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深夜の4時間しか営業しない中華料理店に、なぜ人は集まるのか?

営業時間、午後9時〜午前1時。深夜の4時間のみ店を開ける中華料理店がある。酒呑み客を相手にしているのではなく、しっかり食事としての中華料理を食べてもらう店である。

なぜ、昼でもなく、夜でもなく、深夜なのか。

残業で遅くなって、晩飯を食べていない人。遊んだ帰りで、小腹が空いた人。夜勤に備えて、腹ごしらえする人。そんな人たちが集まってくる。

住宅街なので、深夜には灯りも少なく、辺りは真っ暗。その店だけが明るく輝いており、暗い道を歩いてくると、ホッと安心する場所となっている。

明るさに心を解きほぐされた瞬間、美味しい匂いが漂ってくる。もう、入らずにはいられない。

中に入れば、深夜にも関わらず、席は8割ほど埋まっている。人気のない暗い通りを歩いてきた人は、緊張がほぐれ、まだ食べてもないのに、店に愛着を感じてしまう。

この店は温かい。

深夜営業ながら、ラーメンや定食の種類が豊富で、がっつりと食べられる。寝る前に腹一杯食べるのは、身体のためには良くない。罪悪感さえ持ってしまう。

だが、この店はそのことを忘れさせる。明るい光で、店内はまるで昼時。客の多さもそう感じさせる要因である。腹を空かせた人には、まさに天国。美味しそうなメニューに、冷静ではいられない。

深夜のみの営業は、ライバルが少ない。また、どんな時間帯にも、腹を空かせた人はいる。明かりを灯すだけで、人びとは集まってくるのである。

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