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はじめての裁判傍聴⑥ まとめ

 今回は一連の記事の最終回です。おもに裁判傍聴を検討している方に向けた留意点や全体の感想です。この記事だけで参考にして頂けるよう記載しています。詳細については下記、一連の記事のリンクからご覧ください。

「はじめての裁判傍聴① 前書き」
「はじめての裁判傍聴② 所内編」
「はじめての裁判傍聴③ 法廷編」
「はじめての裁判傍聴④ 刑事裁判編」
「はじめての裁判傍聴⑤ 民事裁判編」
「はじめての裁判傍聴⑥ まとめ」(※当記事)

所持品

 必須の携行品はありません。身分証の提示も求められません。法廷に限らず裁判所敷地内での撮影と録音は禁止されているため、法廷での傍聴を含めて裁判所内でメモを取りたい方は、メモ帳とペンをお持ちください。なお、入所時には空港などと同様のゲートによる手荷物検査があります。

服装

 カジュアルな服装で問題ありません。むしろスーツなど正装のほうが関係者と誤解されやすいかもしれません。目立つ服装は控えた方が無難だろうという以外、特に注意点もありません。

日時

 日程は土日祝以外の平日。傍聴可能な時間帯については結局、正確な時間を確認していないのですが、開廷表の予定を見た限りは、全ての予定が9時~18時に収まっていました。ただし、実際に裁判が予定されている時間には偏りがあり、12時~13時の休憩を挟んで、午前は10時~12時、午後は13時~15時頃に集中していました。

食事

 私が訪問した地方裁判所に食堂は見当たらず、付近の飲食店で昼食を済ませました。所内で入手できる飲食物は、一階の自動販売機で扱っている商品だけでした(「はじめての裁判傍聴② 所内編」)。裁判所の立地によっては、前もって確認しておいたほうが良いかもしれません。

法廷での注意

 撮影と録音は禁止。スマホ等、電子機器の電源はオフ(法廷でのチェックはされません)。途中入退室は自由です。義務ではないと思いますが、開廷と閉廷のタイミングで全員が起立と礼をしました。起立・礼を除いては、映画館等で注意されるのと同程度のマナーといえます。スマホに関するちょっとしたエピソードは、「はじめての裁判傍聴③ 法廷編」にもあります。

裁判の予定表

 ネットで予定を確認できる裁判は、注目が予想されるごく一部の裁判のみです。特定の有名な事件等の裁判を除いては、当日に裁判所のロビーにある開廷表か、各法廷前の貼り出しで予定を確認します。

傍聴の判断基準

 開廷表に綴じられた数多い裁判から、どの裁判を傍聴すべきか、はじめは私自身が判断に困りました。そこで、今回の傍聴から私なりに考えた選択のポイントをいくつか挙げてみます。

<刑事裁判と民事裁判>
 傍聴人が多かったのは刑事裁判のほうです。どちらとも決めていない方は、ひとまず刑事裁判の傍聴で良いかと思います。
<法廷の広さ>
 私が傍聴した地方裁判所の法廷の広さは様々に分かれていました。狭い法廷の裁判は傍聴人も少なくなります。特に希望がなければ、フロアマップから法廷の広さと番号を確認したうえ、広い法廷を選んだほうが無難です。
<審理と判決>
 法廷で行われるのは大まかに分けて、審理と判決言い渡しの二つです。どちらかは、開廷表または法廷前の掲示から確認できます。今回、見たなかで最も傍聴人が多かったのは、裁判員裁判にもなっていた、ある刑事事件の判決でした(「はじめての裁判傍聴④ 刑事裁判編」)。
<予定時間>
 判決は裁判長による言い渡しのみであるため、短時間で終わります。一方、審理に予定されている時間は裁判によって様々です。
 民事裁判については、一時間未満が予定されている短い審理は事務的なやりとりだけで終わることが多く、傍聴席が関係者の待合スペースのようになる法廷もあり、一度は当事者と誤解もされました(「はじめての裁判傍聴⑤ 民事裁判編」)。民事裁判の短時間の法廷は、あまり部外者が傍聴する意味がなさそうです。民事法廷を傍聴するなら、最低でも一時間以上予定されている裁判から選ぶべきと感じました。
<その他>
 開廷中の法廷は、法廷前に設置されたランプが緑色に点灯します。また、傍聴人入口には除き窓が設置されていて、開廷中と開廷前の法廷は中の様子を覗くことができ、傍聴するかの参考にすることができます。

パンフレットへのリンク

 裁判所の各種パンフレットです。裁判所ナビ、法廷ガイドの紙媒体は、今回訪問した地方裁判所でも入手できました。

最後に

 一度は行きたいと思いながら後回しになっていた裁判の傍聴を、ようやく体験できました。腰が重かった理由のひとつは、誰でも可能とは言っても、実際に行くと何かを理由に結局まともに傍聴できないのではという、何となくのイメージでした。これは完全に杞憂で、平日の休みの朝に特に予定がなかったからという具合でも、気軽に傍聴できます。なかなか実行しなかったもうひとつの理由は、ネット上にスケジュールが載っていなかったこと。この点は、結局当日に現地の開廷表から確認するほかありませんでした。

 実際に裁判を傍聴した全体の感想としては、情報保護が厳しい昨今、ここまで個人的で、かつ多くの当事者にとっては重要な人生の局面に、赤の他人が立ち会えること自体が驚きでした。さまざまな裁判を通しては、個人的にはあまり関わりのない今日的な社会問題が現実のものであることも改めて実感できました。ここでは個々の裁判に対しての見解は明かしませんが、やはりそれぞれに対して個人的に思うところはあります。

 裁判の傍聴は日常生活で自分自身が経験していない、社会や人生の一面を覗き見る機会になりました。また後日、再訪したい気持ちもあります。一連の記事が、裁判傍聴に興味をもつ方の参考になればと思います。

(トップ画像はpixabayより。作成者はsucco様です。)

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