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伊藤忠インタラクティブ株式会社 社長インタビュー~カスタマーサクセスパートナーになる~

今回は2021年4月1日より伊藤忠インタラクティブ株式会社(以下、IIC)の代表取締役社長に就任した市橋社長にご自身のことや会社の方針等についてお話を伺いしました。

■市橋社長のこれまでの経歴


――市橋社長のご経歴を教えてください。

市橋社長:1989年(平成元年)に伊藤忠商事に新卒で入社しました。当時の伊藤忠商事は、日本で初めて民間で通信衛星を打ち上げた会社だったので、衛星を扱う部署が大人気だったんです。もちろん私も衛星志望でした。ミーハーな感じでね(笑)。しかし、情報産業への配属となりました。
文系出身だったこともあり「コンピューターのことは何もわからないだろう」ということで、新入社員として入社後は社内の情報システムで2年間、仕事をやりながらITの勉強していきました。

――文系出身からITの知識を習得されていったのですね。

市橋社長:入社6年目にシリコンバレーにあった伊藤忠テクノロジーという会社で1年半の実務研修を行いました。ここが私のターニングポイントで、当時はインターネットが本格的に商業化されて、それこそYahoo!などのIT企業が急成長を遂げる中で、シリコンバレーでは、あちこちで若い人が会社を作っていました。

――シリコンバレーといえば、Apple、Google、Facebookなどの世界的に有名なIT企業の集積地ですね。

市橋社長:シリコンバレーでの経験と、元々、漠然と何か事業がしたい、作りたいという思いがあって、2000年に伊藤忠商事に半分、残りは大手カード会社や広告代理店等に出資してもらい、ネットビジネスの会社を立ち上げました。
アメリカでおもしろいビジネスがあり、それを日本で展開するというものでしたが、いろいろな力量が足りず、1年半で会社を潰してしまいました。ゼロから立ち上げて清算まで、一連の流れを経験し、その時は「社長なんてなるもんじゃないな・・・。」と強く感じましたね。
その後、伊藤忠商事本社で経営企画業務や、営業課長としての職務も経て、出向先のCTCでは部長、本部長まで経験を積み、マネジメント力にはある程度の自信がついていきました。


■IICはストーリーを紡いで、届けて、実装する。そして、お客様にとってなくてはならない「カスタマーサクセスパートナー」になる。

――IICの事業内容について教えてください。

市橋社長:すごく大きく捉えるとDX、というと今やどこにでもある話に聞こえてしまいますが、世の中は、単に良いものを出せば売れるという時代から、誰が、なぜそれを出したのか、が問われる時代、売って終わりから売った後が大事な時代、すなわち、マーケットインの時代に変わってきています。
その環境において我々がお客様に貢献するのは、ストーリーを紡いで、届けて、実装する、ということで、お客様の「自分達は何者なのか、どういうことをやりたいのか」というストーリーを“紡ぐ“ところから始まり、その紡いだストーリーをお客様のお客様へ“届けて“、ストーリーが届いたお客様が実際に買ったり、サービスの提供を受けたりする商品・サービスそのものに作り手のストーリーを“実装“をする、この3つの要素をデジタルでサポートしていくのがIICの事業です。

――IICの基本方針について教えてください。

市橋社長:IICは「カスタマーサクセスパートナー」を掲げています。

我々は、常にお客様と伴走し、
お客様が提供する顧客体験の向上に寄与し、
お客様のビジネスに貢献していく、
お客様にとって、なくてはならない
カスタマーサクセスパートナーになる。

今は売って終わりから、売った後が大事になる時代、顧客とずっとつながる時代です。

お客様の立場で、お客様に伴走できること―…
単なる下請けではなくお客様のビジネスそのものに貢献できること―…
伊藤忠グループという大きな後ろ盾があること―…

今の時代背景の中で、この3つの強みをもって、お客様の成功を共に実現するカスタマーサクセスパートナーになる、というのがIICの基本方針です。

■IICの課題と今後の取り組み。

――IICの初めの印象を教えてください。

市橋社長:正直な話しをすると、初めて「IICの経営をやって欲しい」って言われた時は前向きな気持ちにはなれませんでした。IICっていう存在は知っていたけれど、何をやっている会社なのかイメージが全く無かったので漠然とした不安があったんです。
ただ、引き受けた以上はしっかりやろうと思い、意を決してIICに来ました。
まず初めに全社員と1on1を行ったのですが、みんな口々にこの会社が何をやっているのかわからないと言っていました。しかし、具体的に個々の業務を聞いているとそれぞれに面白い業務があるじゃないかと。
つまり、個々には面白い取り組みがあるけれど、会社として経営されてないというのが最初の印象でした。

――IICの課題について教えてください。

市橋社長:自分たちは何ができて、強みは何なのかが分かっていないことだと思います。
IICには、これまでに多くのお客様の期待に応えてきた実績があり、これからも時代に合わせてお客様の期待に応えていけるポテンシャルがありますが、これまでは「なんでもやれます!」「どんな形でもできます!」というのが強みでやってこれていました。
ただ、同じようなサービスが乱立しているこの時代では、「なんでもできます」ではお客様の目には留まりません。こちらから発信しなくてはならないのです。そのためにIICでは何ができて、どんな価値を提供できるのかを事例とともにお客様へ伝えることが必要になります。

事業内容がはっきりしていない、IICは何ができるのかわからない、伝わらない、という課題に対して、この1年間である程度、整理することができたので、みんなも自信をもって会社をアピールできるようになってきたのではないかと思います。おかげさまで業績も上向いてきました。

今年度は、この整理した方向性が本当に正しいのかを証明することが課題であり、挑戦だと思っています。

そのための次なる課題は、せっかくみんな良い仕事ができるのに、お客様にあまり知ってもらえていない。
そのために、例えばコーポレートサイトのリニューアルを行う事でIICの実績を発信していこうと取り組んでいます。

■市橋社長の考える社長とは。

――社長とはどういう立場だと思いますか。

市橋社長:会社のステージによって違うので、一概に一言で社長はこういう立場とは言えないけれど、そもそも会社は何のためにあるのか、価値を提供し、しっかり収益を産んで、価値を提供する社員がちゃんと食べていけるようにする、それを実現する立場にあるのが社長だと思います。
社長の役割としてビジョンを示すっていうのもあるけど、これは別に社長が独善的に考えるのではなく、IICの場合は社員にも意志をもってもらうためにも、基本方針を自分たちの強みをどう活かすのかという社内のディスカッションを経て作りました。

社長っていうのは、すごく変な言い方をすると雑用係で、会社として機能するために、欠けている部分を手当てするのが役割だと思います。ちゃんとビジョンが見えて、上手く進んでいれば、あえてそこをかき乱す必要はありません。会社が継続的に価値を提供していけるように、マネジメントするのが仕事です。

例えば、今後、お客様がより増えていけば、リソースが足りなくなり、リソースの手当てはどうするか?人を増やせば解決する話なのか?もしかしたら、仕事のやり方を見直す必要があるのではないか?といった課題が発生します。このように、その時々に出てきた課題に対して一つ一つ対処し解決していくことが社長の役割であり立場だと思います。

――理想の社長像があれば、教えてください。

市橋社長:自分が理想だなと思う人は、いろんな人がいます。
すごい先見性があって「よくそんなの思いつくな〜」と思う人もいれば、前の社長のように、誰からも好かれているというのも素晴らしいと思います。
私が持っていないものを持っている社長はすごいなと思います。
社長像ではないですが、課長でも部長でも役員であっても一緒だと思っているのは、自分がいなくなっても自律した環境や組織を作れることが理想だと思っています。

■最後に市橋社長のQ&A

Q1 毎日必ずやっていることはありますか
朝風呂ですかね。なぜか、この時が一番面白いアイデアが浮かぶんです。最近では慣れてきて悩みがあっても「どうせ朝になったらいいこと思いつくだろうな」って、夜は考えずに寝るようにしています。

Q2 どんなことでリフレッシュされていますか
ゴルフが好きで、プライベートでたまに行ったりしています。唯一の趣味ですね。

あと、コロナ禍になってから全然なくなったけど、昔はグデングデンになるまでお酒を呑むのが大好きでした。記憶もなくなることもしょっちゅうだから、飲み会とかで話してもあまり意味ないんですよね(笑)

テレビドラマを見るのも好きで、ドラマから何か得ることもあります。面白いドラマとか、つまらないドラマとか色々あると思うけど「こういう考え方もあるよな」とか、時々ドラマを通じて感じることもあります。

Q3 座右の銘は何ですか
「急がば回れ」っていうのは、座右の銘って程ではないけど、仕事上の心がけの一つです。なるべく、準備をしっかりする。準備で8割、9割決まると思っています。

<伊藤忠インタラクティブの詳細はこちら>
https://www.market.co.jp/


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