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【まち村】人口100人の「徳島・伊座利地区」は、なぜ移住者推進に成功したのか?

徳島県の端、人口100人ほどの小さな漁村。
それが、美波町伊座利地区です。

人口100人のうち、
約6割が全国各地からの移住者だと言います。

どのようにして、
人口を倍増させることに成功したのでしょうか。

過疎化・高齢化は、どこにでもある問題です。

しかし、ほとんどの地域で、
決め手となる対策を見出せないでいます。

伊座利地区でも全国のそれと同じく、人口減少により、
小中学校の児童が激減し、廃校の危機を迎えていました。

子どもは地域の宝。未来の夢。
子どもなくして、地域は栄えません。

そう実感した住民たちは、
意を決して立ち上がったのです。

合い言葉は、「学校の灯を消すな!」。

そのために必要なのは、
若い世代の夫婦・子どもを持つ家族に
移住してもらうこと。

しかし、いきなりの完全移住は難しいので、
親子一緒の漁村留学生の受け入れを検討したのです。

まずは、行政に陳情・要望しましたが、
良い返事をもらえませんでした。

行政が動いてくれないとなると、
この手の話は頓挫するものですが、
住民は諦めませんでした。

自分たちで何とかするしかないと、
地域の子どもからお年寄りまで、全住民で構成する
「伊座利の未来を考える推進協議会」を結成したのです。

最初に取り組んだのは、
まずは伊座利を知ってもらうこと。

現役の海女さんが、新鮮な魚料理を食べさせる
「イザリCafe」のオープン。

この地区は、定置網漁をはじめ、海女さんが獲る、
あわびや伊勢エビが豊富です。

これらは、充分に人を呼び込む資源となり得ます。

これまでは獲るだけでしたが、地元で食べさせることで、
それが地域の魅力となります。

観光に来て、見てもらうことが第一。
そのための拠点となるのが、「イザリCafe」なのです。

次に考えたのは、この“地域を体験”してもらうこと。

「一日漁村留学体験」「海女の仕事体験」。

“体験”はどこの土地でもやっていますが、
イベント的扱いに過ぎません。

しかし伊座利では、単なる遊びではなく、
移住を前提にしたものを実施しています。

そして、移住を考える際の大問題となる
「仕事」に関して。

生計が立てられなければ、移住はできません。

そこで、移住者を
漁師や海女として雇い入れているのです。

「イザリCafe」でも同様です。

基本的には、「すべて自己責任で生活できる方」
という移住条件を出してはいますが、
地元住民が親身になって、相談にのってくれます。

人の繋がりを大切にしている地域なので、
安心して移住できるのではないでしょうか。

これらのすべてを住民たちで行っています。

行政の手を借りられなかったことが、
かえって住民の“本気”を引き出したのです。

「学校の灯を消すな!」という強い思いが、
移住を考える人びとの心に響いたのではないでしょうか。

特に目新しいことをやっているわけではありません。

真剣に取り組んだことが、成功に繋がったのです。

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