東芝の決算に見る減資から分かる復配

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントに絞って説明していきます。
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さて今日見ていくのは株式会社東芝です。
こんなニュースがありました。

東京 26日 ロイター] - 東芝<6502.T>は26日、上場子会社の東芝プラントシステム<1983.T>と西芝電機<6591.T>に対して行っていた株式公開買い付け(TOB)が成立したと発表した。
東芝プラントシステム株のTOBは買い付け予定株式数の下限1636万株を上回る4424万株の応募があった。西芝電機株については買い付け予定株数の下限478万株を上回る1496万株の応募があった。東芝は両社を完全子会社化し、両社は上場廃止となる。


このニュースから東芝の今後を考えるために前回は粉飾決算後の大まかな流れを紹介しました、ぜひそちらからお読みください。その記事はこちら

面白ポイント!!減資の意味

前回の記事で説明しましたが、東芝は2年連続の債務超過になると、上場廃止という規定によって上場廃止の危機にいました。
半導体事業の東芝メモリ売却で債務超過回避は確実となりましたが、中国の許認可の関係でそれが決算まで間に合わないという状況に。

そこで増資を受け入れて債務超過を回避することにしましたが、引き受け手が少なくハゲタカ的な外国資本が多く入る事になりました。

その後こんなニュースがありました。

東芝、単独3000億円の減資を発表 7月末、財務健全化めざす
2018/5/15 12:26
東芝(6502)は15日、単独ベースの資本金(2018年3月末は約5000億円)を約3000億円減らす減資を7月末に実施すると発表した。6月27日に開く定時株主総会で決議にかける。併せて、資本準備金やその他資本剰余金を取り崩し、業績悪化などで膨らんだ繰越利益剰余金の欠損を補い、早期の財務の健全化を目指す。

減資を行うという事ですね、さてそれはどうしてでしょうか?

今後東芝メモリの売却で債務超過を回避するどころか数兆円規模のキャッシュをもつキャッシュリッチな会社になるわけです。

そうすると当然多く入ってきた外国資本は株主還元しろとなるわけです。しかし会社にある現金はそのまま配当に出していいわけではなく配当規制があります。

その当時作った資料がありますのでこちらをご覧ください

東芝減資説明資料


つまり減資によって東芝メモリ売却後に株主還元出来る金額が増えるという事になるのです。
2300億以上の株主還元になる事がほぼほぼ確実だったわけです。

過去の話なのですが、この発表後株式市場の反応は薄かったです、機関投資家の多くは債務超過の企業に投資できませんからそれが原因でしょう。
社内のルールで機関投資家は格付けが基準以上じゃない投資できないんです。

その後7000億円の自己株買いと、復配を発表して株価は急上昇しましたので純粋に知識だけで投資に勝てた好例と言えるでしょう。

さて、その時発表した自己株式買いは、この記事の最初のニュースが発表される直前の2019年の11月で終了したわけです。

それではこちらの資料をご覧ください。

画像2

まだキャッシュが7000億円も余っていることが分かります。
非常にいい事のようですが、自己株式買いも終了したので使わないとまた同じように株主還元のプレッシャーをかけられるわけですね。
使わないと、ただただお金を吸い取られていくだけになってしまうのです。

しかし大規模な投資をして会社を傾けるに至ったウエスチングハウスの例もあるわけで、新しい投資に大金を使うのが難しいのが東芝の実情です。

お金の使い道がなく、使わなければ株主に持っていかれる八方ふさがり状態です。

そこで取った戦略が、最初のニュースの通り子会社を完全子会社化するという戦略だったわけです。

完全子会社化をする意味は子会社の利益を100%得られることです。
つまり株式を60%であれば100円の利益のうち60円分しか自分のものにならないわけですね、完全子会社化して残りの40円分を買おうという戦略です。

ですがこの投資は将来的に会社を大きくするような投資ではないわけです。
新しい事業へ投資ではなく、株主還元を迫られるのを恐れたなし崩し的な投資です。

東芝の未来予測!!

今後まだキャッシュがあるうちに新しい分野への投資が必要なのは間違いありません!
このままでは、国内インフラ系の事業を多くになっている東芝は、日本市場の縮小とともに少しづつ縮小していくだけだからです。

しかし自己株式買いを行ってきたこの一年の間に新たな投資を決断できなかった事から厳しい状況でしょう。
このまま緩やかに規模が縮小していく可能性が高いのではないでしょうか?

また、この東芝と同じ状況に向かっているのが日産自動車であると考えています。
そのことを書いた記事はこちら

さて、日産、東芝、日本を代表する企業が今後未来への投資に資金を使っていけるのかに注目です!!

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