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直感という名の決断力

 こんにちは!identity academy 2期生のY.Nです。私がこのセリフを言うと他の2期生に「でしょうね!笑」と突っ込まれそうなのですが、identity academyに入ってから本当にあっという間で、なんと最後のトークセッションが終わってしまいました。(トップ画像出典:https://keiei.freee.co.jp/articles/i0101985)

 今回のスピーカーの山本理恵さんは2期のプログラムにおいて初めての女性スピーカーであり、実は私が最も楽しみにしていた回でした。また、帰国子女である自分とほぼ同じ場所でずっと海外生活を送られてきたと言うことを自己紹介で聞き、さらにテンションが上がって話を聞いておりました。

 山本さんのお話を聞き、直感、新しいアイディア、そして事業創業について考えさせられましたので、これらの3つのトピックについて私が思ったことを話していきたいと思います。

 その前に、山本理恵さんについて僭越ながらご紹介させていただきます。山本さんは幼少期から大学卒業、そして社会人生活の初めをずっとアメリカで過ごされました。マッキンゼーのサンフランシスコオフィスに入社された後、日本に引っ越され、IPプロデュースカンパニーや人工流れ星の作成に取り組むベンチャー企業に携わったのちにEventHubというイベントプラットフォームを提供する企業を創業されました。

 EventHubは企業がビジネスイベントを開催する際に、チケット販売やセッション登録などの開催前に必要な事柄から、来場者情報や来場者の行動履歴をデータ化し、それを共有するといった開催後のデータ活用までの全ての段階において運営をサポートするサービスです。また、イベント開催中における企業同士のマッチング機能は国内一の事例数を誇っていらっしゃいます。ポストコロナ時代に向けて、オンラインとオフラインを融合させるEventHubは今後ますます存在感を増していくことでしょう。

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EventHubのプラットフォーム
https://note.com/rieyam45/n/n9b95a1b3f9f0?fbclid=IwAR2a5XT09tePsRT__BA8Zg1MvTx6Bw6oOoKmwShg2Kh3h6jSCvmDtFWtEGgより)

「直感」

 コロナがここまで長引くとは横浜のクルーズ船のニュースが放送されているときは誰も思っていませんでした。しかしEventHubはコロナがすぐ収束すると考えられていた2020年2月にそれまで行っていたリアルイベント管理から完全にオンライン転換を図ります。加えて、その後、1500名規模の大規模カンファレンスの開催を決断から実行まで1ヶ月半という驚きの速さで実現されています。

 これに対して「コロナがここまで長引くと分かる前にオンライン転換に踏み切れた理由は?」「コロナ前でもリアルのイベントをオンラインにすることは可能だったはず。だけれども行われていなかったオンラインイベントに可能性を見いだせたのはなぜ?」「失敗することは考えなかったのか?」と様々な質問が飛び交いました。そんな中印象的だったのは、これらの質問全てに対して山本さんが「オンラインイベントは必ず来る!」という自分の直感を信じた、と答えていたことです。

 「直感」という言葉を聞くと、私たちは「感覚」「センス」「インスピ」といった、根拠に基づかない推測が当たった時に後からそれを「直感」という言葉で片付けているのではないかとイメージを持ちがちです。ですが、山本さんの話を聞いているうちに、アメリカでは既に似た様な事業が成功していていずれは日本にもニーズが来るだろうという仮説があったことを知ります。きっとこの仮説は山本さんの中では無意識に常に存在していて、コロナの流行がきっかけとなってオンラインに移行することを決断されたのではないかと感じました。

 私たちは大きな決断をする際にリスクを考え、複数のシナリオを想定します。EventHubのオンライン移行に関しても同じステップを取られたのではないかと推測しますが、その様なステップを無意識かつ凄まじいスピードで行ったため、そのステップを踏んだ実感がなく、「直感に頼った」という表現になったのではないかと私は解釈しました。

 直感=早い決断力という様に解釈したと述べましたが、素早い決断が常に良い決断とは限りません。山本さんも不可逆性の意思決定においては慎重になるとおっしゃっていました。例えば、創業者選び、投資家選び、結婚相手選びに失敗すると取り返しがつかなかったり、軌道修正するのに時間がかかってしまいます(結婚に関して言えば、民法改正によって短縮されたものの、女性には100日の再婚禁止期間がありますね…笑)。

 どの決断に対してスピード感を持って動くか、どれに関しては熟慮するかを選別されている時点で、直感と一言でおっしゃっていた中にも通常の意思決定プロセスが組み込まれていたのではないかと感じました。

模倣と不便性

 オンライン上のイベントプラットフォーム作りは日本ではまだ存在していませんでしたが、アメリカでは既に似た様な事業が行われており、それが日本でもいずれニーズが出てくるだろうという仮説に繋がったと山本さんはおっしゃっていました。また、アメリカから日本に来た際に「なんで日本にはこれがないんだろう!」と驚いた点が多かったともおっしゃっていました。

 EventHubは日本では新しいものでしたが、世の中全体で考えると既に存在しておりました。これについて私が考えたのは、新しいものを生み出そうとする際に、ゼロの状態から生み出すことは不可能であり、むしろ既存のものに対して自分なりの工夫を加えることに意味があるのではないかということです。

 例えば、グッドデザイン賞を受賞するものは全て画期的に思えますが、冷静に考えてみると、既存のものに対して発明者が「ここもう少しこうだったらいいのにな」と思った点を改良しているに過ぎません。ですがこの視点を持つことが最も大変であり、その人の個性が出る点です。

 また、著作権は発明者の権利を保護する点に重点が置かれがちですが、発明者の権利保護を第一とするのであれば、著作権は切れないはずです。ある一定期間は権利が保護されるものの、その期間が経過したらみんなの共有財産として、新しい発明のために模倣は当然とされています。

 日本ではオンラインイベントのニーズがないのか、と考えて疑問を流さなかった点が山本さんの成功要因なのだと思いました。さらに広く言えば、他の人が便利だと思う事柄についてどこに不便性を見出せるかがポイントになると思いました。

差別化

 さらっとお話しされていたのですが、事業創業について面白いと感じた点がありました。それは「事業を始めるなら絶対に自分とファンクションが似ている人とは組まない方がいい!」という一言でした。

 得意分野や扱っている領域が被ってしまうと意見の不一致が生じ、投資家サイドから似た様な人が二人いる必要性を感じないと言われてしまうとのことでした。チア部に所属している帰国子女な私ですが、就活のグループ面接でチアをやっている子や帰国子女がいると、その人を意識してしまいますし、やりにくいなぁと感じます。

 両方において言えるのは、他者との差別化が図りづらい状態が生じてしまっているということです。エキスパートは一人いれば十分ですし、同じ様な人では同じ様な思考で止まってしまいます。従って、似た様な集団の中から自分を選んでもらうために、自分が絶対に負けない分野や自分だけの特徴が明確かつそれが少し変わっていることが、相手に「それってどういうこと?もっと教えて欲しい!」と思わせ、自分に興味を持ってもらえることに繋がると感じました。

 私は友達と似た考えをするから仲良い場合がほとんどであり、それだと新しいアイディアに繋がらないという点と、相手との差別化を図る上で競争が生じてしまう点から友達とビジネスをするのは絶対にやめようと思いました。それに、友達とビジネスをしたところでそれはビジネスというよりは二人の共同の趣味になってしまうのではないかと懸念します。

 自分を他者と差別化する点を見つけ、かつそれが珍しいことで自分が好きなことだと大きな強みになると思いました。山本さんの場合ですと、物凄く「フッ軽」な点だと思います。

 話を聞いていて山本さんの人脈の広さに驚いたのですが、これも様々なリアルイベントに参加されていることがきっかけだそうです。Evernoteの創業者、Phil Libinさんともご友人を介して知り合うことができたそうで、これはリアルイベントにたくさん参加されている山本さんだからこそ築けた人脈だと思います。

最後に

 直感、模倣と不便性、他者との差別化について述べてきましたが、やはり一番考えさせられたのは直感についてです。ただの突拍子もない判断にならない様に、日頃から複数のシナリオを考え、そのための引き出しを増やし、チャンスが到来した際にそれを掴む準備をしておき、「あの時の判断は直感だったんだよねぇ」と言って周りに驚かれる経験を味わってみたいなぁと思いました。

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