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『天使のくれた時間』 何を大切に生きるか vol.547
映画を見始めてまず感じた感覚。
「この映画、見たことがある。」
なぜ、普段あまり映画を見ていなかった私が、こんなふうにみたことがあったのか。
そしてなぜ今この瞬間にこの映画と改めて出会えたのか。
おそらく結構前だと思います。
そして、どんな印象を抱いたか、どんな内容の映画だったのかもあんまり覚えていません。
でも、絶対にこの映画は見たことがあると断言ができるのです。
そんな、何が始まるのかわからないワクワクを携えて見たこの映画の感想を書いていきます。
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マンハッタンで大手金融会社の社長として活躍するやり手ビジネスマンのジャック(ニコラス・ケイジ)は、クリスマスイブの夜、仕事の帰り道に立ち寄ったスーパーで、奇妙な黒人青年キャッシュ(ドン・チードル)から換金できない当たり宝クジ券を買い取るはめになる。「これから起こることは、あんたが招いたことだ」と謎の言葉を残す青年。その晩、ジャックはいつものように眠りにつくが、翌朝目覚めると、全く見知らぬニュージャージー郊外の家にいることに気づく。隣で眠っているのは、なんと13年前に彼が冷たく縁を切った恋人ケイト(ティア・レオーニ)だった。NYの自分のマンションからは門前払いをくらい、会社では部下が社長の座に。狐につままれた思いのジャックは、この世界にいる自分が、ボランティアで弁護士をしているケイトと、2人の子供と暮らす良き家庭人であることを知る。仕事は、ケイトの父の店のタイヤ・セールス。はじめはとまどっていたジャックだったが、やがてケイトへの愛が蘇り、平凡な生活によって人間らしい素直な感情が芽生えてくるのだった。しかも本来の世界で働いていた会社ともコンタクトが取れ、出世の道まで開けてくる。だがそんなジャックの前に、再びあのキャッシュが現われる時がやってきた。前の世界に戻ってしまったジャックだったが、その世界のケイトのもとを訪れ、やり直そうと告げるのだった。
全ては今この時のために
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結果からいうと、映画の内容はほとんど覚えていませんでした。
ラストになっても、「え!?そういう終わり方!?」と言った具合に若干な遠くができませんでした。
この映画深く心を抉ってきます。
それもそのはず、自分の人生の在り方を否応なく考えさせられるからでしょう。
しかし、その人生が間違っている正しかったという判断があるわけではありません。
結局、ジャックも以前の記憶をたどりに、シティでの職業を自ら手にして大出世を果たせるコースを自ら作り上げています。
だから別に、元の生活を手に入れようと思えばいくらでも手に入れられたのです。
そうではなくて、そう言った地位も名誉も権力も財力も経験も全てを手にした中で、今この瞬間にどうするのか。
どうするのが自分にとって最も良い選択なのか。
経験やこれまで歩いてきた人生というのはそれを考える糧になっているのではないでしょうか。
自分ならどうするか
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もし、自分がジャックと同じような境遇に置かれたのならどうするでしょうか。
これが今回の映画の一番難しいところのように感じます。
この映画を見れば否応なしにそれを考えることとなります。
今の自分にとってはどちらの人生も歩んでみたいというのが正直なところ。
別に裕福になりたいとか権力を持ちたいとかそういうわけではなく、ただ単純に自分の実力を試してどこまで行けるのかを測る。
そんな意欲や関心は若いうちにしかなかなか湧き上がらないと思うのです。
ましてや、家族ができれば守るべきものができて、そちらを優先しようとするのはいうまでもありません。
ともすれば、この若いうちでの分岐点、今選べと言われた時にどう選べるのか。
考えているだけで頭が痛くなります笑。
両方を手にするという人生もあるのでしょうが、きっと何かを選べば、それは何かを捨てるということ。
その選択を差し迫られた時、果たして自分はどうなるか。
でも、きらめきの中のジャックが幸せそうだと感じたのは紛れもない事実です。
なぜこの時間を今、くれたのか
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この映画の題にもなっている『天使のくれた時間』。
おそらくこの映画の中の天使は、あの黒人でしょう。
天使のくれた時間と言いますが、これはジャックにとって良い体験になったのでしょうか。
そもそもジャックはケイトから来た電話をそのまま無視しようとしていました。
そして、この天使と出会わなければ、そんな人生の分岐点のことすらも考えずに今と同じ生活を送り続けられていたと思うのです。
結果論から言うと、ジャックはケイトに会いに行けて、少しでも過去の精算ができたのかもしれません。
でも、究極言えば知らぬが仏。
そんな事実すら知らなければ、ここまでジャックは苦しむこととならなかったのではないでしょうか。
これは、あくまでも天使がくれたと言うよりも、私にとってはただの天使の悪戯にしか思えないのです。
ジャックが「全てを持っている」と発言したこの言葉に対して、「何をそんなことを言っているんだ」と言ったような、少しさげずんだような行動。
そんなふうに思えてくるのです。
だから、天使がくれた時間は、ジャックに対してではなく、我々に対してなのではないかと思うのです。
この映画を見て、私たちは今この瞬間の行動を変えられます。
それも自由にこれまでの人生の中での分岐点を想像して。
ジャックのように確定的なもう一つの人生を見せられずに、自分の中の想像の中で分岐した人生を決められるのです。
この天使の”きらめき”とは、正直言うとプレゼントなどではなく戒め。
でも、この戒めによって、自分の人生を悔い改められるのですから、そう言う観点から見れば、本当に救いの時間となったのかもしれません。
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