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よもぎ大福
2018年12月29日 10:20
自信がないんだ、暗い顔をした男が小さく呟いた。自信がないんだよ、全てにおいて。見てくれがいいわけでも、頭がいいわけでも、ましてや要領がいいわけでもない。なんの取り柄もないんだ。僕は何も持っていない。一息に吐き出して口をつぐむ。少し目線を下げた男の表情を、伸びっぱなしの前髪が隠した。そりゃ努力もしたさ。暗くなるまで公園で逆上がりの練習したことだって徹夜で勉強したことだってあるよ。
2018年12月12日 18:13
見覚えのあるマフラーが目の端をかすめたのは、お袋が買い忘れたコンソメを買いに行く途中の交差点。弾かれるように振り返ると、いつもの後ろ姿が遠ざかっていくところだった。ピョコピョコ跳ねるように歩くあいつの隣に俺と同じ制服の後ろ姿たぶん俺より背が高い、その首元には揃いの、右肩に軽い衝撃を受けて我にかえる。迷惑そうな顔をして歩き去っていくおっさんの背中に小さく、謝罪の言葉を投げた。空中で歩行者用