「ロジカルシンキング」 なんてあまり意味がない
まず、誤解なきよう言いますと、ロジカルに考えるのは意味がないと言うのではなく、メソッドとしてロジカルシンキングを習得したり使うのは意味がないと言いたいのです。
結論を先に言います。
思考に必要なのは、ロジカルシンキングではなく、本質を考える事です。
ロジカルシンキングのような思考の手法は、確かになるほどと思わせますが、その割には実際は効果を実感できません。それは、日頃から意識せずともロジカルに考えているから、このメソッドを習得した所で大した変化が起こるわけではないからです。
ロジカルシンキングの色んな事例を見てみてください。
殆どの事例は、意識してロジカルに考えるまでもない内容です。
勿論、誰にでも分かりやすい簡単な事例を紹介してるのかもしれませんが、
それにしても、ロジカルシンキングのお陰で、問題解決ができたなんて事例を聞いた事がありません。
そもそもロジカルシンキングの中身は、元々頭の中で行われているロジックを、
可視化したにすぎません。無意識のうちに誰でもその考え方をしているわけです。
むしろ注意すべきは、ロジカルを意識しすぎて間違った結論を出してしまう事です。 特にロジック中に「正論」が入り込むと、その可能性が高まります。
正論はバイアスになります。バイアスとは偏見や思い込みの事です。
(正論は問題解決の邪魔をする)
「MOSFETは電圧駆動」という電子の教科書の定石があります。これは言わば正論です。しかし、この正論でロジックを考えると痛い目にあう事があります。
この正論によれば、MOSFETの駆動に電流は考えなくて良い事になるからです。
ですので、もし設計した回路のMOSFETが動作しない場合、原因は電圧がかかっていないからだ、というロジックになります。
しかし、現実的な原因として電流不足で動かない事もあるのです(※)。電圧駆動なはずなのに、電流不足で動作しないなんて想定外なわけです。
(そうなる理由は→MOSFETは電圧駆動というのはある意味間違い)
(※)厳密に言えば電流不足が原因で電圧が上がらない事が原因。
いや、でもこれはロジカル云々の話ではなく、MOSFETを知っているか否かの問題では? と思われるかもしれません。
確かにその通りかもしれませんが、でも、本質を知らないからこそ、表面的なロジックに頼って考えてしまうわけです。
ロジカルのイメージは「分かりやすく明確に、辻褄が合うように考えを進める事」です。
分かりやすくを意識すると、物事を単純化する事になります。単純化したロジックを繋ぎ合わせるほど無意味なものはありません。それこそ「風が吹けば、桶屋が儲かる」の世界です。
上手く考えられないから、ロジカルシンキングを習得しようと思っている人は、
注意が必要です。 上手く考えられないのは、ロジカルが足りないのではなく、
本質を学ぶ事が不足しているからかもしれません。
本質は、本質であるにもかかわらず、教科書に書いてません。
表舞台に出てきません。 だから軽視されます。
でも、それを軽視したら問題解決はできません。
なぜなら表舞台に出ている情報だけで解けるのであれば、ロジカルに考えるまでもなく簡単に解けるわけですから。
つまり、解けない問題はロジカルシンキングができていないのではなく、本質を知らないだけなのです。
では、本質で考える(理解する)には、実際どうすればいいでしょうか。
それは、トヨタに倣いましょう。
現場、現物、現実(三現主義)、「者に聞くな、物に聞け」
これにつきると思います。 これをやれば嫌でも本質が見えてきます。
逆視点で言えば、机上だけで勉強や仕事をしている限り、いつまで経っても本質は見えてきません。 机上の理論で一生懸命ロジカルに考えても何も出てきません。
これは別に製造現場や技術者だけでなく、どんな仕事にも当てはまる事です。
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