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【雑談】大学にある障害学生支援室

古い建物のはずれ。
小さくかかった看板。
1時間に1回、学生が静かに出入りする。
中の声は、聞こえない。


精神疾患の診断がついたのは、大学生活のちょうど真ん中のときでした。

発症直後は、躁と鬱の波が激しく、継続的に授業に出席できる状況ではありませんでした。
単位が思うように取れなかったのです。

そんなとき、障害学生支援室の存在を知りました。


障害学生支援室は、障害のある学生の修学に関する相談に応じ、他の学生と平等に教育を受ける機会を保障するための支援調整を行う部門です。修学に関係する部署の教職員が、直接・間接の支援提供を行えるように、学内外で連携・協働しています。


私が受けていた合理的配慮は、大きく分けて3つありました。


ひとつ目は、情報保障。

障害由来の不調で遅刻や欠席が多く、周囲の学生と連絡を交換することも少ないため、孤立してしまいがちでした。

そんなとき、そのときの症状について申告すれば、レポートの内容や締め切り、試験日程などの情報を、先生から直接いただくことができました。


ふたつ目は、座席の配慮。

体調不良で席をたつことが頻繁にあったため、出入り口に近い席を優先席として事前にとってもらっていました。


みっつ目は、履修相談。

私は人との関わりが多い授業だと躁鬱が出やすくなってしまうので、事前に委員会の先生方と一緒に、どのような授業ならできそうか相談していました。

また、グループワークやプレゼンの有無といった情報は詳細に開示してもらっていました。



障害学生支援は、講義のフォローだけに限りません。普段から定期的に、カウンセリングが受けられるのです。


障害学生支援室を訪れ、気分の波の状態や学校生活の困りごと、就職の悩みなんかを相談することができたのです。もちろん、心理系の資格を持った支援員の方です。



それはすごく、ありがたかった。



「精神障害を持っている」なんて、同級生にカミングアウトできることではないし、教授に言ったって自分の力ではすべてを理解してもらうのは難しい。

「普通」の大学生のふりをして、みんなと同じように生きているように見せかけるのだけれど、だんだんそういう自分を維持するのは難しくなり、ほころびが生まれてきてしまう。



私の場合、あのまま放っておいたら、不登校、ひいては退学なんてことになってしまう状況でした。



そんなとき、障害学生支援室の方が手を差し伸べてくれたのです。

あそこがなかったら、私は卒業できていなかった。


今でもよく、あの小さな古い相談室の匂いを思い出します。



でも、卒業式はひとりぼっちだった




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