#記録
【観察記録】サリサワ・ワイ2
「やっぱり人とは違うって思われたいじゃん?」
サリサワ・ワイは、久しぶりにお酒を飲んでいた。
顔色を変えずに、次から次に、お酒を頼む。
サイコロを二つ振って、出た目によってグラスのサイズが変わるという、チンチロリンなんとかを何度も楽しんだ。
メガサイズのジョッキに注がれた大量のお酒が、サリサワ・ワイの胃袋に流れていく。
「別に目立ちたいワケじゃないんだけど。やっぱりアイツは凄いって思われ
【観察記録】 サリサワ・ワイ
サリサワ・ワイは、いつも笑っている。
大きな目を見開いて、口を左右に広げて笑う。背が高く、手足も長い。
なにより愛嬌があるのは、彼女の母親が外国人だということが影響しているのかもしれない。年齢も性別も関係なしに交友するせいか、サリサワ・ワイはいつもクラスの中心にいた。当然、影では嫉妬をかうことも多かったようだ。
歯並びは整っていても、口元が少し出っぱっているというだけで、友達からは「ゴリラ
【観察記録】 ミキカムラさん
「よーい、はじめ!」
一斉に部屋の中にタイピングする音が響く。
カチャカチャと叩かれるキーボード。
日頃のストレスをぶつけるかのように強く板を叩く人、撫でるように滑らかにタイプする人。音を聴いているだけでも、その人の性格が現れる。
ミキカムラは、この音が好きだった。
心が鎮まり、人と一緒にいることを実感できるからだ。
少しだけ周りの音に耳を澄ませてから、ミキカムラはモニターに目を移した
【人物記録】 イクオイトさん
イクオイトさんは、人間の汚れた部分が好きだった。
汚れた部分というのは、綺麗の反対ということ。
綺麗な顔、汚れた顔。
綺麗な身体、汚れた身体。
綺麗な思い出。汚れた思い出。
イクオイトさんは人間関係を築く上で、この汚れた部分を重視する。
相手の汚れた部分を聞かずには、人と一緒にいることができないのだ。
イクオイトさんは、まるで相手を品定めするかのような眼差しで次々に質問をする。