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コーヒー事典vol.6 「コーヒー豆が届くまで」

こんにちは。コーヒーをもっと深く知りたいあなたへ、今日はコーヒー豆について、農作物の観点からお話しします。
日本にはたくさんのコーヒー販売店・焙煎所がありますが、コーヒーの生豆はほぼすべて外国産です。そんな生豆が日本に届くまでの長い旅を知っていただければと思います。




コーヒー豆は ”果実の種” 

まず、コーヒー豆とはアカネ科コフィア属の ”コーヒーノキ” という植物の種です。コーヒー "豆" と呼んでいますが、いんげん豆や落花生のように実るわけではありません。
3年以上かけて育ったコーヒーノキに白くてちいさな花が咲き、そこに実ったコーヒーチェリーと呼ばれる果実の中に種があります。

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(花や果実は葉と枝の間に実ります)

コーヒーチェリー断面

(コーヒーチェリーの断面と生豆はこんな感じです)

1粒のコーヒーチェリーには平たい種が基本的に2つ入っています。
この種を覆う殻をパーチメント(イラストの緑の部分)、パーチメントの表面のぬるぬるしたものをミューシレージ(イラストの白っぽい部分)といい、その外側に果肉(イラストの赤・オレンジの部分)が付いています。
これらをすべて取り除いて、むき出しになった種がコーヒー生豆として販売されます。

稀にコーヒーチェリーの中に丸い種が1つだけ入っていることがあります。これはピーベリーと呼ばれ、珍しいコーヒー豆として販売されることもあります。




コーヒーの木はどこで育つ?

コーヒーノキが育つためには大切な条件がいくつかあるんですが、
・適度な日差し
・雨季がある
・1日の気温が15℃~30℃前後
などなど、気候がかなり重要なんです。
四季があり台風が多い日本はコーヒーの栽培に向いておらず、ほぼ全てのコーヒー豆は諸外国から輸入しています。

そんなデリケートなコーヒーノキが育ちやすい場所があります。コーヒーベルトと呼ばれる、北緯25度~南緯25度の地域です。

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地図で示すとこのあたり。赤道を中心とした、温暖な気候の地域です。

グァテマラ、コロンビア、ブラジル、インドネシア、タンザニアなど、日本でもよく耳にするコーヒー生産国はこの地域に位置しています。

《余談ですが…》
沖縄に数軒だけコーヒー農園があります。
とても貴重な国産コーヒーは限られた場所でしか流通していないので、ぜひ農園を訪れてみてください。収穫体験を行っている農園もありますよ!




農園からコーヒー豆が届くまで

私達の手元にコーヒー豆が届くまでには多くの作業があり、たくさんの人が関わっています。

・栽培~収穫
コーヒーチェリーを機械や手作業で収穫します。
未熟な実や熟れすぎた実からは質の悪い豆しか採れないので、完熟した果実だけを収穫するため生産者は努力を重ねています。

・精選(生産処理)
コーヒーチェリーから生豆を取り出す工程のこと。
コーヒーの味わいは精選方法に大きく影響されるため、より美味しいコーヒーのために作業所・作業員は工夫を凝らしています。

・選別
生豆に混ざっている異物や傷んだ生豆などを欠点豆といい、これを取り除く工程のこと。機械や手作業で行われ、手作業での選別をハンドピックといいます。

・格付け、カッピング
専門家が生豆の品質を格付けし、カッピングテスト(すごく精密な味見)をしてコーヒーの味わいを評価します。コーヒーを買い付ける人、焙煎する人はこれを味わいの目安とします。

・出荷
こうしてようやく日本に輸入されます。
そして焙煎、パッケージされ、私達の手元に届きます。




まとめ

コーヒー豆はデリケートな植物から採れる種。
農園で丁寧に育てられたコーヒーの果実がたくさんの努力と手間をかけて生豆となり、日本に届きます。
私達が1年中いつでもコーヒーを楽しめるのは、美味しいコーヒーをつくってくれるコーヒー農家の方々のおかげです。

海外にはコーヒー農業が収入の要となる国もあります。
カフェでコーヒーを飲むとき、販売店でコーヒー豆を買うとき、生産地や農家の方々のことをほんの少しだけでも思い出してもらえると嬉しいです。




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