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「なりたい自分」が描けていれば、ゆっくりでも大丈夫 豊永彩子さんーー甘いもの依存卒業推進プロジェクト#003

甘いもの依存卒業推進プロジェクト、第3回は「とれるココロ・とれるカラダ」のお話です。
第1回からの記事はこちら。

今回も管理栄養士 豊永彩子さんにゲストにお越しいただいています。


「食べていること」と「とれていること」は違う

――著書『整う食事』のなかで出てくる「とれるカラダ」というのは、どういうカラダのことですか?

豊永彩子:
「食べていること」と「とれていること」は全然違うんだよということを、まずは皆さんにお伝えしています。
私自身も過去に、ダイエットをがんばっているのに結果が出ないとか、変なものは食べてないのにすごく体調が悪いということがありました。
「ちゃんと食事してるのに、どうしていい状態になれないんだろう?」と感じていたんです。
だからこそ、「とれるカラダ」というキーワードが出てきたんですよね。
私のカウンセリングやレッスンのなかで、「こういうときはこういう食事をとりましょう」とお伝えしても、改善される方とそうじゃない方がいます。
同じものを食べても結果が違うということは、それはやっぱり「『食べる』と『とれる』って違うんだ」ってことですよね。つまり、食べたものを体のなかで消化・吸収・代謝して、体で使えているということが「とれるカラダ」なんです。
『整う食事』の中では「とれるカラダ」編と一緒に、「とれるココロ」編も書いているので、合わせて読んでもらいたいですね。

――私はこの話を聞いて、ハッとしたのを覚えています。何をどう食べるのかには神経を使うけれど、食べたものが食べた後にどうなるかということについて考えたこともなかったからです。

ココロもちゃんと栄養補給できてる?

――この流れで「とれるココロ」の話もお願いします。

豊永彩子:
しほさんも甘いもの依存だった時、甘いものをパクパクパクパク、自分の中のクッキーモンスターが出てきて食べちゃうっていう経験をしていたと思います。
それって、「ココロが満たされていない状態」だったと思うんですけど、他にも「~を食べた方がいい」「~を食べねばならない」といった「~ねばならない」っていう、どこかの誰かが決めたような食事法に従って食事をしていると、ココロが満たされなかったり、貧しくなっていくんですよね。
食行動学理論とか人間の欲求をどうやって満たしていくかという分野からの観点からは、そういう「ココロが満たされていない状態」って、ストレスを受けると甘いもの依存や暴飲暴食をする方向にふりきってしまう状態だとされています。だから、「とれるカラダ」も大切なんだけど、ココロにもちゃんと栄養補給できてる?っていうところも合わせて伝えていく必要があるなって思うんです。

何年たっても自分で自分を整えられるように

――私はそこがすごく素敵だなぁと思っています。きっと、豊永彩子さんの話が聞きたいって思う方々は、そういう「とれるココロ」の部分が自分の救いになると思ってらっしゃるんじゃないかなと思います。管理栄養士の方から「とれるココロ」の話が聞けるのってあんまりないですよね。

豊永彩子:
私自身がすごくしんどい経験をして、「もうどうしたらいいかわからない!助けて!」「これだけがんばってるのに、どうして何も変われないの?」っていう状態を経験したことがそうさせてるんだと思います。
私が食事や栄養のことだけを伝えて、その方が一時的に変われたとしても、1年後もその方が本当にハッピーになっているのかどうかはわからない。私は、レッスンを受けた方が自分の食事を自分で整えられるようになったり、本当にハッピーになれるようにっていう思いがすごく強いんです。「あの時、彩子さんのレッスンを受けたけど、結局1年後またダメだった」ってなったら、もっと自信をなくしちゃうわけじゃないですか。

――そうです。もう、ほんとに。

豊永彩子:
それって、なんにもおもしろくない。だから、たった1回のレッスンとか、短期間だけだったり、整う食事の本に触れたとか、私のレッスンを少しでも受けてくれた人が、この先5年後も10年後も自分でいい状態に整えられるっていう状況をちゃんと作れるっていうことがおもしろいし、楽しいし、やりがいっていうのがある。
だから、「とれるココロ」を抜きにしたら何を伝えたらいいんだい?っていう(笑)
やっぱり私はどんどん輝いていく女性を見るのが本当に好きなんです。
だから、レッスンに参加してくださっている生徒さんに会ったときに、食事のことは後回しで、最初にココロの話をして「まずはココロから整えようよ」って話をするときもありますね。

自分の「本当の気持ち」を確かめて

――「あさイチ」VTRの取材のときに、「豊永彩子さんのお話のなかで、印象的だったことや、ご自身が変わったきっかけは何ですか」ってディレクターさんに質問されて。で、私の回答には栄養や食事の話はほとんど出てこなかったんです。
それよりも、甘いもの依存卒業のプロセスで私にとって重要だったのは、自分自身の気持ちとか、考えてることとか、やりたいこととかに向き合うことだったんです。そのきっかけを豊永彩子さんからもらったから。
だから私が変われた一番のポイントは栄養の話じゃなくて、ココロの話なんですっていうことを話しました。

豊永彩子:
わぁ。うれしい。

――でも、ディレクターさんは「管理栄養士 豊永彩子」の話を私から聞きたいって思ってて、やっぱり栄養の話をって思ってるのがすごくわかるわけです。

豊永彩子:
(笑)

――私はディレクターさんをすごく信頼しているし、期待に応えたいと思って必死に考えるんだけど、どうにもこうにも出てこなくて(笑)
栄養の話を聞きたいというのは大前提にあるけれど、やっぱり豊永彩子さんのお話の魅力は、自分自身のココロの満足度をしっかり考えられるように導いてくれるところじゃないかなぁと思います。

豊永彩子:
やせたいのにやせられない時って、情報にすがる状況になっちゃうと思うんですよね。
「甘いもの依存」っていう表現もされているように、何かに依存するっていうのに慣れてしまうと、自分の本当の気持ちとか、本当はどうしたいのか、っていうのを忘れちゃったりする。それをちゃんと確かめることができなくなってくる。
ま、私も過去はそうだったわけだし。そうなっちゃってる人もたくさん見てきた。
でも、私はそもそも女性って強いって思っていて。だって、男の人にはできないけれど、子どもを産み落とすっていう機能を持ってるわけじゃない?それに、ここ最近は「働く女性」が当たり前になって、何足もわらじをはいている人がいる。そういう状況に順応するだけの能力がある。
自分でいろんなことをやりながら、食事を整えたり、甘いもの依存をしちゃってるけどどうにかもっと良くなりたいって思ってる。
なぜそうやってがんばるのかっていうと、「笑顔で過ごしたい」とか、「もっと自分に自信が欲しい」とか、「なりたい自分になりたい」っていうところがあるわけじゃないですか。

――そうそう。

豊永彩子:
食事をどうやって摂るとか、どうやってセルフケアをしていくかっていうのは方法論の話だから。まず自分の本当にしたいことを追及できるようなコンディションにすること。ちゃんとココロの状態を整えること。
そして、自分のベース部分である「なぜ整えるの?」「なぜ私はがんばっていきたいのか?」っていうマインドセットをするところが重要なんです。「まず『とれるココロ』を育みましょうね」というところをね。
みんなそこを忘れて、ナンチャラダイエット法とか、方法論にばっかり飛びついちゃうわけじゃないですか。
ピラミッドで言ったら、上の部分ばっかり情報を集めたりがんばったりするけれど、下の部分の土台がなかったら全然積上がっていかないじゃない?

――豊永彩子さんがインスタLIVEか何かでおっしゃってたんですけれど、「彩子メソッドは即効性はないかもしれないけれど、一生その人のものになるんだ」ってお話をされていて、私はそれがすごくうれしいなぁって思ったんです。
ダイエット系の情報って即効性があるものしか着目されないし、私もそういうのしか目に入ってなかったから。
ピラミッドの土台の部分、「私のココロ・私の気持ち」をすっかり放りっぱなしのままやっていたっていうのが、自分で自分を苦しめてたなぁって感じがするんですよね。

豊永彩子:
ふふふ(笑)

「なりたい自分」が描けていれば、どんなに時間がかかっても大丈夫。

――だって、私がやるダイエットなのに、そもそも「やせてどうするのか」とかね。それがなかった。「とにかくあと5キロ落としたい!」しか考えてなかった。「で、5kg落として何するの?」って言われて、「えっ?」って(笑)
その質問は私、衝撃でした。

豊永彩子:
そう。やせた後の、「どんな自分の状態を得たいのか?」っていうのは、みんなけっこう忘れがち。それがないから、インスタントな短期な結果が出るっていうのに飛びついちゃう。
「どんな自分になりたい」っていうのがちゃんと描けていれば、時間がかかっても別に大丈夫なんだよね。

――私が過去にダイエットで成功したとき、「やせてどんな自分になりたいのか」っていうところがすっぽり抜けてたから、ダイエットに成功してやせた瞬間、元に戻ったんですよね。

豊永彩子:
そういう人、たくさんいた。「ダイエットに成功してはリバウンドをしてっていう経験をずっとしてきました」っていう生徒さんに何人も会ってる(笑)だから、そういう人たちに何をしてあげたらいいんだろうって思っていたんです。

即効性よりも「自分で自分を満たせる力」を大切に

豊永彩子:
私、出版するために企画書を書いたり、いろんな人にプレゼンしたりってことをしてた時期があって。その時に、「短期間で結果が出ますみたいなことを言えないメソッドなんて誰が求めてるの?」みたいなことを言われたことがあって。

――ほぉぉぉ。

豊永彩子:
「僕は糖質制限とかを、伝えてきた」みたいな、逆にご自身の実績をプレゼンされて「世の中に出ても即効性がなかったり、キャッチーさのない情報は広まらないよ」みたいなことを言われたんですよね。しかも、その日誕生日だったの、私の。

――とんだ誕生日プレゼント!!

豊永彩子:
もう、一生忘れない!って思ったんだけど(笑)でも、絶対このメソッドを必要としてくれてる人がいるし、私はこれが何がなんでも伝え続けてやるって逆にスイッチになったんだけれども。
でもやっぱりエビデンス(根拠)とか、実際にどうやって食生活を整えるの?っていう実践部分がスポッと抜けちゃってたら意味がないから、「とれるココロ」と食事のことをちゃんとセットでお伝えして、「自分で自分を満たして整えることを叶えられる女性」を増やしていくっていうのを、その時に決めて。結局その1年後に出版したんですよね。

――おおー!

豊永彩子:
やっぱり女性の繊細なところとか、体のしくみとか、そういう部分はまだまだ世の中に伝えられる余白があるんだなって、その時にすごい思いました。

――『整う食事』の趣旨に「即効性があるよ!」っていうのがないっていうところで、私は本への信頼感が高まってる気がします。「本当に私たちのことを考えている人が書いてくれている」って思うんですよね。
やっぱり、軸の部分っていうのは自分自身のとれるココロがあってのカラダだなぁっていうふうに改めて思いました。

カラダとココロはつながっている

豊永彩子:
ちゃんと自分でマインドセットができたりとか、ちゃんと自分のカラダを満たして整えられるようにしていこうってなったら、もう自然に、カラダもそのマインドについてくるし。
カラダとココロはつながってるっていうのは、また別の分野でも根拠が示されていることでこれは間違いないって確信があるから。全部つながってる。
カラダのメカニズムとかもね、血液が生まれ変わるのだって2ヶ月かかるわけだし。そういうことから考えてみても、「ゆっくりでも大丈夫」ってたくさんの人に伝えて、彩子メソッドを広めていきたいと思ってずっとやっています。

――「ゆっくりでも大丈夫」
心に響くメッセージをありがとうございました!