ギリギリガールの100マイル完走 セブンルール
UTMF、UTMB、なんだかんだギリギリ完走したテールエンダーな私のマイルール。伝えたいことがありすぎるけど、とりあえず好きな番組を真似して7つにまとめてみた。とにかく、UTMFを46時間以内に完走を目指したい人に何かの参考になればいいな。
1.誰よりも楽しむ。
トレイルランニング日本最高峰の100マイルレース。エントリー資格があったこと、当選したクジ運、そして100マイルに挑戦できる身体と家族が健康なこと、全ての条件が揃ってスタートに立てる。もうそのことがミラクル。
大自然の中で日本一美しい富士山を眺めながら、2000人が命を懸けて遊ぶこの大会に参加できることを心から楽しもう。UTMF2020スタートまで77日。カウントダウンも楽しもう。
2.チリツモを楽しむ。
私がスタートまでに3ヶ月取り組んだこと。
1日3km走る。おやまの練習は荷物をコインロッカーに預けない。エレベーター、エスカレーターを使わない。階段を使う。お山に行けなくても、故障していても出来ることはたくさんある。
チリツモランに関しては、もしこれをしても完走できなかったときは「言い訳しない」と決めて実行。5kmにしたら続かないので、徹底して3km、雨の日も風の日も筋肉痛の日も、二日酔いの日も熱がある日も。しんどくなってからがマイル。完走するかしないかは自分次第。この効果は絶大だった。
3.準備8割。
準備が8割、だと信じている。入賞や30時間台を狙うなら練習が8割かもしれない。でも結局、30km以上の練習ができなくても完走できた。それよりも、マイカップひとつライトひとつ、ギアの使い勝手やトラブルで完走が危ぶまれたので、準備に力入れることをおすすめする。(特にUTMBを目指している人は、UTMBレギュレーションに合わせたレインのゴアのレインやグローブの購入をオススメする。ペラペラレインはUTMF2019でも痛い目にあった)
あとタイムチャート、シミュレーションが重要。自分の調子良いとき、自分の実力、関門ギリギリベースの3パターンはマスト。2019UTMFは、想定外の渋滞。まさかの30分5箇所、2時間半の遅れ。仮眠すら出来ず、タイムチャートがあったからこそ、冷静に判断が出来て、エイド短縮作戦がこうじた。完走を取るかしっかり休憩を取るかは、もちろん個人判断だけど、関門時刻は、特にUTMFに関しては完走目安ではない。ちなみに時計(GPS)は動かさず。その細かい距離が重要なわけではないから。
4.とばさない。
「どうしたら100マイル完走出来るか?」丹羽薫さんのレース報告会での質疑応答での答えは「とばさないこと」だった。
マイルなら120km、100kmなら70kmまで自分の実力の7割で走る。これが最後までご機嫌で走れるマイルール。特に下り。UTMFでもARTでも、私が下り歩くほどのペースでも50kmまでに皆に追いつく不思議。そんな私もどれだけ抑えても最後は足が終わる。それぐらい、レースのスタートはテンションがあがってハイスピード。焦るべからず。そのためのタイムチャート!笑 惑わされるべからず。早い時は調子がいいからそのまま行くのでなく、それは速すぎるのだー!笑(UTMF2018で失敗済み)
マイルは120kmからが本番。入賞者以外ならば、30時間だろうと46時間だろうと、大事なのは完走するか完走しないか。そもそも160km完走できる天候に恵まれることが奇跡。そして自ら止めることさえしなければ、完走はできる。だから脚を残すこと。大切なのは、ただこれだけ。エイドの滞在1分が完走を左右するのは言わずもがな。キロ5をキロ4で走るのは不可能だけど、エイドを1分早く出るのとはカンタンなのだ。5分で、のはずが8分10分滞在していることが殆ど、私はイン、アウト必ず写真を撮るようにしてる。後半もうろうとすると、関門貯金が何分かすら、思考が危うくなるから。
5.好きなものを持って走る。
300円出してジェル食べるなら、美味しいパンや好きなお菓子を持って走る。これもギリギリな私のマイルール。2日も動き続けるし、テールエンダーは、忘れもしない、名物のあの「焼きそば」がないこともあった。もうそれだけでおなかぺこりん。ジェルを持つことが皆の常識になってるけど、100マイルは旅。おにぎりやパン、お気に入りのお菓子を持って、50km越えたら次のエイドとエイドの間で、このお菓子を食べよう、なんて旅を楽しみにしてみよう。
パンなんて水分もってかれるから、って皆に言われるんだけど、ジェルを受け付けなくなって胃がやられて脱水やハンガーノックで完走出来ない方が悲しすぎる。そんな仲間をたくさん見てきた(泣)46時間もがんばるんだから、身体が喜ぶご褒美持とう。普段おやまにいくときに食べるものでいいと思う。反対におやまに行くときに色々試してみるのも楽しみかも。
ちなみに水は1.0リットルでなく1.5リットル持とう!UTMFではないけど、ロングレースでエイドで水がなかったことが2度も!エイドで、「えーーーっありえへん」と不満言った私はかっこ悪い。完走の左右を大会のせいにしてはいけない。100グラムの荷物減らすなら痩せた方が早い。これは亡くなった相馬さんの名言。
6.ありがとうを言う。
ありがとうを言えるペースで走る。これがマイルールであり、完走できるペースの目安。これは100マイルに限らずだけど、誘導ボランティアの人に必ずありがとうございますを言うことにしてる。ロングレースに限っては、本当にボランティアの拘束時間が長く、彼らなしで大会はなりたたない。仲の良い友人が誘導ボラしてくれていたおかげで頑張れたけど、彼のボラ勤務時間は確か2箇所 37時間だった(苦笑)もうホントにありがとうしかなくて、自分の力だけでは決して100マイルは完走できない。と実感した。のは、UTMFに限らず。大会運営者、ボランティア、仲間、家族、そして何より天候。今や大会開催率の方が低く、無事開催されることのミラクル、そして仲間の完走を願う心。その全てが揃わないと完走は出来ない。そして誰もがアナタの挑戦を応援してくれているから。
7. 自分を信じる。
2018UTMFは、2日間、富士山に見守って貰えた奇跡の大会で。日が沈んでも振り返れば暗闇に浮かぶ富士山のシルエットに、どれだけ勇気づけられたか。朝焼けに光る山の上から見る富士山の美しさ。杓子山頂からの澄んだ富士山。そしてゴールまでの橋からの雄大な富士山。
そしてRUN仲間のサポートの、顔見知り程度の友達に逢えるだけで、私は元気をもらえた。SNSに投稿しながら、45時間40分、20分前ゴール。こんなお祭りな大会は国内ではないだろう。と感激しながら、もうしんどいから早くゴールさせて思いながら笑顔でゴール。ゴールでビールを用意してくれた仲間に感謝しかない。
人生最高距離が80kmだったから、160kmなんて数字におののいて、故障も解決せず不安しかなかったけれど、色紙に書いた「UTMF Finisher」という言葉を毎日見ること、1日3km走ること、打ち上げを楽しみに挑んだ。そのおかげで、たまたま寝てしまったのに道中で起こして貰えたり、STY完走組のサポートや、いろんなミラクルが重なって、30km以上のロング練を一度もせぬまま完走できてしまった。
トレランはじめてエントリーまでに皆もう160kmは走ってるはず。ただそれの連続。だから自分を信じよう。今からは怪我せぬよう、体力落とさず身体を動かし続けることだけを意識しよう。
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UTMBでも改めて実感したのは、マイルレースのいちばんの醍醐味は、「人に会う力だけで前に進める」ことだと思う。そんなこと?と思うけど、実際、それはどんな食べ物より仮眠より、マッサージより力になる。そして、そんな舞台を楽しむ自分を信じること。私なんて、でなく、100マイラーになるにふさわしいと一番自分が思ってあげること。
と言いながら、実際にUTMFに完走しても、まわりにマイラーと言われても、なんちゃってマイラーのまま実感はなく、UTMFより2倍厳しいと言われるUTMB、無謀な挑戦をしてしまったけれど、そこでまたひとつ世界が変わってしまった。
そして2022 TDSは、両膝アウト、一歩も練習できぬままのスタート。UTMBよりきついTDS、行けるとこまで行こう、完走出来たら私凄い!と絶景にワクワクしてたら、関門に追われ、高山での睡魔に朦朧としてエイド勘違い、関門アウトにも関わらず、なんと7km走ればFINISHER、と救世主あらわれて仲間とゴールして、ホントに完走出来たのだ。
元気に前に進みさえすれば、完走できる。ワクワクと感謝の心は笑顔はミラクルを起こす。この100マイルレース完走の醍醐味と喜びを皆に味わって欲しくて、何かひとつでも参考になれば、と タラタラと書いてみた。
貴方のUTMFに挑戦することを、全力で応援しています。
正々堂々と完走宣言して、ひとりでも多くの仲間を巻き込んで、応援して貰ってください。それがいちばんの完走の近道だと信じてます。
2020.02.07
2023.04.20追記
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ギリギリガール100マイル アイテムについて その1
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ギリギリガールの100マイルギアについて その4
ギリギリガールの100マイルギアについて その5(2024更新)
ギリギリガールの100マイル 補給について その6(2024更新)
UTMF2019 ギリギリガールの記録。