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見ることはできず、知ることもできない

海からの風が夜の湿気をまとって窓から滑り込む
寝返りを打って毛布をかけ直す
それでも小屋の中は耐えられない寒さになる

石炭ストーブに火をくべる
銀色の肌の女が部屋の隅で立っている
もう使われていない旧式のアンドロイドだ
めらめらと波打つ火の明かりが銀色の肌に模様をつける
「スケベだな」
声が小屋の中で空響きした

おれは本を開く
タイトルはこうだ
「りんごの膨らみは経済に影響を与えるか」
それは長いことおれの睡眠導入に役立っていた
繰り返し読む…意味のないことを…おれとは関係のないことを…

朝になればまた気の狂ったふりをして過ごさないといけない
この村の連中はおれがほんとうに狂っていると信じていた

明日は虹色の帯を握って村中を走り回ろう
気の狂ったふりも大変なんだ
それがどんなにうつくしくてもそれに気づいてはいけないんだ

してもらえるとすごく嬉しいです!映画や本を読んで漫画の肥やしにします。