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普段見えないから、ピッチ上で見える【ブラインドサッカー体験記】

興味のあったブラインドサッカー体験に参加

8/3 12:00 @ダイセル播磨サッカー場
灼熱の夏らしい最高の天気の中、車で2時間かけてブラインドサッカー体験に参加しに行ってきました!

きっかけはD-Biz College受講生のmaruくんからのお誘い
maruくんは全盲で現在は企業人事として働く傍ら、同じ視覚障がいを持った方々の職域や活躍の場を広げるための活動を模索してD-Biz Collegeで一緒に学ぶ仲間です。

そんなmaruくんの所属しているブラインドサッカーチームの練習に参加させていただけるということで行ってきました。

大阪ダイバンズとは?

今回参加させていただいたチームは「大阪ダイバンズ」さん

https://twitter.com/daibans_osaka

http://www.facebook.com/osakadaibans

https://www.instagram.com/osaka_daibans/

直近の国際大会の日本代表も輩出している、大阪、兵庫で活動するブラインドサッカークラブです。

HPには
"チーム結成当時、ベトナム人選手が在籍していたことからベトナム語で「鷲」を表すダイバンから、大阪ダイバンズは生まれました。 下は0歳児から60オーバーまでが在籍し、笑いのたえない明るいチームです。"

とあります。
実際参加してみると、初参加の僕をウェルカムムードで迎え入れてくださり、関西ノリのとても明るい(おもろい)雰囲気でした。

ブラインドサッカーのピッチ


ブラインドサッカーのコートは、フットサルコートくらいの広さと少し大きいゴールに、両サイドが腰の高さほどの壁になっています。
この壁がすごく重要な役割を果たしていて、自分の現在地の確認やボールのありかを知る重要な要素です。
ボールには鈴が入っていて、転がる時、蹴った時、壁に当たった時に音が鳴る。

目が見えない中でプレーするので、この音が何より貴重な情報になります。

そんなことおいておいてこの日は本当灼熱で
終了後は顔が真っ赤に日に焼けてしばらく皮剥けの日々でした

見えないのに飄々とプレーする皆さん


一見、普通のフットサルをしているかのようなこの光景


見えてません。


練習前、皆さんパスやドリブルをしながら楽しそうに会話します。
僕も最初、見えている方がサポートとして参加されているのかと思うくらい飄々とボールに触れ、楽しそうに扱う姿には全く違和感を感じません。驚く以前の感覚です。
「見えてるんですか?」「いや、全く」という会話があって初めて驚く。


目隠しの向こうは宇宙


「竜次郎さんも目隠しどうぞ」と言われ借りたものの、着けたら動くのも怖い。

「"ボイボイボイ"って声出しておかないとみんな見えてないので止まってたら音もないし、ぶつかられますよ笑」と言われ、即ボイ。

ボイしておけば皆さんが避けてくれるものの、僕は避けるどころか他の方のボイの場所が全然把握できない。動くと自分の場所も向きも全くわからなくなる。

壁に手を伸ばし、ピッチの端にいることは分かるが、縦方向はどのあたりにいるのか全くわからない。

そうこうしているうちにアップを始めると、
「ピッチの端から端までジョグ3往復」「ボイボイボイボイ」
皆さんすごいスピードで走る。僕はビビって激遅。

「竜次郎さん腕を前に出して走れば先に腕が当たるんで怖くないですよ!」

「なるほど!オッケー!」

…いや怖いだろ

皆さん普段見えていない分、この恐怖に対する耐性があるのかなと思うと、すごいメンタルで日々を過ごしているんだな。。。と痛感しました。

いざ、ボールタッチ

その後、パス練習、パスからドリブル→シュートの練習がスタート。
僕は実は5歳からサッカーをずっとしてきたので、足元に入りさえすれば感覚である程度ボールは扱えました。
みんなすごい褒めてくれる。
これだけはこの日誇れることでした笑

30年もやっていると、体に染み付いているんだなぁと思うと、仕事もこのくらいのレベルでできるようになろうとか思ったり。楽しくコツコツ継続しているということはすごいことだなと。


ただ、ボールを受けるまでがめちゃくちゃ難しい。
鈴の音と周りからの声を頼りにボールの位置を予測して足を出すものの全く止められない。
意外と横にずれている方が認識しやすくて、まっすぐ来ているボールに対してはなぜか確信が持てず足を出して股下を抜ける。
ボールが止まったが最後、鈴の音もないので完全に見失う。
とにかく適当に足を出して当たるまでやる。

こんなことを皆さんは飄々とやっていたのかと思うと、その感覚の鋭さに驚愕する。


ゲーム

試合形式の練習はまずはGKとして参加させていただきました。
後ろからピッチを見ながら声でメンバーを支援する。

・相手ボールになった時は声を出してほしい
・守備の立ち位置のずれを教えてほしい
・誰がボールにいくのか指示してほしい
・パスを受けられる味方の位置を教えてほしい
・ボールは壁に当てて足元にほしい
・ボールに近いときはボイボイ言ってないと相手が僕の存在に気づけないので危ない

など、それ以外にもたくさんの状況で声を頼りにプレーする。
ゲーム中、ずっと声を出し続けてもまだまだ足りない、というか支援できる余地がある。

サッカーではそんなに声で味方を動かすタイプではなかったのですが、別人のように声出し担当として参画した。

合間の休憩には、皆さん「あの時のあのプレーの時もうちょっとこうした方がよかったかな?」とか確認している。
見えているかのように話す。


フィールドプレイヤーとして参戦

次のタームは目隠しをしてフィールドプレイヤーとして出させていただいた。


マジで無力


先ほどの学びを生かして声を出そうとも周りが見えていないし訳がわかっていないので、出せるのは自分の位置を周りに示す音だけ。


終始「ボイ」&「竜次郎右サイドにいます!」


10分ほどのプレー時間でボールに関与できたのは2回ぐらいでしかもまともに蹴れてはいない。

これが見えないということなのかと体感しました。
何もできない。


その後皆さんで和気藹々とPK練習と罰ゲームをして練習終了!
罰ゲームはサーキットトレーニング的なキツいやつでしたが、
結局悪ノリで全員やることに笑

この辺りは普通のサッカーやフットサルしている時と本当変わらないなというのとさすが関西人だなと楽しくご一緒しました!
(在宅勤務運動不足35歳に灼熱の練習の最後には多少きつかったですが笑)


感想

タイトルにも書きましたが、こんなことを感じました。
・普段見えない環境で生活しているからこそ、五感の他のチャネルの感覚が鋭く、視覚情報抜きで自分の現在地と周辺の状況を把握することに長けている。
・見えない一歩先に踏み出す勇気・メンタルに関して、普段見えている僕とは比べ物にならない強さを持っている。
・スポーツを通した楽しむ感覚や闘争心、レベルアップを目指す気持ち、助け合いの精神みたいな部分は本当に何も変わらない。人としておもろい。

もっともっとたくさんのことを感じましたが、長くなるので割愛させていただきます。
百聞は一見に如かず
ぜひ皆さんも一度ブラインドサッカーをやってみるといいと思います。


抽象化して考えてみると、
・日常生活の中で自己や周辺の認知においてなんとなくでやっていないか。もっと五感を働かせれば正確な認知ができるかもしれないし、そこに困っている方がいるとすれば支援できることが見えている自分にはたくさんある。
・日頃の自分の判断や行動の中で、未知の挑戦に対して無意識的に恐れて踏み出せていないことがあるのではないか。その弱さはもっと魅力的な人生を生きるのに機会損失になっていないか。
・改めて人間の本質的な部分はみんな同じ。偏見や過度な配慮、逆に雑な関わり方で人と人とが楽しく触れ合う機会を逃していないか。もっと多様な方々と楽しく同じ感覚を共有して繋がれるのではないか。
といったことを思いました。

大阪ダイバンズさん
今後に生きる素敵な体験をありがとうございました!
今後も応援させていただきます!試合観に行きます!




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