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小さな会社に理念はいらない?①

ブランディングのお仕事をさせていただいていると、
よく質問を受けることがあります。

「創業間もないので、まだ理念は不要か。」
「そろそろ企業が大きくなってきたので、理念が必要だろうか。」

その質問にお答えする際には、
小さかろうが、理念やMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は
必要ですよと端的にお話するようにしているのですが、
その理由をお話していきたいと思います。


言葉の解釈のズレがある分野なので、ここでは

ミッション≒パーパス→存在目的・・・「何のために?」
ビジョン→めざす未来・・・「どこへ行くの?」
バリュー→自社の価値観・・・「どのように?」

程度に簡単に定義し、上記を包括して経営理念と捉えます。
※長くなるので3回に分けて投稿させていただきます。

このくらいシンプルな話と捉えて


ミッション≒パーパスについて

ミッションと最近良く耳にするパーパスは
意味が違う言葉ではありますが、
どう解釈するかはブランディングの流派の問題もあると思うので
ここではミッション=使命/パーパス=目的と訳し、
一つにまとめつつ「存在目的」とします。

というわけでまずは「存在目的→何のために」が
小さな企業に必要かどうかという問い
となります。

企業は人なり(法人)と言いますので、
いきなりですが、人にたとえて考えてみましょう。

人間に対して、
「まだ生まれたばかりなので、存在目的は不要だ」
は許されるでしょうか。

人間であれば、自分でそれを考えるものだし、
自覚する年になるまでには時間がかかるとは思いますが、
会社をつくるのは、立派な大人であり、
その存在目的を定めるのもつくった大人です。

生み出したばかりの会社に
「まだ小さいので存在目的は不要」
と同義的なことを言い切ってしまうのは、
ちょっと悲しい話だなと思ってしまいます。

加えて、これは個人的な考えでもありますが、
大前提、

ミッションやパーパスといったものは
必要かどうかという議論というよりは、
生まれた時点ですでにそこにあるはず

のものだと思っていて、つくるというよりも
それに気がつく、可視化する、といったことに近いと思うのです。

一方、ある程度の規模になってから、
「ようやくこういうことだったんだ、と気づいた!」
といったことはよくあると思います。
はじめは生きるために無我夢中でやり始めた事業が
実ったことで、後付け的に存在目的が確信できたケースです。

ただし、それは「自社の存在目的とはなんだろう」という問いに
向き合いつづけた先にたどり着く場所であり、
便宜上つくりました、とは話が変わってきます。

中には、自分たちの存在目的をうまいこと儲かる方向に調整し
耳障りのいい言葉でまとめよう、といった選択をするパターンもありますが、
これは筋が悪い話です。

世間体のために、嘘として立ててしまった存在目的は
大きくなればなるほど取り消すことができず、
そこに意志が乗らないため、やりがいが生まれない。
永きに渡って逆に自分たちの首を
締めつづける鎖になる可能性すらあるのです。

利益を得ることは、企業にとって大前提ではありますが、
本音をごまかしてきれいな言葉を並べるくらいなら、
「楽しく儲ける幸せを追求する」くらいに言い切ってくれたほうが、
もはや愛情を持って接することができる気がします。

どんな小さな会社でも
存在目的とは向き合わなければならない。
かといって便宜上つくりましたではダメ。


と手厳しい結論になってしまい
そんな重いもの、見つけられないよ・・・と
途方に暮れてしまうかもしれません。

ただ、会社を存続させる動機であったり、
お客様、社内メンバー問わず会社との関わりをつくる接続点として
なくてはならないものなので、
答えが見つかるのに、早すぎることはないのです。

存在意義を掲げていないことが悪だという話ではありません。
納得の答えが見つからないのであれば、いつか見つかるから、
あきらめずに、探しつづける。
だから、心に正直に、エゴとも向き合い
心に問いつづけることが大切なのです。

繰り返しになりますが、どんな会社にとっても、
存在目的は、生まれた瞬間からすでにそこにあるはずのもの。

そう私は捉えています。

次回は「ビジョン=どこへいくの」についての
考察をお届けしていきたいと思います。

ありがとうございました。


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