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〔vol.18〕風景のように変わり続ける、matsuricaのやわらかな重ねガラス

ー 作り手

変わり続ける風景の一部を写真に収めるように硝子に記録してゆく。
柔らかい光と質感、手触り。
そんなことを考えながら毎日硝子を削っています。

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まるで空や海から色がぽとりとこぼれ落ちてきたような「matsurica」さんのアクセサリー。ガラスがあざやかな色彩をやわらかく包み、おぼろげでありながら芯の強い存在感を放っています。

matsuricaさんの作品の原点は、作家活動を始める前に瀬戸内海の島々で出会ったシーグラスだったそうです。

ずっと見てきた素材なのに
すごく綺麗なものを見つけた気がして嬉しかったのを覚えています。

砂や波や風でできた自然の形と太陽にかざすとぼんやり光る表情、
こういうガラスがつくりたいなと思いました。

自分が扱う素材についてどこに魅力を感じるのか、
どんなものが作りたいのかを
その時まできちんと考えたことがなかったと思います。

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作家として初めて発表した作品もこの旅で見つけたシーグラスや風景を元に制作し、それ以来ずっとご自身のコンセプトとして大切にされているそうです。

淡く繊細な印象のmatsuricaさんの作品ですが、制作現場までそうとは限りません。大掛かりな機器や無骨な工具たちがずらりと並びます。

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硝子というと熱を加えて成型するイメージが強いと思いますが、
私の作品は熱を使うのは全体の2割程度で、
ものによっては全く熱を加えないものもあります。

大体の作業が機械を使っての研磨になります。
3~4種類くらいの加工機を段階によって使い分けています。

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私の作品は表面が曇っているものが多いのですが、
これは研磨の途中段階で止めている状態だからです。
さらに磨きをかけると透明になるのですが、
曇った状態の柔らかい光の見え方や、
少しざらつきがあって手触りのある感じが好きなので
あえて途中で止めています。

また、光の表情をより強調するために薄い鏡が積み重ねられており、その反射によって見え方が変わるため、matsuricaさんのアクセサリーは付けている人の動きやその日の天気、時間、空間によって、どんどん表情が変わっていくそうです。

ー ものがたり

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実はmatsuricaとして活動を始めるのに特に大きなきっかけはなかったとのこと。しかし美術講師として長く勤めていた高校を辞め、子ども達の美術に関わる学童保育所に転職したことがものづくりへの考え方、向き合い方を変える出来事だったといいます。保育がメインの学童では大変なこともたくさんありましたが、一緒に工作をしたり、走り回ったりする時間はとても楽しかったそうです。

ガタガタの折り鶴や、下絵の意味がないくらい塗りたくったぬり絵、
美術館に行くよりも面白い作品が溢れていました。
大人になったらできない、今この時しか作れないカタチなんだと気づいたら
とても愛おしくて大切なものだと感じました。
そんな日々を過ごす中で自分もまた何か作りたいと思うようになり、
硝子でのものづくりを再開していました。

以前と違ったのは自分のペースで無理なく、
映画を見るようにやっていこうと思っていたことです。
子ども達と出会い、たくさん遊んだ日々がそう思わせてくれたんだと思います。(とはいえその後も色んな人と出会い、気づいたら本業になっていたのですが。。)

ちなみにもともとは本名で活動されていたmatsuricaさん。今のブランド名は勘違いから生まれたそうです。

iichiなどのECサイトを利用する際に、ニックネーム的なものを決めないと
登録できないと勘違いしていて屋号を決めました。
その頃は誰にも知られずひっそりと自分のペースで
ものづくりをしていきたいという思いもあり、
これなら私だとバレないだろうと思いmatsuricaに決めました。
マツリカは漢字で「茉莉花」と書き、“ジャスミン”の和名です。
私の名前の由来がこの花の漢字なので、ローマ字でmatsuricaにしました。

ー 想い

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作っているのはアクセサリーですが、身に着ける用途よりも
より綺麗なガラスを作る事に重点を置いています。
子供の頃に集めていたビーズとかキラキラの折り紙のように、
使わなくてもたまにこっそり眺めたくなるものたち。
そんな存在になってもらえたらうれしいです。

matsuricaさんのアクセサリーはほとんどが色鉛筆で着彩されているため、経年変化によって色が少しずつ淡くなっていくそうです。
デニムが色あせるように少しつ変化し、
何年かかるかわからないけど、いつか真っ白になってゆく。
そんな過程も楽しんで頂けたら、と最後に語って下さいました。

ー 作り手情報

matsurica(マツリカ)


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