JDI(ジャパンディスプレイ)の支援策を解説しようと思う

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今日見ていくのは株式会社ジャパンディスプレイ(JDI)です。
以前JDIにの不正会計について書いた記事がありますので、よろしければそちらもどうぞ(そちら)

さて、こんなニュースがありました。

いちごから1000億円出資で最終契約、JDIが正式発表
2020/1/31 18:03
経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)は31日、独立系投資顧問のいちごアセットマネジメントと最大1008億円の出資受け入れで最終契約を結んだと発表した。いちごアセットがまず504億円で優先株を引き受け、議決権の44%強を握る筆頭株主となる。現在の筆頭株主で官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)の支援も合わせ、1000億円を超える債務超過の解消にめどがついた。
残りの504億円は借入金返済などJDIの資金需要に合わせ、議決権のない優先株を引き受ける。

どうやらJDIはいちごアセットからの出資によって、1000億円をこえる債務超過解消のめどが立ったようです。

今回はJDIの債務超過解消のための支援策を解説して、次回はJDIの未来について考えていこうと思います。

それでは早速こちらをご覧ください。

画像1

よくわからない方も多いと思いますので、このリファイナンスについてざっくり解説します。

まずJDIは現状2400億円ほどの負債を抱えています。

これに対してINCJ(旧産業革新機構)は1020憶円出資して、その資金を借り入れの返済に充てます。
またJOLEDというJDIの保有する会社の株式を使って463億円ほどを借り入れの弁済に使います。

これによって、負債が1500億円ほど減り残りが900億円になるという事です。
また残る借り入れのうち500億円分は、最大1008憶円の支援になるいちごアセットから残りの504億円の支援を得られた際には返済に回しますよと発表しています。

続いてこちらの資料をご覧ください。

画像2

こちらは債務超過解消のための資料です、こちらについてもざっくり説明します。

現状1000億円の債務超過です
いちごアセットからの出資で504億円改善します
JOLED株式の売却益で250億円改善します
JDIの出資で1020憶円改善します。

結果として純資産は758憶円のプラスの状態になりますよという事ですね。

続いてこちらの資料もご覧ください。

画像3

実はいちごアセットからの今回の出資ですが、1株75円で出資することになっていますが一年後には、50円で普通株に転換できる条項がついています。

つまり実質上は1株50円での出資となるわけですね、2020年1月31日の株価が70円ですから大幅にディスカウントして出資できたことが分かりますね。
そこまでしないと支援先が見つからない苦しい状況だという事が見て取れますね。

さらにこちらの資料をどうぞ

画像4

504億円出資でいちごトラストは44.26%の議決権を得るわけですが、先ほどの資料の通り50円で普通株に転換すると今後いちごトラストの議決権比率が、最大70%にも及ぶことが分かります。

ものすごい希薄化することが分かりますね、既存の投資家からの反発は大きいでしょうからこのような段階的な手法を取ることにしたのでしょう。

さて、ここであることに気付かないでしょうか。

そうですINCJ(産業革新機構)の方が実は支援額が大きい(1020億円)のに、取り分は明らかにいちごアセットのほうが大きい(いちごアセットは議決権ベースで過半数を得る)のですね。

それはどうしてでしょうか?

先ほどの資料をもう一度見てみましょう

画像5

実はINCJ(旧産業革新機構)は連帯保証している借入金が1070億円あるのです。

これについてはJDIが倒産してしまうと結局自分が払うことになるため、一旦1020億円出資してそれをそのままその借入金の返済に回させるという方法を取っているんですね。

また例えば、INCJはJDIに対して貸し付けをしてそれを返済に回させるという方法を取ることも考えられます。
しかしそれでは債務超過が解消しない、今後JDIが利息の返済で収益を圧迫されて結局つぶれてしまう可能性が高くなることから出資する方法を取っているのですね。

しかし500億の出資で過半数をいちごアセットは得るわけでINCJの持ち分は大きく減ってしましますから、1000億出資してもその回収は難しそうです。

今後立て直しの見通しがたつならINCJが自分で出資してもよさそうですよね。

でもそうせずに、割を食ってまでもINCJがJDIに対する今回の支援策を決めたという事は、本当に倒産寸前で今後の見通しが立たないと判断している可能性が高そうです。

なので次回はJDIは相当ヤバそうだけど今後どうなる?についてみていこうと思います。

記事一覧

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?