THE FUTURE 〜福島県立ふたば未来学園・未来創造探究〜
福島県立ふたば未来学園 (以下、「ふたみら」)。
このステキな学校の「未来創造探究」というプログラムで、ミニ講義と審査員というかたちで、多分もう3年ぐらいお声がけいただいてます。
「未来創造探究」の趣旨や目的などは、↓こちら。
今年も生徒研究発表会に参加させてもらいました。毎年、ステキな機会をいただき、ふたみら関係者の皆さま、本当にありがとうございます。
福祉部署の市職員ということもあってか、福祉系のプロジェクトを中心に7つの発表を聞かせてもらいました。
発表をとおして感じたことを今回は書いてみたいと思います。
1.やってみたら、違ってた
ひとつめは、『やってみたら、違ってた』ということ。
このプログラム、「課題解決型」という設定なので、生徒のみなさんはそれぞれに、じぶんの身の回りやくらす地域の「課題」を探すことからスタートします。「これ、課題だよなぁ」からはじまり、その課題の原因やポイントなどを事前に調べ、仮説を立て、ファーストアクションを起こしていきます。
東日本大震災及び原発事故に見舞われた「相双(そうそう)地域」。その後のコロナ禍もあって、この地にくらす子どもたちの笑顔が減っているんじゃないかという課題を設定した生徒たちの発表がありました。
彼女たちは、さっそく、地元の小学生向け運動クラブに見学にいきます。
すると、、、
「運動クラブに行ってみたら、小学生の”笑顔”、ぜんぜん減ってなかったんですー」
サイコーだな!と思いました。
まず、サクッと現場を見にいくフットワークの軽さ。
そして、じぶんたちの課題設定や仮説に固執することなく、「笑顔、減ってないじゃん」と素直に認識し、プロジェクトを修正していく力。
「LGBTQ」をテーマに設定した生徒さん。
彼女もまた、すみやかに、LGBTQの認識度を調べるために、地元の中学生とじぶんの高校の生徒にアンケートを実施します。
アンケート前に、「まぁ、とはいえ、中学生の方が認識度は低いだろう」と思っていたそうです。
だけど、、、
「中学生の方が認識度が高かったんですよー。なにやってんだよ、うちら高校生は、、!」という発表。
これまたサイコーですよ。
自分だけの頭のなかで考えたことと、実際がちがうこと、結構ありますよね。
私だって、「こうにちがいないと思ってたけど、(行ってみたり、会ってみたり、話してみたら)ぜんぜん、ちがってたな」ということ、よくあります。
3つの『オーバー』
「知識経営」の生みの親といわれる経営学者の野中郁次郎先生。
先生が、日本企業における「三大疾病」としてあげられているのが、
・オーバープランニング (過剰計画)
・オーバーアナリシス (過剰分析)
・オーバーコンプライアンス(過剰法令遵守)
この3つの『オーバー』が、日本企業からスピードとチャレンジを奪っているのではないでしょうか。役所はさらに推して知るべしw!
もし課題とその原因などをネットでずっと調べていたら。
現場に行かず、人の話を聞きに行かず、ずっとモジモジしていたら。
いつまでたっても、頭のなかだけの、現実とはズレた課題認識・課題設定のままかもしれません。
でも、ふたみらの高校生はちがいます。
先にあげたように、現場に行ってみます。アンケートをとってみます。
そして、自分の頭のなかだけの仮説と、現実が違うことにすみやかに気づき、プロジェクトを修正していくのです。
44歳の自分も、おおいに反省とともに、学ばせてもらいました。
2.自分が変わる
男子生徒の研究発表。
高齢者の”食”をより健康的なものにしたいというプロジェクト。
運動部に所属する彼は、高齢者にとって大事な栄養素を調べ、それをおいしく手軽に食べるためのメニューとそのレシピまでつくりました。
ええやん、ええやん。
メッチャええやんと思って聞いていたら、ハイライトは別にありました。
メニューを試行錯誤する過程で、じぶんの食生活と、食への意識が変わった。そして、それが、このプロジェクトを通しての、いちばんの収穫だったというのです。
社会課題を解決しようと、いろいろやっていたら、気づきや学びがあった。その気づきや学びを含めたアプローチが、他者や課題解決よりも、むしろなんなら、じぶんを変えてくれた。
教育のことはまったく分かりませんが、これこそが、まさに「学び」であり、「成長」というんじゃないだろうかと思いました。
自分が変わる≒学び
もともとは「高齢者の食を改善したい」からはじまったのに、気がついたら、自分が変わっていた。この『予定調和』から外れた、バグというか、一種のエラーのようなかたち。これこそが、真の意味の”深い”学びであり、この未来創造探究プログラムの意義なのかなと思いました。
3.フィードバックと”修正”の回転数
研究発表から学んだことの3つ目です。
女子生徒コンビのプロジェクト。
地域に埋もれたステキなスポットを発掘し、まちの人に聞き取りし、マップに落とし込み、発信しようというもの。
その過程は、挫折の連続でした。
まちの人にいきなり聞き取り調査を試みるも、なかなか相手にしてもらえない。
マップの原案をつくり、学校内にポスターを掲示するも、ぜんぜん認知があがらない。などなど、、、
でも、彼女たちはめげません。
地元の小学校や中学校にも、ポスター掲示をお願いにいきます。
それでも、認知が思ったように高まらないと、今度は、その小中学校にお邪魔して、「校内放送」をさせてもらい、自分たちのプロジェクトやマップのことを宣伝します。
いきなりおこなった、まちの人へのインタビューも、めげずに再トライ。単なる再チャレンジではなく、今度はマップのひながたを持って、それを見せながらインタビューをします。すると、今度は趣旨をわかったまちの人たちは調査に応じてくれます。改善と修正の回転数が、いい意味でエグい。サイコーのチャレンジです。
パッションと修正力
「正解のない時代」とよく耳にします。
おとなもこどもも、これまで通りでは難しくなる場面も出てくるのかもしれません。
だからこそ、問題に対し、何かアクションを起こしてみる。
そのアクションに対するフィードバック(反応)を受ける。
思ったとおりでないときは、『修正』して、次のアクションを起こす。
フィードバックと、それを受けての修正。
この回転数を上げていくことが、正解があらかじめ用意されていない時代において、絶対的に大事なことなんじゃないかと発表を聞きながら思いました。
そしてもう一つ。
”めげずに”修正していく・再チャレンジしていく、根っこの原動力。
この原動力となりうる、
・パッションだったり、
・仲間だったり、
・「好き」と思えることだったり、
そういったことも、修正の回転数とともに大事なんだろうとも思いました。
あきらめずに、めげずに、回転数をあげていく”燃料”として。
まとめ:(情報)処理→「編む」力
①やってみたら違ってたというファーストアクションの大事さ
②自分が変わるという深い学び
③フィードバックと修正の回転数をあげる
以上3つを、今回のふたば未来学園の未来創造探究で学びました。
先にも書きましたが、「正解がない」時代。
「教育」「学び」も、時代とともに変わっていかないといけない側面もあるでしょう。
教育者の藤原和博さんもおっしゃっています。
問題だけでなく、仮説も、そして正解も主題者から与えられる。その中から、早く正しく「選ぶ」という(情報)処理だけでは、これからの正解なき時代は難しくなっていくのかも。
自ら仮説を考え、まわりのネットワークや力も借りながら、アクションを起こす。
↓
フィードバックを受け、修正の回転をあげる
↓
そして、過程も含め発信し、巻き込んでいく。
という、ひとも課題もプロセスも、いわば「編む」力というのが、これから必要になっていくんだろうと感じました。
「処理」→「編む」へ全振りということではなく、この二つの力のバランス配分というものが、時代とともに少しずつ変わっていくんだろうと思います。
そのバランス配分を、学校をあげて、地域や多くのステークホルダーとともに、学びのカリキュラムとして取り組み続けている、県立ふたば未来学園の未来創造探究。文字通りの「未来」にふさわしい、これからの明るい未来の取り組みです。
そして、今回の3つの学びは、おとなとして生徒の皆さんに”斜め上”から語るものではありません。何歳になろうと、少なくとも44歳の私は、明日からの自分の生き方・働き方においても、この3つの学びを意識しつつ、実践を心がけ、学び続け、変わり続けようと思っています。
お読みいただきありがとうございました。
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