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ウォーレン・バフェットの“能力の輪”が成功には不十分な理由

こんにちは、イデトモタカ(@idetomotaka)です。

「能力の輪」という言葉を聞いたことがありますか。世界一の投資家、そしてオマハの賢人として尊敬を集めるウォーレン・バフェットが提唱する概念です。最近ではベストセラーとなったロルフ・ドベリの本でも紹介され、知られるようになりました。

「能力の輪」とは「自分のポケットの中身くらい熟知している対象」です。ビジネスに置き換えるなら、豊富な知識と経験があり、そこで起こることは容易に予測、対応できる領域を指します。一言でいえば、専門分野ですね。

そこ(能力の輪)に集中(固執)することが、ビジネスにおける成功の重要な要因である、というのがウォーレン・バフェット、そしてロルフ・ドベリの主張です。ぼくもこの考えには概ね賛成で、実際にそのように活動しています。

ただ、それだけ(能力の輪に集中する)では「足りない」、ということも同時に実感しています。今回は「能力の輪に集中しているけど、思ったようにうまくいかない……」という方に、原因と解決方法をお伝えします。

■10秒で読みたい人向けまとめ

・「能力の輪」に集中するだけでは成功に「足りない」
・ビジネスのメインテーマは付加価値の創造
・ビジネスのサブテーマは生産性の向上
・「能力の輪」とは、「高生産性空間」のこと
・ビジネスとは前提として「得意なことで競う」もの
・ゼロサムゲームの世界では「能力の輪」が十分機能する
・ゼロサム以外の市場では、「能力の輪」だけでは不十分
・「能力の輪」に足りないものは「オリジナリティ」
・高付加価値 = 高生産性空間 × 高オリジナリティ
・高付加価値 = 能力の輪 × ナンバーワン
・「能力の輪」に集中しながら「オリジナリティ」を高める

■ “能力の輪”の集中は、大失敗はないが大成功もない

失敗したときは、大体「能力の輪」を出たとき。うまくいったときは、「能力の輪」の中でビジネスをしたとき……どちらの実感もあるので、ぼくは「能力の輪」信奉者です。

事実、「能力の輪」を意識し、実践し始めてから、大きな失敗をすることはなくなりました。ビジネス活動は順調です。でもそれで「大成功」するかというと、ぼくは「しない」んじゃないかと思っています。

「大成功」は必然性として他者(他社)と「違う」ことをしなければいけません。「能力の輪」という概念のなかには、この発想(条件)が含まれていません。ゆえに、そこそこうまくいくようにはなるのですが、それだけでは驚くほどの成功にはつながらないのです。

「でも、ウォーレン・バフェットは間違いなく『大成功』してるよね??」

この疑問については、後ほど解決します。その前に、「そもそも『能力の輪』とは何か?」について認識を揃えておきましょう。

■ “能力の輪”とは、高生産性空間のこと

国力はざっくりと「GDP(国内総生産)」によって算出されます。GDPは言い換えると「(年間の)付加価値の総量」です。会社やビジネスの力も理屈は同じです。つまり、どれだけ「付加価値」を生み出したのかが問われます。

付加価値とは何か、という話をしだすと長くなるので割愛しますが、付加価値の創造がビジネスのメインテーマであり、そのための「生産性向上」がサブテーマとして存在します。

ビジネスはどこまでいっても「時間」の制約のなかで行われますから、生産性向上も「時間内での付加価値創造」を指します。同じ1時間という時間のなかで、3の付加価値を生み出すのか、10の付加価値を生み出すのかが差になります。

そして「能力の輪」とは、「高生産性空間」のことです。

自分が高い生産性を発揮できる空間(場所・状況)に身を置き、そこでアウトプットするのですから、うまくいくのは当然です。では「それだけで」万事オーケーなのかというと、世間を見渡す限り、答えはノーです。

■みんな得意なことをしてはずなのに?

東芝やシャープを筆頭に、日本を代表する家電メーカーの衰退や凋落は、あなたも知るところでしょう。彼らは「能力の輪」から「出たから」危機に陥ったのでしょうか。おそらく、そうではありません。自分たちが最も得意で専門とする業界で、打ち負かされたのです。

確かに、自分(自社)を過信したり、欲のために判断がぶれ、「能力の輪」から外れたことで失敗するケースはたくさん存在します。しかし、それが失敗ケースのすべてではありません。

「能力の輪」のなかで活動していたにも関わらず、うまくいかないケースも山ほどあります。今さら言うまでもないことですが、フリーランスはもちろんのこと、企業においてもビジネスとは前提として「得意なことで競う」ものだからです。

■ “能力の輪”に集中すれば成功できるケース

「『能力の輪』は重要だけれど、それだけでは足りない」という話をしました。しかし一方で、提唱者であるウォーレン・バフェットが大成功しているのも事実です。

なぜ「能力の輪」に固執して、失敗するケースと、大成功するケースがあるのか。第一に考えられるのは、バフェットがビジネス活動を行うフィールドが、ぼくらとは違う「ゼロサムゲーム」の世界だということです。

誰かが得れば誰かが失う、綱引きのようなゲームでは、自分の領域を深め、そこから動かない「能力の輪」戦略は強力です。必ず誰かしらは「能力の輪」の外に出ていき、(判断)ミスをするからです。ゼロサムゲームでは、他の誰かのミスが利益になります。

しかし、ぼくらがフィールドとするビジネス空間は、ゼロサムの世界ではありません。だから「能力の輪」だけでは「足りない」のです。

では、具体的になにが足りないのか?

■答えはずばり、“オリジナリティ(No.1)”

小見出しに答えを書きましたが、成功要因として「能力の輪」に足りないもの。それは「オリジナリティ」です。

先にウォーレン・バフェットは株というゼロサムゲームの世界にいるから、「能力の輪」だけで大成功できている……と書きましたが、実はもう一つ、「能力の輪」に集中するだけで大きな成功を収められる場合があります。

それは、自分(自社)がNo.1の市場の場合です。No.1というのは、そのことそのものが「オリジナリティ」になるからです。

ビジネス活動のメインテーマは付加価値の創造だと述べました。大成功するためには「高付加価値」を生み出さなければいけません。そのために必要なものの一つが「高生産性空間」であり、これが「能力の輪」です。

ですがそれだけでは足りず、もう一つ必要な要素。それが「高オリジナリティ」です。乱暴に言えば「No.1」のものです。

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■結論

「能力の輪」に集中しながら、「オリジナリティ」を高める。この2つが組み合わさって、大成功がある。

■まとめ

・「能力の輪」に集中するだけでは成功に「足りない」
・ビジネスのメインテーマは付加価値の創造
・ビジネスのサブテーマは生産性の向上
・「能力の輪」とは、「高生産性空間」のこと
・ビジネスとは前提として「得意なことで競う」もの
・ゼロサムゲームの世界では「能力の輪」が十分機能する
・ゼロサム以外の市場では、「能力の輪」だけでは不十分
・「能力の輪」に足りないものは「オリジナリティ」
・高付加価値 = 高生産性空間 × 高オリジナリティ
・高付加価値 = 能力の輪 × ナンバーワン
・「能力の輪」に集中しながら「オリジナリティ」を高める

最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。また書きます。
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