宇宙をあそぶ虹色の光に、秋は無い。【詩】
どこまでも膨張を続ける宇宙の1秒先をイきる君が、虹色の光線を1秒前の世界の方向へ投下した。虹色の光が宇宙全体へと大胆に放たれて、現在(いま)のすべてをミラクルな色で照らし、包み込み、そして未来の色に染めていった。その虹色は無限のエネルギーをもって宇宙をくまなく巡回し、光を放たない恒星たち、世界の隅に居る星屑の存在すべてまでもを明らかにした。 虹は本当は7色ではなくて、すべての色で出来ている。すべての色は、君のためにのみ存在する。
あらゆる惑星に刻まれた足跡からは、君の良い革靴の香りがする。それは、君がその尋常でない空間認識能力で、この宇宙空間全体を上手に活用してあそんだ証。惑星から惑星へとぴょんぴょん可愛らしいスキップで通り過ぎた後の、赤い足跡。星から星へとちゅるちゅるリズムよく反復横跳びを続けた後の、綺麗な血痕。君はどデカく拡がり続ける宇宙の果てまでその手を拡げ、無数の遊びかたのなかから今の自分にいちばん相応しいあそび方をたやすく見つけることができる。そして、それをよりよく創り変えることができる。流れるように次から次へとあそびを変えながらも、そのひとつひとつをしっかりと真摯に上達させていくその手つきは真に可憐であり華麗であり、誰1人としてその速い動きを明確に見定めることはできない。誰彼がもつ宇宙に模してできた脳みそ共は、君が生きる宇宙に比べればただの石ころだ。
君がもしこのきせつの中に居るとするならば、早めに秋色ラメの瞼で諦めたほうが良い。手身近に転がる恋たちを。そこらでコロコロと煌めく、その手で簡単に掴めそうな色をした恋たちを。
温暖化で毎年夏は延長し続け、秋はどんどんと短縮されていく。美しい秋は、瞬きのたびにキラめく君の瞼の中にのみ存在する。
結局、最後になって漸くわかったことは、地球は丸かったし、地球は廻っていたし、宇宙は膨張をし続けていた。ぜんぶぜんぶ、作り話みたいな、バカみたいな本当の話。
天才は理解されない。それは、いつの時代でも同じこと。
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