クックパッドがどうして赤字決算になったのか解説する

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

さて、今回見ていくのはクックパッド株式会社です。
レシピサイトで有名な会社ですね。

こんなニュースがありました。

クックパッドの前期、9億6800万円の最終赤字 人件費など重荷
2020/2/7 19:00
クックパッドが7日発表した2019年12月期(前期)の連結決算(国際会計基準)は、最終損益が9億6800万円の赤字(前の期は4億700万円の黒字)だった。国内の新規事業や海外事業における人件費が増加した。繰り延べ税金資産の一部を取り崩しに伴い税金費用が増加したほか、海外連結子会社ののれん全額を減損損失として計上した影響も出た。
売上高は1%減の117億円、営業利益は82%減の3億600万円だった。有料会員数の増加は追い風となったが、広告売り上げが減少した。

どうやら赤字となってしまったようですね。
今回はどうしてクックパッドが赤字に転落してしまったのかについて
次回はクックパッドの今後の業績はどうなるのかについてみていこうと思います。

今回は説明が難しく非常に分かりにくくなってしまいました、ごめんなさい!!

記事の最後に、簡潔にまとめたのでそこだけ読んでもらえば大枠は掴めると思いますので時間の無い方はそちらをどうぞ。

それでは早速こちらの資料をご覧ください。

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実はクックパッドは税引き前当期純利益ベースでは約2.7億円の黒字である事が分かります。

しかし2.7億円の利益に対して法人所得税費用が16.2億円もかかっていることが分かります。
つまりクックパッドは利益が出ているのに税金で赤字になってしまったという事です。
年収1千万で所得税が5千万みたいな状況で普通に考えればありえないことが起こっているわけです、皆さんもこんな状況になったら働くことをやめますよね?

では、どうしてこのような事が起こってしまうのでしょうか?

その答えは税効果会計という特殊な処理にあります。
これは、会計上の利益と税務上の利益が異なることによって起きてきます。
会計は投資家に適切な情報を伝えることを目的にしています、一方税務署はなるべくたくさんの税金を取りたいので、違った利益が算出されてしまうのです。

この辺は難しい話なので、詳しい説明は省略しますが結論だけ話します。
「税務署は税金を早く徴収したいので費用と認めないものがあるよ」です。

例えば減損損失がそうです。
これも結論だけ説明すると、減損とは費用の前倒しである事が多いです。
つまり、今後10年で年間1億円ずつ計10億費用となるのを今年1年で10億の費用にしてしまうわけです。
利益10億円の会社が減損をすると利益は0になりますので、会計上税金を計算すると0になります。
しかし税務上は当初の予定通り1億円しか認めないのです、そうすると利益が9億円となり税率40%とすると3億6千万円の税金がかかるわけです。

税効果会計とはこの3億6千万円の会計上税金と税務上の税金の違いを言うわけです。

つまり会計上は税金は0なので、この3億6千万円の税金の支払いは税金の前払いとなるんですね。
本来であれば費用となる3億6千万円を取り消すことになるので利益計算上プラスに働きます。

その後9年間は1億円ずつ税務上は費用が計上されていくので、毎年税金の支払いが(1億×40%)で4000万円ずつ減ることになりますから、4千万円×9年=3億6千万円を取り崩していくわけです。
会計上の利益より4000万円ずつマイナスに働くという事ですね。

どうしてクックパッドは赤字になったの?

こちらの資料をご覧ください

画像2

先ほどの税金前払いしているよって項目を繰延税金資産というのですがその大幅な取り崩しがあったようです。
これが今期の税金が2.7億円の利益に対し16.2億円となってしまった理由です。

税金とは利益に対してかかるわけです、つまり先ほどの例で言うと1億円以上利益出せる見通しではないとそもそも税金が発生する計算にならないのです。

つまりクックパッドは今後、税金を前払いした扱いにした分に見合うだけの利益を出すことが難しくなったという事なんですね。

こうなると定期的な取り崩しが出来なくなるので一気に繰り延べ税金資産を取り崩す必要が出てくるというわけです。

つまり将来の利益予測が低下してしまったことが今回の赤字決算の理由という事です。

さっくりまとめ!!

1.クックパッドは税引き前の利益は黒字だが多額の税金費用で赤字に、その理由は税効果会計
2.会計上と税務上は利益の計算の仕方が違うので税金の額が違ってくる
3.その違いを繰延税金資産という項目で表す
4.これは定期的に取り崩していく(決算上はマイナス要因)
5.定期的に取り崩していくには毎期利益が十分に出る必要がある。
6.利益が十分に出る見通しが立たない時には一気に取り崩す必要がある。
7.クックパッドは将来の利益見通しが悪化したため一気に取り崩す必要性が出た。
8.結果多額の税金費用がかかり、税引き前は黒字だが税引き後に赤字になってしまった

という事で赤字になりましたが、それは将来の見通しの問題で実質は黒字だという事です。
という事は来季は業績回復の可能性ありもありますよね?

なので、次回は具体的に将来の業績予測をしていきますのでそちらもよろしくお願いします。

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