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感染症テキスト

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2020年1月の記事一覧

MIC?の数値から抗菌薬の有効性の判断・投与設計へ~最適治療抗菌薬の選び方④

MIC?の数値から抗菌薬の有効性の判断・投与設計へ~最適治療抗菌薬の選び方④

本日は、最適な抗菌薬選択に関するお話の続きです。

患者さんの検体を細菌検査に提出し、特定の菌種が原因菌(症例由来菌株)が培養される。

培養された原因菌(症例由来菌株)に対して、抗菌薬感受性検査を実施する。

原因菌(症例由来菌株)の特定の薬剤に対する最小発育阻止濃度っぽいもの(いわゆるMICっぽい数値ここでは”MIC?”で表現します)が得られます。

ここまでのMICの数値の意味合いについては

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感受性検査結果から抗菌薬耐性機序を予想する~最適治療抗菌薬の選び方③

感受性検査結果から抗菌薬耐性機序を予想する~最適治療抗菌薬の選び方③

最適治療抗菌薬選択に必要な、感受性試験結果の解釈の仕方のお話を続けてまいります。

今回は、薬剤感受性の判定
 S:susceptible
 I:intermediate
 R:resistant

の結果から、薬剤耐性機序を予想する、抗菌薬選択に大変重要な内容となります。

予めお伝えしておきますが、感受性の判定”S"、”I"、”R"から薬剤耐性機序を予想するため、正確な薬剤耐性機序がわかるわけ

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感染症治療薬選択は微生物学的診断が重要~最適治療抗菌薬の選び方~その②

感染症治療薬選択は微生物学的診断が重要~最適治療抗菌薬の選び方~その②

寒い日々が続きますが、読者の皆様はいかがお過ごしでしょうか?

本日は、最適な感染症治療薬・抗菌薬の選び方の続きをお話しいたします。

適切な感染症診療の基本となるのは、「2つの感染症診断」を可能な限り正しく診断することでした。

2つの感染症診断
・臓器・解剖学的診断
・微生物学的診断

参考:2つの感染症診断≒正しい問題認識
https://note.com/idshowa/n/n7b222

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MIC?(最小発育阻止濃度)の”ような”数値の解釈~あなたはわかりますか?

MIC?(最小発育阻止濃度)の”ような”数値の解釈~あなたはわかりますか?

本日は、菌種同定検査結果に記載がある「薬剤感受性MIC?」のような数字の解釈のお話しです。

冒頭のスライドをご参照ください。

右上に菌種:大腸菌 Escherichia coli

左側に、番号、薬剤名(略号)、MIC?数値が記載されております。

それでは、モンダイ!

一番MICの小さい薬剤はどれですか?回答者「そんなのカンタンじゃん!」

簡単ですか・・・では答えは?

回答者「7 ME

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血液培養は血行性転移を見つけるために実施する

血液培養は血行性転移を見つけるために実施する

本日は「血液培養」のお話です。

読者の皆様もしくは周囲の方々が細菌感染症になられたことがあるでしょうか?

たとえば、細菌性肺炎。

肺に特定の細菌が感染して発症するのですね。

そして、一番頻度の高い細菌性肺炎の原因微生物が「肺炎球菌:Streptococcus pneumoniae(正式な菌種の名前:学名)」です。

2つの診断を確認しましょう。
・臓器・解剖学的診断:肺炎
・微生物学的診断

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抗菌薬感受性結果を臨床判断に活かす方法~最適治療抗菌薬の選び方①

抗菌薬感受性結果を臨床判断に活かす方法~最適治療抗菌薬の選び方①

本日は、細菌検査結果が判明した後の「最適治療抗菌薬」選択のための導入のお話です。

抗菌薬は「2度決定」するのでしたね。
参考:正しい診断なくして適切な治療なし

https://note.com/idshowa/n/nba77ccf8479b

1度目抗菌薬決定:初期治療抗菌薬
2度目抗菌薬決定:最適治療抗菌薬
(初期治療抗菌薬と最適治療抗菌薬が同一の場合もあり得る)

初期治療抗菌薬は、2つの

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薬剤耐性菌~自然耐性と獲得耐性

薬剤耐性菌~自然耐性と獲得耐性

ある細菌が、特定の抗菌薬が効かない≒「薬剤耐性」と考える場合には、その薬剤耐性機序が「自然耐性」であるのか?それとも「獲得耐性」であるのか?の判断が大変重要です。

薬剤耐性菌について検討・議論する場合には、この2つの薬剤耐性機序のどちらについてなのか?を明確にしましょう。

薬剤耐性機序~2つの薬剤耐性機序

薬剤耐性機序~2つの薬剤耐性機序

薬剤体制(AMR)問題が、公立昭和病院 感染症科・感染管理部ノートの重要テーマの1つです。

薬剤耐性AMR、特に「細菌の薬剤耐性」≒「耐性菌」を考える上で重要なのが、薬剤耐性機序の考え方です。

「自然耐性」と「獲得耐性」~違いが説明できますか?