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iichiのリニューアル「いい ちいさな ものづくり」

こんにちは、iichi代表の飯沼です。
いつもiichiをご利用いただきまして誠にありがとうございます。

4月21日にiichiのリニューアルを行いました。今回のリニューアルにあたって、iichiとして考えたことなどをご紹介できればと思います。

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1.新しい「色」と「形」について

どのような色と形を使うかというのは本当に難しいものです。

iichiの色と形を考える上では優しさ、親しみやすさ、落ち着いた雰囲気などを大切にすることを考えてきました。今回、これまで大切にしてきたイメージを残しながらもプラットフォームとして、これからの多様性や機能性を考慮し、ユニバーサルでモダンな要素を加えていくことを目指しました。

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色については、これまでもベージュを基調にしていたのですが、ベージュ以外にもオフホワイト、ブラウン、ゴールドなどの色をいくつかの箇所で併用しており、使う色のルールは大まかにしか決めていませんでした。今回、iichiで使用する色のカラーパレットを作り、白をベースになるべく使う色を少なくする試みを行いました。

カラーパレットasana

形については、ボタンやエリアの枠線などでは角丸の利用をやめて、全てスクエアに統一しました。また、ロゴについては、大文字・小文字、丸・四角、幅の大小とさまざまなバリエーションを考えましたが結果としては小文字・やや幅広・四角への変更にとどまりました。

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今回は、外見の色と形を中心に変更を行いましたが、今後はプロダクトの中身の情報構造や利用フロー改善を進めていきたいと考えています。

2.新しい「テーマ」と「カテゴリー」について

サービス開始時から繰り返し考え続けているのが自分たちの仕事のテーマとカテゴリーです。

iichiは、個人や小規模なものづくりを行う人とそれを求める人との繋がりをつくることを目的に始まりました。作り手にとって、使い手との繋がりはとても大事なことだと感じたためです。

ただ、この個人や小規模なものづくりを何と言えば良いのか。このような対象を何と呼ぶことが適切なのか。どのようなカテゴリー名称で括ることができるのかに関してはいつも悩まされます。

カテゴリー名称は、“手工芸”、“クラフト”、“ハンドメイド”、“工芸”、“民芸”、“アート”など様々あり、個人の手仕事から機械を使う手工業までがグラデーションとなり混ざり合っています。

こちらはそうだが、こちらは違うというような解釈の違い。他と区別することでカテゴリーの価値を高めたり、仲間意識を高めたり。とても長い歴史と言葉の積み重なりがある世界です。

そして、難しいのはどの名称を選んでみても、いつも少しの違和感が残ってしまうということです。それは、ひとつの名称を選ぶことで入りづらいものが出てきたりして、可能性を限定してしまうことだったり、特定の名称に頼ることで元の解釈に新たな解釈を加えたくなってしまうなどということだと思います。

そのような堂々巡りをしていた時に、ふと以前から頭の片隅に残っていた「小さい」という言葉を思い出し、それについてもう一度考えてみることにしました。

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iichiをはじめた頃に読んだスモール イズ ビューティフル(Small is Beautiful)〜人間中心の経済学〜を再び読み直したり、これまで勉強になったり、刺激を受けてきた書籍を読み返したりしました( ※ 詳細下記)。

そして、もしかしたら今であれば小さいということ自体にも価値があるということが社会的に共通の認識として通じるのではないか?と考えるに至りました。

人と社会との繋がりのなかで「小さく」「続けていく」ことがとても正直で、豊かな状態でもある。価値を提供しながら「小さくあり続ける」ということは、決して簡単なことではないが、その状態は今の時代において、主流な生き方であり、ひとつのウェルビーイングの形であるという共通の認識。

このようなことを考えながら、対象のカテゴリーについても既存の名称には固執せず「ちいさな ものづくり」と称しても良いのではないだろうかと徐々に考えるようになりました。もちろん「小さい」だけではなく、更に「良い」ものでないといけないと考え、「小さい」「良い」「物作り」という言葉をノートに書き綴りながら、「いい ちいさな ものづくり」という、iichiのテーマでもあり、対象のカテゴリーでもある言葉が生まれました。

(最初「ちいさな いい ものづくり」と書いていたのですが「iichi(いいち)になる!」と思い、順番を「いい ちいさな ものづくり」に入れ替えて完成しました笑)

「 いい ちいさな ものづくり 」


いい...良い、グッド。使い手のことを考えた。使い手に喜ばれる。良質な素材・高い技術や製法・独自の思考や思想・良い品質。地域や環境への考慮。誠実な仕事・生業・生き方。愉しみのある。

ちいさな...個人から中小規模の作り手や生産者の思想や顔の見えるスケール感。少量〜中量生産の作品や商品を対象としたスモールビジネス。

ものづくり...手仕事・クラフト・手工業と呼ばれる、少量〜中量生産によるものづくり。もの本体や売り買いだけでなく、生産者や産地の背景も含む。

「いい」「ちいさな」「ものづくり」と言葉を分けて、自分たちがそれぞれの言葉をどのような意味として捉えるかということについてもこれから思考を深めていきたいと考えています。

3.「作り手」、「使い手」、「繋ぎ手」について

iichiをご利用いただく「作り手」・「繋ぎ手」・「使い手」の方々の関係性や利用方法について今回あらためて考えました。

iichiでは、サービス開始後の早くから「作り手(作家・メーカー)」・「繋ぎ手(小売店・代理販売)」・「使い手(生活者・購入者)」の三者の方々が利用できるプラットフォームとしてのサービス提供を行ってきました。今回、利用規約の改定も行い、言葉の定義や利用する上でのルールについての取り決めなども行いました。

今後は「作り手」・「繋ぎ手」・「使い手」の三者の良い繋がりが更に生まれ、広がっていくような場としてのサービス作りを行っていきたいと考えています。

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作り手…個人作家から中小規模のブランド。自身の創造性や技術を活かし、独自もしくは固有のものづくりを行う。

繋ぎ手…お店やギャラリーなどの作り手の代理販売を行う。地域の作り手の担い手、リアルな場を通じてものづくりを伝える。

使い手…ものづくりに関心の高い、暮らしにクリエイティビティを取り入れる生活者。作り手の創造性に対して一票を投じる。

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リニューアルと同時期に「作り手」・「繋ぎ手」をご紹介する noteマガジン「いい ちいさな ものづくり」もスタートいたしました。そちらも是非ご覧いただければと思います。

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今回のリニューアルは、iichiの一部のコンテンツやデザインのわずかな変更ではありますが、私たちにとっては新たな方向に向かって踏み出すための大きな一歩となりました。

また、リニューアル準備と制作を各自がリモートにて行うなか、自分たちの仕事や役割についてあらためて考えを深めることが出来ました。

現在、様々なことがオンラインに移行していくなかで新しい可能性や楽しさが生まれていると同時に限界や困難も生じているようにも感じます。

手で作り、手で感じ、手で考える、いわゆる手仕事の世界は自身の五感と感覚を信じて、人がものを作り、ものと人が出会い、そして、人と人が繋がることで成立しています。

これらを補うための文字と画像と音の組み合わせによる情報でのやり取りに出来ることと出来ないことをきちんと判断していくことも大事です。そのためには、自分たちの感覚を鈍らせないように気をつけながら提供すべきサービスを考えていく必要があります。

今、これまでの常識や価値観があらためて見直されているなかで、iichiは「いい ちいさな ものづくり」という新しいテーマのもとに人と人の繋がりを広げていきたいと考えています。

そしてまた、多くの方に楽しんでいただけるようなサービスを提供していきたいと思っています。

皆さま、これからもiichiをどうぞよろしくお願いいたします!



( ※ 書籍詳細:写真左上から右の順に)

完本 小津安二郎の芸術 (朝日文庫) 佐藤忠男 – 2000/9/1、調理場という戦場「コート・ドール」斉須政雄の仕事論 (幻冬舎文庫) 斉須政雄 – 2006/4/1、ミナを着て旅に出よう (文春文庫) 皆川明  – 2014/3、対訳 21世紀に生きる君たちへ (三水舎) 司馬遼太郎 – 2003/4、スモール イズ ビューティフル (講談社学術文庫)  F・アーンスト・シューマッハー (著), 小島慶三 (翻訳), 酒井懋 (翻訳) – 1986/4、割ばしから車まで (復刊ドットコム) 秋岡 芳夫 – 2011/10、工芸文化 (岩波文庫 青 169-3)  柳宗悦 – 2003/8、さざ波の記憶 (新潮社)  安西カオリ,安西水丸 – 2019/11、仕事場訪問 (四月と十月文庫 8)  牧野伊三夫 – 2017/10/27、美術と工芸の話 (桃山書林) 柳宗悦 – 昭21


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