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正岡子規『はて知らずの記』#04 七月二十一日 白河→須賀川→郡山

(正岡子規の『はて知らずの記』を紹介しています)


二十一日朝、町はづれをありく。
森を見かけて、のぼれば、
果して、天満宮あり
境、静かにして、
杉、古りたり。

夏木立 宮ありさうな ところかな

白河を発す。
途上口占

麦刈るや 裸の上に こもひとつ

山里の 桑に昼顔 あはれなり

やせ馬の 尻ならべたる あつさかな

須賀川に、道山壮山氏を訪ふ。
此地の名望家なり。
須賀川は、旧白河領にして
古来、此地より出でたる俳人は
可伸、等窮、雨考、たよめ等なり。

郡山に宿る。
旧天領にして、二千余戸の村市なり。
三四の露店、氷を売れば、
老幼男女、更る更る来りて、
梭を織るが如し。


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