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【告白】このヤン・イクチュンがすごい2024【感想】

告白 コンフェッション
監督:山下敦弘
公開:2024年5月31日

※映画の内容に触れた感想です。未見の方はご注意ください。

ヤン・イクチュンはどんな作品で見かけても、いいな~と思わされてしまう魅力がある。

このヤン・イクチュンがすごい2024大賞映画

まあそんな賞は無いんですけど。
自分の中で謎の賞を捏造するくらいとにかくヤン・イクチュンを堪能できました。
山小屋に入ってから気まずい空気の中黙りこくってるヤン・イクチュンことジヨンの不穏さと得体の知れなさが何もしていないのにもう怖い。
ジヨンが普段どんな感じのヤツなのかが映画を観てるだけでは分からないから、いつもこういう感じの人なのか、そうじゃないのか、どっちなんだ?って状態の緊張感がもうヤダみがありすぎてすごい。
自体が悪化していって怒りながらどんどん狂っていく様が説得力があるというか、殺らないとこっちが殺られる気持ちにさせてくる化け物演技がすごい。
からの、浅井が悪夢から覚めた後の現実のジヨンの穏やかさときたら!あの人の形をした化け物を食らったあとだからめちゃくちゃホッとしてしまう。だから浅井も余計な事言っちゃうわけですが。当たり前だけど殊更大仰に穏やかな人物演ってますよ感があるわけでもないのに悪夢の続きじゃなくて現実なんだということが分かるの、演技の振り幅の広さ~!(陳腐)なんでもできるのかよ~!最高~!と思いました。

片方を外国人にした理由

殺人を告白した人間を母語が日本語じゃない人にしたのは告白を聞いた側の人間の恐怖のギアを上げるのと、悪夢の間は現実と見分けがつきにくくするために、夢から覚めたあとは悪夢と現実の区別を分かりやすくするためではと思った。

冒頭~山小屋入るまで
ここは何でこの2人がこんな事になってるのかの説明をしてる時間帯でジヨンの喋る韓国語に字幕が付いて、ジヨンは日本語の他に韓国語を話すけど浅井は韓国語が分かってないっていう説明になってる。ここで字幕が付くことで山小屋入ってからのことが現実じゃないってことに中々気付けない罠みたいになってるな?と思う。

山小屋入ってから~終盤浅井が目を醒ますまで
山小屋入って、かなり序盤から浅井の悪夢の中になる。悪夢の中の化物染みたジヨンを作り出してるのは夢を見てる浅井なので、夢の中の浅井は韓国語が分からないけど夢を見てる浅井はジヨンがで何語で喋ろうと分かってるから韓国語に字幕が付いてるし、ジヨンが韓国語で言ったことに対して何故か浅井が応対できてる場面がある。
夢なんだから全部日本語でいいじゃんとはならなくて、これは悪夢で、理解できない言語で話しかけられる(怒鳴られる)恐怖や得体の知れなさも悪夢のバリエーションのひとつなんだと思う。

浅井が目を醒ました後
浅井がホッとし過ぎてボロを出してしまいジヨンが「言ってないことがあるんじゃないか?」って日本語で言ったあと韓国語で何か言う。現実に戻ってきたので浅井には韓国語が分からない。だからこの時のジヨンの韓国語には字幕が付いていない。
散々な恐怖を味わって疲弊した上に自分の罪が今にも露見しそうなあの状況で分からない言葉で問いかけられるのはめちゃくちゃ怖いと思う。全部自分のせいだけど。

わざわざ片方を母語が日本語じゃない人にしたのはこういう面白い仕掛けを作るためだったのかと思うとすげー!となる。そしてそこにヤン・イクチュンをキャスティングしてくれて感謝…。となりました。

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