#みんなでつくる冬アルバム
ロールキャベツとホットワイン(短編小説)
何処かの方角が少し明るい、そしてそれは仕事を終えたのだから西のはずだ、と僕が気付いたのは、雨戸を開けたままのアパートの薄暗がりの中にいたからだった。
君が帰ってくるまでにかなり時間がある、君は最近はやっと見つけた医療系の職場でカルテが電子管理になる変更があるのでその業務に当たらなくてはならないと残業が続いている。
地方ではまだカルテを手書きだったのか、と僕は少し驚いたけれど、それを言うにも、君
郊外にて(短編小説)
一週間前に首都圏に降った雪は残雪になり、やがて溶け、後に春先の予感が残ると思われた。
確かに日中は労働者用のダウンは少し暑い、山田はネッグウォーマーを朝に玄関先で少し迷った後に脱いだ自分の季節の感覚を正しいと思った。
首都圏から少し離れた、ベッドタウンとも言えない郊外の工場の警備員アルバイト、それは何時もの派遣会社の仕事ではなく、知り合いに頼まれた穴埋めの仕事だった。
穴埋めの仕事であること