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知ると楽しい『ひな人形』の人間関係~年中行事のまめ知識

人材教育家でマナー講師の井垣利英です。前回のnoteに、私が生まれたときに買ってもらったおひな様について、『ひな人形をオフィスに飾る。気軽なひな祭りの楽しみ方~年中行事』を書きました。私のInstagramに書いて、反響が大きかったものをnoteにまとめました。

今回は『ひな人形の人間関係』をnoteにまとめます。文字数が多いため、気になる項目だけ選んで、読んで頂いてもOKです。

役に立つのは、来年2022年のひな祭り(桃の節句)かも知れませんが(笑) ひな人形だけでなく、美しい日本の伝統文化=年中行事に興味を持って頂けたら嬉しいので、しっかり書きます。

◆おひな様は、天皇皇后両陛下のご成婚。並べ方が関東と関西で違う

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男雛(おびな)と女雛(めびな)は、天皇皇后両陛下のご成婚をイメージして作られています。

実は、おひな様を飾る位置が、関東と関西では左右が逆なのです!

現在の天皇皇后両陛下は、この写真の通り天皇陛下が右(むかって左)で、皇后陛下が左(むかって右)にいらっしゃいます。これを習って、おひな様の飾る位置の左右を決めていると言われています。

本来、日本では「左上位」とされていて、上位である天皇は左(むかって右)で、皇后は右(むかって左)でした。関西では、この伝統にのっとって、今でもおひな様を関東と逆の位置に飾っています。

◆着物の柄は、おめでたい文様ばかり

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美しいマナー&年中行事【マナー美人塾】で毎月、年中行事を教える中で、私自身も着物などの文様(柄)についての学びが深くなりました。

伝統文化への学びが深まったため、以前は気づかなかった点に気づけるようになりました。成長した自分に気づけて、嬉しいです♪

おひな様を細かく見るほど、職人さんたちの細かいこだわりや、技術の高さに感動します。一枚一枚丁寧に織られ、重ねられた着物の生地。文様の意味が分かってくると、さらに感動が深まります。

◆桐、松竹梅、亀甲、菊など。おめでた尽くしの着物

おひな様は天皇皇后陛下のご成婚をイメージして作られているため、当然、とてもおめでたいものです。だから着物の柄も、縁起が良い、おめでたい文様=吉祥文様(きっしょうもんよう)ばかりです。

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たとえば女雛の着物にかけている金色の生地の文様は、亀甲文(きっこうもん)というものです。「鶴は千年、亀は万年」という言葉があるように、長寿を表す縁起物の亀。その「亀」の「甲羅」を見立てているので「亀甲」文様と呼ばれます。

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そして、みかん色の生地は、桐文(きりもん)です。かつては皇室の専用の文様で、現在は日本政府の紋章になっています。桐文は「難を切る」という災難除けの縁起かつぎの意味があります。

桐は成長が早く、女の子が生まれると、桐を植える習わしがあったそう。その桐を使ってタンスをつくり、嫁入り道具として持って行ったとも言われています。

◆男雛の着物は、皇室の『菊花紋』

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男雛は天皇陛下をイメージしているため、皇族の『十六八重菊』の文様です。今日でも皇族の方々が事実上の家紋として使用されているのが、十六八重菊(正式には、十六葉八重表菊紋)です。

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濃紺の生地に、金糸で織られた皇族の家紋=菊の文様。天皇皇后両陛下のご結婚ならではの着物の文様なのです。細かいでしょ~。

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実は女雛の着物にも、同じ菊の文様の生地が使われています。ここにも、お二人のご成婚を表す細かいこだわりを感じます。

◆三人官女は、お二人のお世話係

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結婚披露宴のお祝いの席で、お酒を注ぐなどのお世話をするのが『三人官女(さんにんかんじょ)』です。だから、お酒を注ぐ道具や杯(さかずき)を持っています。

三人官女は、教育とお世話係の女官。女官の中でも、エリートの選ばれし三名です。礼儀作法や楽器、歌などを教えたり、身の回りのお世話をしているお役目の人たち。

【問題】三人官女のお顔のアップの写真を並べました。一人だけ、ある点が違います。どこだと思いますか?

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【答え】右端の人形は既婚者なのです。

昔は、結婚をした女性は、既婚者であることを表すために、眉毛をそり落として、お歯黒にする習慣がありました。だから、右端の女性だけ眉がなく、お歯黒(もう色がはげてしまっていますが)なのです。細かい点までこだわっているでしょ?

◆五人囃子は、祝宴を音楽で盛り上げる少年楽団

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五人囃子は、10代前半の少年楽団で、結婚の宴を音楽で盛り上げるお役目です。

演奏は、太鼓(たいこ)、大鼓(おおつづみ)、小鼓(こつづみ)、笛、謡(うたい)の五つ。道具も細かく丁寧に作られています。本当に、作ってくれた職人さんスゴイ!!

ここで、今年、私のInstagramで知り合ったひな人形の専門家の方から教わった、五人囃子の正しい飾り方について紹介しておきます。今年まで、私もまったく知りませんでした。さらに私の母も知らずに、私が生まれた時から、ずっと意識せずに飾っていたことが判明(笑)

◆五人囃子の正しい「笛の向き」

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これはInstagramで知り合った、ひな人形の専門家のJさんからのご指摘で知ったことです。

笛は、ちゃんと指穴があります。だからその穴を上に向けてあげると、彼も吹きやすいかと思います(笑) 繊細な感性を持つ日本人ならではかと思います」

そのアドバイス通り、笛を見てみたら、こんな風に指穴がありました。あわてて正しく飾りなおしました。

◆五人囃子の太鼓の台。正しい組み立て方

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太鼓の台は、このように設えるのが正解です。太鼓の紐(ひも)を台の棒にひっかけて、固定させる感じです。これもJさんから教わりました。

これが中々うまくできなくて、ずっとぺしゃんこでした(笑)我が家と同じような人が多いかも知れないので、細かく載せておきます。

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横から見るとこんな感じです。しっかり太鼓が立っていて、バチで叩きやすくなったと思います。

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太鼓奏者から見たら、こんな感じです。

◆おひな様のボディーガード=随身

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通称、右大臣・左大臣と呼ばれる『随身(ずいしん)』=SP要人警護官のお二人です。

武芸に秀でたお二人で、弓と矢を持っています。背負い矢は、向かって右肩から羽根の先が見えるようにするのが正式。だから背負い矢を、ちょっと斜めにかたむけるのです。

◆ボディーガードの着物は、強いイメージの縁起物

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随身はボディーガードだからか、着物には強いイメージの縁起物の文様が織られています。上の写真のように、地上と天上界を結ぶ神獣(しんじゅう)の「龍」や「波」「雲」など。すべて縁起が良いです。

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左側にちょっと顔をのぞかせている獅子舞でおなじみの神仏のご加護、無病息災を願う縁起物=「獅子(しし)」

そして、手前が天下泰平の時に空を舞うとされる神の鳥=「鳳凰(ほうおう)」

◆おひな様のメンバーで唯一の庶民=仕丁

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仕丁(しちょう)は、おひな様のメンバーで唯一の庶民の三人です。この人たちは地方からの労働者で、宮廷の雑務係です。

だから服装も表情も、他の人たちとちょっと違うのです。昔から「なんでこの人たちは、裸足なのかな? 」「ほかの人たちは色白なのに、どうして日焼けしているのかな?」 と思っていました。

その表情から、怒り上戸、泣き上戸、笑い上戸というそうです。持っているものは、台笠(だいがさ)、沓台(くつだい)、立傘(たちがさ)です。

◆まとめ。日本の美しい伝統文化を継承していきたい

今回は、3月の年中行事のひな祭り『桃の節句』について、おひな様の人間関係や着物の文様、飾り方や並べ方などを紹介しました。

私は、美しいマナー&年中行事【マナー美人塾】で年中行事を教えるうちに、どんどん知識や経験が増え、伝統文化の素晴らしさにはまっています。知れば知るほど、年中行事は奥が深いのです。

日本人形は、それぞれのパーツで、職人さんの分業で作られています。この丁寧な仕事、こだわりの素晴らしさを、後世に伝承していって欲しいです。

私の仕事を通して、一人でも多くの人が、年中行事や日本の伝統文化の素晴らしさに気づいて頂けたら嬉しいです。そのためにも、これからもその魅力をしっかり伝え続けます♪

※年中行事には諸説があります。いわれやしきたりは、地域によって異なる場合があります。

⏬プロフィール 井垣利英(いがきとしえ)☆マナー嫌いだった私が、マナー講師になるまで

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