小説 腕に腕時計を描いたら笑ってもらえなかった

俺は腕に腕時計を描いて、知り合いを笑わせようと思ったんだよ。

俺は期待に胸を躍らせ、知り合いに話しかけた。

「おい、このやろう。俺は腕時計が好きなんだけど、お前はどうなんだ。」

「つけてません。」

「なんだと、このやろう。どうやって時間を確認してるんだ?そんなことができるのかよ。」

「はい。」

「そうなのか。でもよ、腕時計つけろよ。」

「大丈夫です。」

「つまらねーな、このやろうは。とにかく、俺の腕時計を見てみろ。」

俺は腕にペンで直接描いた時計の絵を見せた。

「どうだ!」

俺は必ず笑われると思って期待をしていたのに、全く笑われなかったので、こう続けた。

「へへへへへへへ、かっこいいだろ!高級時計だ!」

しかし、知り合いは全く笑わず、無表情で俺の腕を見て、こう言って去っていった。

「腕時計が好きなら、買ったらどうですか。」

なんで俺の笑いに触れてくれないんだと、叫びたいよ、こっちは。



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