ときめきリストの「小さな世界」
なんとも説明のむずかしい、それがどうした?というような「気持ちのあかるみ」について書きます。
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わたしが担任している低学年クラスには、特別支援の必要な八年生の女の子が一人います。わたしの担任デビューと共に入学してきた子で、はじめて出会った頃とくらべると、ずいぶんいろんなことができるようになりました。
明るくて天真爛漫。人の名前を覚えるのが得意。小さい子たちのクラスに入っているけれど「自分はお姉さんだ」というプライドも持っている、とてもすてきな子です。
彼女はいつもなにかにときめいます。この間は、
ときらきらした顔で言いにきました。
「日直中心」とは、「日直さん」+「中心人物」のこと。「日直さん」は全学年合同でまわってくる当番で、「中心人物」はクラスの中だけでまわってくる当番のことです。
占星術的に言えば、異なる周期でまわっている星々たちのコンジャンクション(合)が起きてるみたいなことですね!
「日直さん」は八日に一回くらいのペースで、「中心人物」は五日に一回のペースでまわってくるので、同時に担当できる「日直中心」はちょっとおめでたいことなのです。
彼女はここのところ、この「日直中心」に誰よりもすばやく気がつくようになりました。
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ところで、毎週水曜日は駅まで歩いて帰るついでに、その八年生女子を放課後等デイサービスまで送り届けることになっています。
歩いて15〜20分くらいでしょうか。お散歩大好きなわたしたちにとっては、なかなか楽しくてあっという間の時間です。
この間の水曜日は、例の「日直中心」が発生した日でした。
一緒に歩きながら、
なんて心の中で思っていると、
「あ、小さな世界!」
と彼女が言いました。
いつもこのあたりですれちがう灯油販売車から、オルゴール調の「小さな世界」が流れてくるのです。冬ごろから、よくこの車とすれ違うようになりました。
はじめて遭遇したときは、
とうれしそうでした。
なんてことも話して以来、彼女のときめきリストに加わったようです。「今日はあの車に会えるかな〜」とよく言うようになりました。
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「日直中心」はおめでたい。週に一度、こうやって歩いている時にだけ「小さな世界」に再会できるのもうれしい。
そうか、ときどき「重なる」・ときどき「会える」・またいつか「会える」っていうのが彼女のときめきポイントなんだなぁと、ふと気付きました。
そういえば、授業で昔話をしていても「お月お星」のような、はなればなれになってもお互いを強く思って再会するお話が大好きです。
もっというと、同じ学び舎で日々顔を合わせているわたしたちにでさえ、
と毎日飽きずに言ってくれます。○○ちゃんはきっと明日も明後日も元気に登校するだろうにね。それが当たり前だとは思わないんです。
先日、「人の役に立つ」のハードルが下がったと書きましたが、
彼女こそ、まさにそのようなことをやってみせてくれる人です。
難しくせず、等身大で素直に取り組むことはすばらしい。恥ずかしいどころじゃなくすばらしい。彼女のそばにいると、なんだか力が湧いてくるようです。
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