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文芸誌 空地
2023年5月4日 21:11
気温が高くなった五月に逃げ場はない。僕と、高校生の制服の、白いシャツが陽射しを反射する。眼鏡で集まった太陽が黒目を焦がす。それは虫眼鏡で紙を燃やした、あの夏に似ている。子供が頬を紅潮させてアスファルトに座り込んでいる。何やら作戦を立てている。メガネをかけたアイツが、年下の弟分に、来い、と言って走り去る。七分丈のズボンの裾が揺れる。銃弾が三発、僕の右肩から胸を突き抜けた。その痛みが何か