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ユーザーネームに悩む話

第一印象でよくサッカー部と言われることが多く、勝手にコミュニケーションのハードルを上げられることが多い。実際に新卒で入社した会社でも、人事にそう思われたのか僻地に飛ばされた。コロナ禍でリモート面接だったため、奇跡的にコミュ障を隠し通せ、エネルギッシュキャラで3、4枚も重なったろ紙をスルスルと通り抜け、その結果、遠く離れた見知らぬ地に約3年間幽閉されることとなる。
入社した会社では営業職を務めたが、相手の趣味の話にまるで興味があるかのように演じることがだんだんと負担になり、去年転職を機に退職した。
とりあえずESを出しまくり、第一印象とフルリモートの面接スタイルだけを武器に就活という名の戦を勝ち抜き、内定をいただいた中で一番大きな会社に入社した。職種は二の次で営業職はただ商品の内容を説明できればいい、ただそれだけの認識しかなかった。結果的にいわゆる大企業と言われる会社に入ることとなり、両親や祖父母がそれはそれは喜んでくれていたので、それだけがただ申し訳ないと感じた。

別に人と全く話せないわけではなく、人並みには会話はできると思っている。目的や自分の中でゴールがある会話であればサッカー選手のように、ドリブルで持ち込んで枠に飛ぶかは別としてシュートを打てる自信はある。
問題はゴールのない雑談なのだ。

最近の趣味は都内のBOOKOFF巡りである。暇な休日は半日店内をぶらぶらと徘徊し、気になる本を手に取っては数ページひらひらとめくり、空いた穴に戻す、そういう過ごし方をしている。月に3、4冊は読了するものがあるが、自己啓発本の類は読んだら負けのような謎の意識が自分の中にあったので読まないようにしていた。それでも「嫌われる勇気:古賀史健、岸見一郎」や「人は話し方が9割:永松茂久」、あとは長く付き合っていた彼女に振られ、恋や愛が分からなくなった時に「恋愛の哲学:戸谷洋志」は読んでおり完全なミーハーであることに今気づいた。そういう人間なので、あいも変わらず今週末もBOOKOFF徘徊をしていたのだが、視線にピカッと光る異様に黄色い本が入った。

明るい黄色と丸い赤、某モンスターのメインキャラの様相

読んだら負けという強迫観念が頭によぎったが、それでも興味に負けた。BOOKOFF徘徊のプロが気になった本を見つけた時に、まず何をするかというと裏表紙の値段が貼っているシールを見て、本の天と地の黄ばみや汚れの程度を確認するのである。見事に100円(税込110円)と真っ白な天地、これでコミュニケーション界のメッシやらロナウドになれるのであれば買わない手はない。他に手に取っていた「六人の嘘つきな大学生:浅倉秋成」と「puzzle:恩田陸」に隠すように挟み込み、レジの定員へ渡す。この人こんなものを読むのかと思われるのかと変な妄想をすることは言うまでもない。

帰宅後、「六人の嘘つきな大学生」を読みたい気持ちをどうにかギュッと抑え込み、パラパラとページをめくる。"雑談の基本を身につけよう!"というChapterの最初のページに記載があったのは、雑談の準備は書くことといった内容であった。元々こういった類の本やサイトではありがちな助言で、実際に何度か日記をつけようと意気込んでノートを買ったものの3日坊主になるのがオチであった。ただ、この本では芸人のネタ帳に対する言及やブログでも有効であることが書き記されていた。これこそが今文章を書いている理由なのだ。何を隠そう、筆者はオードリーの熱狂的なファンであり、リトルトゥースなら通じるであろう、あの伝説の東京ドームライブにも参加している。特に若林さんの思想に共感を覚えており、もちろんエッセイも全て読了している。その若林さんも書くことで精神が安定したという内容の記述をしていることをどこかで見た記憶があったことも、ブログを始めた大きな理由だ。

早速iPadを開き、まずはどの媒体を使用すべきか悩んだ。大きくはてな派とnote派の2代派閥があることは何となく知っていたが、お洒落という理由だけでnoteを選んだ。次にぶち当たった壁こそが、表題にもあるユーザーネームを何とするかという問題である。本名がいいという意見を多く目にしたが、こんな文章を知り合いに見られるようものなら、顔から火が出るという表現でも足りないくらい赤面すると分かりきっているのでもちろん却下。好きなアーティストに関連するものも何となく厨二っぽいので無しにして、家にいる植物の名前にしようかとも思ったが、"ザミオクルカス"や"モンステラ"も少しカッコ良すぎるので気が引けた。では"クロロマイセチン"とは何かというと、これは美容外科で処方された液体なのである。この男、20代半ばにして彼女に振られたことの腹いせにピアスを開けた。前々から憧れていたというのは建前で、自分の身体に穴の1つや2つ開けなければとやってられないという精神状況だったとでも言い訳をさせて欲しい。これだけでもだいぶ頭がおかしいが自分で開ける勇気もないために、わざわざ美容外科に行ったのだから、なおのことである。この話は今後のネタの為に詳しくは書かないが、その時にピアスの穴の管理方法が書かれたペラ一枚の紙と一緒に貰ったのが、この"クロロマイセチン"である。袋に入れてもらえず、謎の薬品を山手線に持ち込むわけにもいかずファミマで水と一緒に買った袋に入れて持ち帰った。自分への戒めも含め、当分はこの名前で書きたいことを書いていこうと思う。目標はどんなコンディションでも点を取れるファンタジスタ。


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