見出し画像

株価指標、PER、PBR、ROEとは?

 みなさん初めまして、identity academy2期メンバーのA.Sです。identity academy2期では活動内容を週2回程度、noteを使って発信していきます。
 第5回は、株式投資で株を選ぶときに参考にする株価指標についてです。取り上げるのは、PER、PBR、ROEの3つです。字面は難しそうですが、その実かんたんな割り算の式を表しているので、気軽に見ていきましょう。

1.株主の利益(売買差益)と株価指標

 株主が得る3つの利益には配当金・売買差益・株主優待があって、そのうちの売買差益は株価指標と深く関係しています。どのように関係しているのでしょうか?
 まず、そもそも売買差益とは、株式を買ったときの値段と売った時の値段の差額で得られる利益のことです。株価は日々変動するので、例えば20万円で買った株を30万円で売ることができれば、10万円の売買差額を得られます。
 この売買差益を得られる株は、大きく2種類あり、成長株と割安株と呼ばれます。成長株は、今後大きく成長していくだろうと思われる株のことです。より多くの人が企業の成長を期待すると株価は上がり、売買差益が出やすくなります。一方割安株は、企業の本来の価値より市場の評価が低く、株価が割安な株のことです。市場の評価が本来の価値に追いついてくると株価が上がり、売買差益が得られます。
 そして、成長株と割安株を見るときに参考になるのが、株価指標なのです。ROEは成長株を、PER・PBRは割安株を見るときに主に役立ちます。では、各指標を詳しく見ていきましょう。

2.成長株を見る指標:ROE

 まず、ROE(自己資本利益率)の定義です。財務諸表(企業が業績を報告する書類)から求めることができます。

画像1

 ROEでは、企業の経営のうまさを知ることができます。分母の自己資本は、株主による投資額(株主資本)のことで、分子には利益がきています。つまり、株主が投下した資本が、企業活動を通してどれくらいの利益を生み出しているかを見ているのです。ROEが高いほど、同じ自己資本でも多くの利益を効率的に生み出していることになります。ROEは株価に作用されないので、純粋に企業が努力によって改善できる指標でもあります。
 注意点としては、成長株を見るときにはROEのほかにも売上高の変化やほかの指標が役立つこともあるので、ROEは成長株を判断する一つの基準にすぎないということです。また、業界によってROEの高さに違いが出る点も留意しましょう。例えば金融セクターは危機対応のために常に自己資本を厚く積むように金融庁から求められており、その結果ROEは低くなりがちです。

3.割安株を見る指標:PER・PBR

 まずPER(株価収益率)についてです。株価と財務諸表から求めることができます。

画像2

 分母に株主から見た一株当たりの利益が、分子に株価がきていますね。これは、現在の株価が一株当たりの利益の何倍か、つまり、現在の株価で株式を買ったとき、何年分の利益で回収できるかを見ることができます。例えば、PERが10倍の企業Aの株に1000円投資したら、10年たてば投資金額を回収できることになります。
 注意点は、PERが高いからといって確実に株価が将来上がるとは限らないことです。なぜなら、分子の株価は市場がその企業の将来に対して持つ期待を反映しているだけだからです。 

 次に、PBR(株価純資産倍率)についてです。PER同様、株価と財務諸表から求められます。

画像3

 分母に純資産、分子に時価総額が来ているということは、PBRは企業の簿価と時価の比率を表しているということです。純資産は自己資本(株主資本)とほぼ同じなので、PBRが高いと、実際の株主資本に対して、会社がより高い評価を市場で受けていることを表します。これは、株価が割高であることのほかに、その企業が簿価に反映されない無形資産をたくさん持つ可能性も示唆します。優秀な頭脳が生み出す知的財産を多く持つ優良企業は、PBRが高くなる傾向があります。
 注意点はPERと同様、PBRが高いことは市場の現在の期待を表しているだけで、将来の確実な株価上昇を表すわけではないことです。

4.指標同士の関係

3つの指標には、実は下のような等式が成り立ちます。

画像4

 これは、あるPBRについて、その値にROE(資本が利益を生み出す効率性(収益性))とPER(利益に対する市場の評価)のどちらの要素がより色濃く出ているのか見ることができます。
 例えば、以下のようにPBRが1.5の会社が2つあったとします。
(A社)PBR(1.5) = ROE(15%) × PER(10倍)
(B社)PBR(1.5) = ROE(1%) × PER(150倍)
 どちらも、帳簿上の純資産の1.5倍の時価評価を株式市場から受けていますが、その内容には違いがあることがわかります。A社は、収益性が高いが将来の成長性をあまり評価されていない会社、B社は、収益性が低いが将来の成長性を高く評価されている会社と見ることができるのです。

5.まとめ

 今回は、株式投資の基本となる3つの株価指標を見てきました。ROEは成長株を、PER・PBRは割安株を見るときに主に役立つのでしたね。それぞれが表している意味を理解して、投資する株の選定に活かせるようにしましょう。


identity academy website:こちら

Instagram:こちら

Facebook:こちら


この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?