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雨の粥の詩集

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詩をまとめた記事だけまとめて置いておきます。
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2023年4月の記事一覧

三篇の短い詩・季節ごとに数日間だけ訪れる楽園

三篇の短い詩・季節ごとに数日間だけ訪れる楽園

「湖」

ベッドに寝転がって
掌に湖を載せる
カバンの中で電話が止む
わたしの体は
壁に吊したドライフラワーに変わる

「黄昏」

バスルームの鏡に映る体に
骨まで焦がれたい
死んだままで
血の通わないキッチンに立つ
卒業式
水に浮かぶ夢を見た
私ひとりがいない世界

「夜明け」

白い腕のふくらみ
夜が明ける
仮塒
戸を叩くのは夜を失った指先
夜を失ったままでどこへ行こう
暗い部屋で蛇の舌だけ燃

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