見ることはできず、知ることもできない
海からの風が夜の湿気をまとって窓から滑り込む
寝返りを打って毛布をかけ直す
それでも小屋の中は耐えられない寒さになる
石炭ストーブに火をくべる
銀色の肌の女が部屋の隅で立っている
もう使われていない旧式のアンドロイドだ
めらめらと波打つ火の明かりが銀色の肌に模様をつける
「スケベだな」
声が小屋の中で空響きした
おれは本を開く
タイトルはこうだ
「りんごの膨らみは経済に影響を与えるか」
それは長いことおれの睡眠導入に役立っていた
繰り返し読む…意味のないことを…おれとは関