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メドゥーサの話


メドゥーサに石にされた時に、体の中までよく石になっているのか?内臓が生のままだと、魔法が解けても多臓器不全で死ぬかもしれない。石にされる前に「レア?ミディアム?ウェルダン?」と注文をとるウェイトレスのように聞かれても、肉の焼き加減の好みで答えてはいけない。ウェルダン一択。日頃から、ステーキレストラン🥩で注文を聞かれるより前に「Well-done please.」とネイティブの発音で即答する癖を身につけ、メドゥーサに備えよう。


カールはやたらと歯にひっつく。カールを食べているとすかさずメドゥーサがやって来て、歯についたカールだけをぜんぶ歯石にして去っていく。


メドゥーサは死んだ。魔法が解け石にされていた人びとは、足の裏から始まり、頭の先まで徐々に自由を取り戻していった。ゆっくりと魔法が解けていく過程で、直立していた者の多くが体の重みに耐えられず足を挫いて転倒した。足首の捻挫で済んだ者はまだ軽症で、忍耐強く膝が復元するまで持ちこたえたが、真っ直ぐ膝から崩れ落ちて両膝の皿を粉砕した者、腰の靭帯と筋肉を断裂するぎっくり腰を患った者は特に重症であった。しかし魔法が解ける際の副次的効果として、尿路結石や胆石の消滅が確認され、メドゥーサに感謝する者さえいた。


宇宙船の乗組員の長期間の星間航行を可能にするコールドスリープ類似の技術が「メドゥーサ」「ゴーゴン」。


恐竜は大昔メドゥーサに石にされた大トカゲである。勇者がメドゥーサを退治することで恐竜にかけられていた魔法が解け、博物館の化石が一斉に生き返ることで始まる映画「ジュラシック・パーク」。

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