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益軒十訓

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国立国会図書館デジタルコレクション 家訓    貞享四年  1687 君子訓   元祿十六年 1703 大和俗訓  寶永五年  1708 樂訓    寶永七年  1710 和俗…
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記事一覧

初学訓 巻之五

一  耳目口腹の慾を恣にして、一時快しと思えど、其の楽しみいまだ果てざる内に、早く憂い来…

初学訓 巻之四

一  名利の二は、衆人の好む所なり。 されども、打ちまかせて好めば、道に背き、却て、身の禍…

初学訓 巻之三

一  人となりては、稚き時より、其の父兄となる人は其の子弟に、書を讀ませ、道を学ばしむべ…

初学訓 巻之二

一  父母を養うに、志を養うと、體を養うとの二あり。 志を養うとは、父母の心にしたがいてさ…

初学訓 巻之一

一  凡そ、人となれる者は、父母これを生めりと雖も、其の本をたづねれば、天地の生理を受け…

文武訓 武訓下

一  兵を司る人は、大将も有司も兵法を知るべし。 兵法は武藝を云うには非ず、軍の道を知るを…

文武訓 武訓上

一  武に本末あり。 忠孝義勇は、兵法の本なり。 武徳なり。 節制謀略は兵法なり。 節制とは、人数をくばり兵を行る道、是れ所謂、軍法なり。 弓矢剣戟等の兵器の術は、兵法の末なり、武藝なり。 本末共に備わるを宜しとす。 武藝は兵法を本とし。 兵法は、仁義を本とす。 此の三つの品ある事を知りて、其の序を分ち其の軽重を知るべし。 三の者かぬる事を得ずんば、忠孝義理の武徳を励むべし。 武藝を知らざる人も、忠孝義理、勇あれば、戦功を立て武名を得る人多し。 武藝に達すとも、忠義無き臆病人

文武訓 文訓下之末

一  もろこしの聖人、古の詩を選びて教えを立て給う。 詩を学べば、自ずから善き事、悪しき事…

文武訓 文訓下

"文訓の、詩などの文章は、今の世の、学術論文や公文書等の事と考えれば、日本語にある、表現…

文武訓 文訓上之末

一  和歌は、古、賤者といえど是を詠んで、心を通わしけり。 今は、世下りぬれば、只、堂上の…

文武訓 文訓上

"江戸時代 日本人の識字率は高く、この時代の他国では、有識な人のみ文字を読み、その内の極…

養生訓 巻第八 鍼 灸治

鍼 一  鍼をさす事はいかん。 曰くく、鍼をさすは、血氣の滞をめぐらし、腹中の積をちらし、…

養生訓 巻第八 育幼

一  小児をそだつるは、三分の飢と寒とを存すべしと、古人いえり。 いう意は、小児はすこし、…

養生訓 巻第八 養老

一  人の子となりては、其の親を養う道をしらずんばあるべからず。 其の心を楽しましめ、其の心にそむかず、いからしめず、其の時の寒暑にしたがい、其の居室と其の寝所をやすくし、其の飲食を味よくして、まことを以て養うべし。 二  老人は、體氣おとろえ、胃腸よわし。 常に小児を養うごとく、心を用ゆべし。 飲食のこのみ、きらひをたづね、其の寒温の宜しきをこころみ、居室をいさぎよくし、風雨をふせぎ、冬あたたかに、夏涼しくし、風寒暑湿の邪氣をよく防ぎて、おかさしめず、つねに心を安楽ならし