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不在を確かめる

引っ越しました。

荷物を運び出して、部屋ががらーんとすると、無性にさびしくなってきますね。

夢いっぱいで引っ越してきたときのことなどを、思い出してしまいます。

もしもわたしが夢遊病だったら、余裕で前の家に帰れちゃうだろうな〜。

同居人との会話、食事、近所のスーパーへの買い物くらいは、夢遊でできちゃいそうです。

それくらい、まだまだ身体に染みついているものがたくさんあるってことですが、大切なものだけが残ると信じて、ちょっとずつ変わっていきたいと思います。


さて、今回の引っ越しで思い出したことが一つ。

わたしが幼稚園生のときだったかな、近所の憧れのお姉さん(一歳上)が引っ越してしまったときのことです。

素朴で、大人しいけど芯のある雰囲気がすてきな子でした。

よくお家に遊びに行かせてもらっていたのですが、ご家族の転勤で福岡から奈良へ引っ越してしまったのは、とても残念でした。

引っ越しという概念にはじめて遭遇したわたし。

とにかく会えなくなる、どこか遠くへ行ってしまうことは理解しましたが、でもまた会えるんじゃないかな?だって昨日まで普通に遊んでいたもの。と思っていました。

つまり、実感がわかなかったんですね。

だから、その子が引っ越したあとも、本当にもう会えなくなったのかな、ひょっとしたらいないかな、と確かめるつもりで、その子のお家(がらーんとしている)のインターホンを鳴らしてみたりしていました。

一回でちゃんとわかったので、何度も鳴らしたりはしませんでした。

泣きじゃくるとかでもなく、不思議と冷静に受けとめている感じ。あの時の、庭の感じや日当たり具合、自分の髪型などを、やけに詳しく覚えています。

これが、わたしが覚えている中で一番古いお別れの記憶。

その後、もうすっかり忘れた頃(わたし小5・相手小6)に、前情報もなくふいに彼女が転校生として学校に現れたときはびっくりしました。

わたしの習っていたバレーボールのチームに入ってくれて、中学の部活も自動的に一緒になりました。

かといって仲良しこよしは全然やっていないんですけどね。そういうさっぱりした距離感も含めて、彼女はわたしの憧れだったのかもしれません。

これが、わたしが覚えている中で、一番古くて幸せだった再会の記憶です。

サポートしていただけたら、毛糸を買って何か編みます☆彡