社会人ミュージシャン同士の繋がりが生まれる場所を創りたい。ー平柿 優(アコースティック専門ライブハウスsomeno kyoto店長)
「我々は本気で歌う社会人です」。そう銘打ったブッキングイベントを開催している京都・河原町のライブハウス someno kyoto。このイベントは、仕事しながらでも、自分の歌を披露できる場として、幅広い年代層の社会人バンドマンやシンガーが出演している。今回は、このイベントを開催するsomeno kyotoの店長 平柿さんの「社会人ミュージシャン同士の繋がりを創りたい」というその想いに迫った。
<profile>
平柿 優
1992年生まれ。滋賀県出身。京都・河原町のアコースティック専門ライブハウスsomeno kyoto 店長。中学3年からバンド活動をはじめ、ウルトラタワーのベースとしてメジャーデビュー。同バンド解散後、2017年にスタッフとして、入店。2018年4月に店長に就任し、プロ・アマ問わず、数多くのアーティストのライブをブッキングしている。
ブッキングマネージャーとして、ミュージシャン個人に、できる限り寄り添う。
ーsomeno kyotoのブッキングイベント「我々は本気で歌う社会人です」は、普段は仕事をしている社会人シンガーやバンドマンが出演するイベントです。なぜ、社会人だけのイベントを組もうと思ったんですか?
元々、somenokyotoでは週末を活用して、社会人が出演できるイベントのひとつとして開催していたんです。社会人で音楽活動をしている方は、やっぱり、週末でしか出演できない方も多いんです。平日のブッキングイベントに誘っても仕事の都合とかで、なかなか出演してもらうことが難しいんですよね。
それに、ミュージシャン同士で交流する場を創りたかった、という気持ちも大きいですね。社会人ミュージシャンって、やはり、週末でしか活動できないこと多いですし、時間も限られているので、なかなかお互いに交流しあう機会って少ないんです。だから、このイベントが自分の活動ペースに合うようなミュージシャン仲間を見つける場になれば嬉しいな、と。音楽活動って、ミュージシャン同士の繋がりで、一緒にイベントの企画をしたり、活動の幅も広がるんですよね。イベント自体も、その繋がりを創る場になってくれればな、と思っています。
ー現在はどんな年代の方が出演されていますか?
今は20代から30代の方に出演してもらうことが多いですね。ジャンルも問わず、本気でやっている人も、趣味でやっている人も分け隔てなく声をかけるようにしています。
ーミュージシャン同士の交流のために、場づくりをするライブハウスとしてどんな試みをしていますか?
開演前に必ず顔合わせをするようにしていますね。ライブの前って、緊張感というか、独特な空気が流れてるんですよ(笑)その雰囲気のままイベントが始まっても、なかなか声をかけづらいし、イベント自体も盛り上がりにくい。だから、開演前に、出演者全員に集まってもらって、自己紹介や、普段どんな仕事をしているか、あとは仕事の愚痴なんかを発表してもらって、空気を和らげるようにしています。
ー仕事をしながら活動をする難しさに悩みを抱えている社会人ミュージシャンも多いですよね。仕事と音楽活動を両立させるために、平柿さん自身がどんなことが大切だと考えていますか?
「自分がどこを目指したいかはっきりさせておくこと」かなと思います。やっぱり社会人ミュージシャンは、本業の仕事のスケジュールや都合に引っ張られがちだし、どこかで妥協しなきゃいけない瞬間もある。でも、自分の活動の目標を持っていると、自分の現状を冷静に把握することができるし、活動ペースも調整しやすい。仕事との両立も無理なく行えるなと思っているんです。そのために、僕自身はブッキングマネージャーとして、できる限りミュージシャンに寄り添うようにしています。イベントに出演してくれたミュージシャンには、仕事の環境や、個人の目標をヒアリングして、活動のペースと今の現状が両立できているか一緒に考えていますね。その上で、ミュージシャンそれぞれがレベルアップして、活動の幅を広げてくれれば、こんなに嬉しいことはないな、と。
僕自身、バンド時代にメジャーシーンで活動させてもらってて、プロの現場は制作のペース感やクオリティへの追求が高いなと感じることが多かったので、出演してくれるミュージシャンにアドバイスする上での大きな糧になっていますね。
ライブっていいな、って瞬間をミュージシャンにもお客さんにも届けたい。
ーsomeno kyotoは、老舗揃いの京都のライブハウス界隈でも、比較的新しい部類に入ると思いますが、平柿さんはsomeno kyotoをどんなライブハウスにしていきたいと思っていますか?
ここ京都にも、数多くのライブハウスがありますが、みんながそれぞれ、個性豊かな特色があると思うんです。someno kyotoは、音楽シーンの中で、アコースティック専門というコンセプトは守りつつ、京都の音楽シーンを盛り上げる一翼を担っていきたいですね。
ー最後に、someno kyotoのライブハウスとしてのこだわりを教えてください。
出演するミュージシャンにも、見に来てくれるお客さんにも、なるべくいい環境で音楽を楽しんでもらいたいと思っています。そのために、いい機材を揃えて、音環境にはこだわっていますね。それに、僕自身、ブッキングもPAも照明も兼任しているからこそ、出演するアーティストが出したい音や、客観的に見てカッコよく見えるステージ作りは意識しています。
「今日はいいイベントだったなあ」って思う日は、お客さんとのいい空気作りができた時なんですよね。その人にしか歌えない歌があって、さらにMCとかで、そのミュージシャン個人の人柄がにじみ出る。そんな時に、いい空気が生まれるんです。なので、ライブハウスとして、なるべくいい環境を整えて、ライブっていいなって、心の底から思う瞬間を、アーティストにもお客さんにも届けたいんです。
これからは、もっとバラエティ豊かな組み合わせでブッキングをして、その中でミュージシャン同士の新しい出会いを生み出していきたいと思っています。
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