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#6 調剤薬局2.0 ~自動化と組織・コミュニケーションのデザイン~

医療デザイン勉強会は毎月1回を目標に開催されています。
今回のテーマは『調剤薬局2.0 ~薬局の自動化~』でした。
ゲストにくろーばー薬局の岡田さんをお招きしてお送りしました。

薬局の自動化を進める岡田さん。
そんな中、岡田さんが入院してしまいます。
はたして岡田さんの薬局はどうなってしまったのか!?

とりあえず、あらすじがって方はこちらのグラレコをご覧ください。

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グラレコはPTの豊原さん(https://note.com/ryoko_pt)です。

勉強会の動画はこちらです。


では、ざっと講義内容をレビューしていきたいと思います。

これからの調剤薬局

こちらが岡田さんの薬局です。

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彼の薬局はドライブスルーでも薬の受け取りが可能で、今回のような状況では感染症の予防対策としても安心感があるそうです。

今後の調剤薬局に求められるものは、

小売業としての業務以外にも医療提携施設としてプラスアルファが必要になってきます

とのこと。

とはいえ、薬剤師さんは本来の業務以外の雑務に追われてなかなかそのプラスアルファに取り掛かれません。


業務改善

テクノロジーを積極的に導入、また薬剤師さんでなくてもよい業務は事務員さんを活用するなど、機械化や効率化を重視した業務改善に取り組んだそうです。

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働きアリと働かないアリに着想を得た業務改革を簡単に解説します。

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仕事を均等に割るのは一見平等に見えますが、人数が増えても業務量を減らして均等割りをしてしまうので非効率。
あえて働かないアリを作り、設備投資でやらなくていい仕事を機械にやらせるようにして、薬剤師本来の仕事に手間をかけられるように。

アリさんの働き方から以上のように改革したそうです。

実際、調剤室内には薬剤師は不要と言っていい状況になっています。
業務効率化で薬剤師本来の業務をきちんとこなさないと生き残れない時代が来ているのです。

講義のまとめ

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講義に対する感想/コメント

・業務改革の成果を定量化(数値化)できると、他の薬局でも展開しやすくなりますね。

・自動化は無人化ではなく業務改革なんだよってところがなるほどと思った。業務改革を行ったことで、患者さん対応の時間が生まれることは利用者にとっても重要なことと感じた。

・働き方改革でクリエイティビティーが上がるのはよい

・薬剤師がそもそもの業務に注力できるのがよい

・このような調剤薬局が浸透したら、どんな人材が集まるのか興味がある。

反対を押し切って改革を進めた方法とは?
\コミュニケーションデザイン/

岡田さんは、いかにしてスタッフの考え方を変えたのでしょうか?

当初、職員たちは言うこと聞いてくれないことが多かったとのことでした。
頭ごなしに言ってもうまくいかなかったので、自分が変わらなきゃと思い、

薬局のゴール、方向性を指し示して、過程や結果を自身で考えるように方向転換した

そうです。


すると職員たちが自発的に動くようになってきたと。
つまり自己決定権や裁量権を与え、当事者意識を植え付けたということなのでしょう。

また業務改革でモチベーションを維持できた部分としては、労働の対価として利益が上がった際に給料に反映させたことがよかったそうです。

失敗談としては感情的になっちゃダメってことだそうです。みんなで考えましょうじゃなくなって命令になってしまうそうです。

このようにコミュニケーションをデザインしたことで職員の意識を変容させられたとのことです。

組織・役割のデザイン

岡田さんは働くアリ、働かないアリに着想を得て、組織や役割を再構築しました。

つまり業務を均等に割るのではなく、あえて働かなくてフリーの人を作ったそうです。
そうすると、よりクリエイティビティーがあがりプラスアルファの業務をこなせるようになるそうです。

また一人が公休をとっているのにもう一人有給とれるなど不測の事態にも対処できます。

今回、経営者の岡田さんが新型コロナ肺炎で入院し、1か月職場に出られなくても何とかなったのはそのように組織がデザインされていたからなのでしょう。

デザインからみた自動化薬局のソーシャルバリューとは!?

1)well being(働く人):環境デザイン
無人化・自動化による働き方改革を行うことで、ゆとりのある仕事環境が創出できます。
ゆとりができることで、雑務に忙殺されることがなくなり、創意工夫への意識変容(意識改革)が起こります。
その結果、職員の主体的・自己効力感が増し、働く人のwell beingを向上する薬局へと変貌しました。

2)well being(利用者):体験デザイン
薬剤師に余裕ができると質の良い対応が可能となります。
利用者が薬局に好感を持つことで、薬局で得る情報に意識が向きます。
そういった利用者が増えることで、彼らの健康・セルフケアが向上し、利用者のwell beingwが向上します。

3)コレクティブインパクト
薬局内での業務が簡素化することで余剰な人員を確保できます。
他機関と連携して、処方・予防・在宅など網羅的に生活の質を上げるコンソーシアムを組むことも可能になるでしょう。

では、こういった改革に医療デザインの貢献余地はあるのかでしょうか?

今回のくろーばー薬局の業務改革の事例は、現在、厚生労働省からも告知されている『医師の働き方改革』に大いに活かせるエッセンスがあると思いました。

人員の編成や配置はもちろん、働く人が共通の目的を持って取り組めるようになるまで。くろーばー薬局の発表には大変貴重な知恵が詰まっていました。

おまけ ~くろーばー薬局の宣伝~

岡田さんのやっている薬局です。
ご興味のある方はぜひWebサイトを覗いてみてください。


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最後までお読み頂きありがとうございました。
勉強会は毎月第3木曜日の夜行っています。
詳しい内容などにつきましたては日本医療デザインセンターのWebサイトやSNSでご確認下さい。

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