かれていますが、できる限り再現性が高い内容になるよう心がけました。検索すれば何でも出て来る時代でも、講義動画を1.5倍速で視聴することが当たり前の時代でも、いかに効率的に成果を出すかが重視される時代でも、今も昔も古今東西、決して変わらない普遍的な「仕事に対する心がまえ」や「幸福な人生を送るための職業観」、そして「一流の職業人」や「業界で一目置かれる人」の多くが「実行」した自己投資や仕事術について順を追って説明していきます。

あなたは今、「一流の職業人」になり「幸せな人生」を送る自己投資の旅の出発地点に立っています。「普通のままで終わりたくない!」「将来ヘタレな中高年になりたくない!」という人は、琴線に触れた箇所を 1つずつ「実践」してみてください。 そりゃあもう大変です。誰でもできるわけではありません。でも、やれば確実に、どんどん景色が変わっていくはずです。さあ、一緒に出発しましょう!

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[目次]

第1章 「最高の仕事」は4つの要素でできている
第2章 「理想の自分」になるための戦略
第3章 普通にやっていては上を目指せない時代をどう生き抜くか?
第4章 自分の価値と給料を上げるために知っておくべきこと
第5章 自分の価値を上げてくれるものは ”圧倒的な努力” だけ
第6章 自分を育てるセルフ働き方改革① 仕事への向き合い方
第7章 自分を育てるセルフ働き方改革② コミュニケーション力を高める
第8章 自分を育てるセルフ働き方改革③ 会社からの評価をどう受け止めればいいのか?
第9章 自分を育てるセルフ働き方改革④ 最強の自己啓発 ”読書” に投資しまくれ!
第10章 自分を育てるセルフ働き方改革⑤ アウトプットで自分を磨け!自分の価値を上げろ!

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『自分を育てる「働き方」ノート』 ▶ おわりに


やりたい人10,000人、やる人100人、やりつづける人1人。

僕が大好きな一節です。みんな「やりたい」「成長したい」「夢を叶えたい」と言います。でも、ほとんどの人は口で言うだけで行動に移しません。だから、やるだけで100人に1人(1%)になれます。そして、やりはじめた人も、残念ながら多くは続きません。「絶対にやり遂げます!」と言っていた人も、続かない。それはもうびっくりするほど続きません。 だから、続けるだけで1万人に1人(0.01%)になれます。

本書を読んでくださった目的意識が強いあなたでさえ、この法則は当てはまります。本書のワークでまとめたことを今すぐ実践に移してください。そしてそれを継続してください。多くの人たちがやらない、やっても続かない中、あなただけは、やりはじめ、やりつづけてください。 それだけで、必ず道は拓けます。

キャリアの作り方には、「山登り型」と「川下り型」の2種類があると言われます。

山登り型は、たとえば「40歳までに起業するぞ!」と自身が登頂したい山の頂上を決め、「そのためには35歳までに......」「そのためには30歳までに......」とバックキャスティングして考え、計画的にキャリアを形成していく「あるべき未来から逆算して行動する」考え方です。

一方の川下り型は、大きな方向性は持ちつつも、厳密に時期や方法を定めず、川の流れに身をまかせながら、目の前の仕事に一生懸命取り組む(その結果、流れ着いた行き先が自身のキャリアである)という考え方です。

僕は、自身を「究極の山登り型キャリア観」の持ち主だと捉えていました。

ものごとを順序立てて考えることが好きだった僕は、本書の第2章でも書いた通り、20代の頃からありたい姿(理想)、現状、理想と現状のギャップ(問題点)、ギャップを埋めるための課題(施策)を考え、それを「少し無理のある」タスク&スケジュールに落とし込み、ハードな努力をしながら計画通りにタスクをこなし、問題点の解消具合を見ていくことを習慣にしていました。

計画したことをキチンと実行すれば、スケジュール通りに3合目に着く、 4合目が見えてくる。それが楽しくて仕方がなく、登山計画を見直しては山登りに勤しむ時期を夢中ですごしました。

しかし、今年50歳を迎え、自身が歩んできた道を振り返ってみると、 そこに山はなく、川が流れていました。目の前には、山頂からの景色ではなく、大海が広がっています。この歳でようやく気がついたのです。 「ああ、僕は川下りをしてきたのか」と。

思い返してみれば、僕のキャリアは大いなる川下り型です。

キャリアの前半こそ「マーケティングを極めるぞ!」「30歳までにフリーランスのマーケティングコンサルタントとして独立して年商1000万円以上を稼ぐぞ! そのためには29歳までに独立をして、28歳までに独立準備をして......」と山に登っていた気がしますが、コンサル会社への転職(2回めの転職:28歳)は知人に誘われて、フリーランスとして独立したのは勤めていた会社の社長が支援してくれたから(29歳)、フリーランスを辞めて企画デザイン事務所の役員になったのはその会社の社長に誘われて(31歳)、ネットマーケティング会社に転職したのはコンサル会社時代の先輩に誘われて(32歳)、ソーシャルメディアや SNS マーケティングに詳しくなったのはネットマーケティング会社在籍時に(mixi 開設やブログブームなど)Web2.0の波が押し寄せて来て「こりゃ世界がひっくり返るぞ!」と強い興味を持ったから、トライバルメディアハウスを創業したのは目の前に仲間がいたから(34歳)、本を何冊も出すことができたのは「本が書きたい!」と周囲に触れ回っていて助けてくれた人がいたからです。

どこからどう見ても、川下り型ですね(笑)。

僕は山登り型を自認していましたから、心のどこかで川下り型キャリア観の人たちを「受動的」「行き当たりばったり」「他力本願」と小馬鹿にしていた気がします。「かけがえのない、一度きりの自分の人生なのに、 なぜみんなもっと計画的にキャリアを作ろうとしないんだろう」と思っていたのです。

しかし、50歳になって、今思います。

山登り型でも川下り型でもどっちだっていい。ちゃんと自分の頭で「どうなりたいか」「どう在(あ)りたいか」を考え、目の前の仕事に一生懸命取り組んでいれば、道中を一緒に歩む仲間ができ、難所で応援してくれる支援者が現れ、いずれ山頂か大海に到達して自分だけの美しい景色を眺めることができるのかもなと。

僕のボートは川を下って「企業経営海」と「マーケティング海」に出ました。これからは「海の向こう側」を目指し、引き続き全力でオールを漕ぐつもりです。また、残りの人生を使い、これから登山や川下りをする若い方々を支援していきたいとも思っています。

仲間とチームを組み、人に感謝され、社会をより良くしていく仕事は 人生を豊かにしてくれます。だから僕は、FIRE(経済的自立と早期退職を目指すライフスタイル)にまったく興味がありません。「やるべき仕事がある」って、とても幸せなことです。僕はきっと、あの世に旅立つその日まで、仕事をしていると思います。

本書では、再三にわたって「一流の職業人になろう」「一目置かれる人になろう」「そのほうが人生楽しいよ」「でも、そうなるためには近道などなく、大変な努力が必要なしんどい道を歩むしかないんだよ」ということをお伝えしてきました。

「誰でも」「努力せず」「簡単に」「必ず」「すぐに」成果が出る「魔法の杖」が連日大セールで販売される昨今。僕の主張は一昔前の、古びた、役に立たない、戯言(たわごと)に聞こえたかもしれません。

でも、これから人類に訪れる未曾有の大変革を前に、皆さんに「自身で力をつけないと、想像をはるかに超える時代の大きなうねりに飲み込まれてしまうよ!」「そんな大変な時代に自己実現を果たしながら幸福感を感じる仕事をするためには、圧倒的な努力が必要なんだよ!」と警鐘を鳴らしたかったのです。

あなたは、あなたのおじいさんとはまったく違う人生を歩むことになります。なぜなら、あなたが生きる「今とこれからの時代」は、おじいさんが生きた時代と次元が違う変化が何重にもなって押し寄せる人類の進化における「イノベーションの転換点」だからです。

あなたは、これから100年で過去2万年分の人類の進化がやって来ると言われる、凄まじい時代に生きています。あなたが望もうと望むまいと、 2030年までに車が空を飛び、陸では完全コンピューター制御の無人タクシーが走り回り、XR空間でAIと会話をしながら買い物をし、ドローンが自宅に商品を届け、ロボットが外科手術を行ない、老化は克服されるでしょう。

映画やマンガの世界のサイエンス・フィクションが、リアルの世界でサイエンス・ファクトになる時代。今までだったら、数千年や数万年かけて起こるような変化が、あなたがこの世に生を受け、あの世に旅立つまでのこの100年のうちに起こるのです。そんな時代に、あなたは生き、 仕事をし、幸せな人生を歩まなければなりません。この「加速が加速する時代」を脅威と捉えるかチャンスと捉えるか。言わずもがな、それはあなた次第です。

良い仕事をし、人に感謝され、社会をより良くするためには、力が必要です。その力は、仕事によってしか鍛えられません。逆に言えば、仕事によって鍛えられるのです。そしてその仕事力は、自己啓発によってレバレッジさせることができます。今の、そしてこれからの時代に、自己啓発こそが重要である理由はここにあります。

締めの言葉として、弊社トライバルメディアハウスのレジェンド、高橋 遼が後輩に伝えている言葉を贈ります。 「俺はお前を二流までにしかしてやれない。そこから一流までの道はお前次第だ。」

最後に謝辞を。

本書に記した内容は、僕が過去に読んだ膨大な量の自己啓発本を執筆してくださった先人の経験と英知に支えられています。そして僕が社会人になってから、30年弱にわたり、未熟な僕に仕事の厳しさと素晴らしさを叩き込んでくださった上司・先輩・同僚・後輩、株式会社トライバルメディアハウスのスタッフのみんな、取引先の皆さま、そして今までかかわってくださったクライアントに心から感謝申し上げます。

また、本書の出版は、書籍編集者であり出版プロデューサーの貝瀬裕一さんが、ある日突然TwitterのDMで「池田さんのnoteを本にしませんか?」と連絡をくださったことがきっかけです。本書の企画段階だけでなく、乱筆乱文だらけの僕の原稿に粘り強く対応してくださったことに心から感謝申し上げます。

4歳になった息子へ。たくましく生きろ。最高の22世紀めがけて突っ走れ!

そして、本書を最後までお読みくださった読者の皆さま。お疲れさまでした。仕事を通して、あなたの人生が喜びに満ちあふれ、豊かで色鮮やかに輝くものになりますように。応援しています!

2023年1月 鎌倉市稲村ガ崎の自宅にあるガレージ兼書斎より
株式会社トライバルメディアハウス
代表取締役社長 池田紀行


出版は2月9日(木)です。ご予約はこちらから!! m(_ _)m

※ Kindle版は2/10前後に発売される予定です。しばしお待ちくださいm(_ _)m

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当社(トライバルメディアハウス)では(池田がフルコミットして)マーケターの「知る→わかる→できる」を支援し、マーケターの成長やキャリアアップを実現するためのオンライン無料学習サービス「MARPS(マープス)」を提供しています。会員登録するだけで、池田+豪華ゲストのコンテンツをすべて無料でご利用いただけます。マーケティング担当者が抱える、現場で発生しがちな課題解決を助ける学習プログラムがてんこ盛りですぞ!どんな学習プログラムを提供しているのか、まずは以下リンクからチェックしてみてください。マーケティング全体を”体系的に”学びたい方、お待ちしてます〜!

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