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はじめての裁判傍聴① 前書き

 やってみたいとは思っていながらも実行には至っていない。そんな何かは誰にでもあるのではないでしょうか。ここで指しているのは、例えばワールドカップのピッチに立ちたいとか、豪華客船で世界一周クルーズをしてみたいといった、わずかな人しか叶えないであろう何かではありません。機会がなかったけど釣りをやってみたいとか、前から気になっている近所のラーメン屋に行ってみたいとか、車に乗ってるときに見かける普段は足を向けない脇道の先には何があるのだろうといった、比較的ささやかで、実現は可能だけれど億劫だったり忙しかったり、いざとなると忘れているなどの理由で実行には移していない「一度はやってみたい」類いの何かです。私のnoteでは、こうした些細な「一度はやってみたい」を実際に体験した記録も投稿していきたいと考えています。今回の記事はそのひとつ目になります。

 テレビやネットのニュースを見れば毎日のように何らかの裁判の結果が報道され、弁護士や検事の活躍を痛快に描いたドラマや映画、ゲームなどの人気作品も数多く存在します。義務教育でも必ず触れられる裁判所の存在そのものを知らないのは小さな子供ぐらいでしょう。そんな誰もが知り、かつ誰でも裁判を傍聴できる裁判所ですが、実際に傍聴したという話を耳にすることは意外となく、私自身も経験のない一人でした。創作作品では何度となく法廷の様子に慣れ親しみながらも、実際の法廷には踏み入れたことはない。そんな方は、私以外にも珍しくないのではないでしょうか。

 一市民として裁判の現場に、一度ぐらいは行っておきたいと初めて思い立ってから早十年以上、ようやく重い腰を上げたのは昨年になってのことでした。行動に移すまでに時間がかかった理由は、傍聴できるといっても何かしら準備など面倒があるのではないう根拠のないイメージ、ネットで該当の地方裁判所を少し調べてみても裁判の具体的な情報そのものは見つからず、実際に何時に行ってよいかわからなかったことなどです。今回、裁判所に足を運ぶに当たって改めてもう一度ネットを探ってみたのですが、その辺の詳細はイマイチわかりませんでした。それでも昨年のある日、午前中の適当な時間に行ってみてダメならまた今度ぐらいの軽い気持ちでメモ帳とペンだけを携えて、何はともあれ地元の裁判所に出掛けてみることにしました。

 今回は分量を考慮して、導入である本記事を含む六回に分割しています。

「はじめての裁判傍聴① 前書き」
「はじめての裁判傍聴② 所内編」
「はじめての裁判傍聴③ 法廷編」
「はじめての裁判傍聴④ 刑事裁判編」
「はじめての裁判傍聴⑤ 民事裁判編」
「はじめての裁判傍聴⑥ まとめ」

 かいつまんだところだけ欲しいといった方には、要約情報を記載する最終回の「はじめての裁判傍聴⑥ まとめ」を読みください。「刑事裁判編」「民事裁判編」は人物と組織の名称は記載せず、情報の一部も改変するなど特定できないよう配慮し、法廷内の雰囲気を伝えることが主な目的とします。同様に地方裁判所名と訪れた日時も開示はしていません(これは現状、私が匿名で記事を書いていることにも由来しています。ただし、どこの地方裁判所かについては、一応②の記事の細部から判別可能です)。

 裁判所や法廷の中はどうなっているのか。フィクションのような熱い法廷ドラマを見ることはないとして、現実にはどのようなやり取りが交わされているのか。裁判官、弁護士、検事をはじめとしたそこで働く人々、裁判の被告人や原告の様子はどうか。傍聴マニアは存在するのか。裁判員裁判には遭遇するのか。裁判所によるアナウンス以外で、傍聴をするうえで注意すべきことはあるのか。
 次回以降の記事では、地方裁判所内の様子、いくつかの裁判傍聴の記録、ちょっとした考察、自分自身の次回以降の傍聴のためのコツと備忘などを投稿していきます。私と同じように「傍聴してみたいけど、もう少し情報がほしい」「行ってみたいんだけど億劫だし、とりあえず人の体験でも読みたい」といった方々への一助になれば嬉しく思います。

 ひとつだけ先に申し上げると、とりあえず裁判を傍聴してみたいのであれば難しく考えずに身ひとつで出掛けられることをお勧めします。必要なモノがあるとすれば、せいぜいがノートとペンぐらいで、それも記録を残したい方に限られます。もしご興味があれば、次回以降もご覧ください。

(トップ画像はpixabayより。作成者はsucco様です。)

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